2019年5月4日土曜日

卓球の記事で説明下手が目立つ日経 北川和徳編集委員

日本経済新聞の北川和徳編集委員が卓球に関して問題の多い記事を書いていた。分かっていないのか説明が下手なのかで言えば後者だろう。日経には以下の内容で問い合わせを送った。
大分県別府市の温泉街 ※写真と本文は無関係です

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 編集委員 北川和徳様

3日の朝刊TOKYO2020面に載った「Count Down東京2020~五輪で『最強』見られない?」という記事についてお尋ねします。冒頭で北川様は以下のように記しています。

卓球の世界選手権で伊藤美誠、早田ひなの18歳ペアは決勝で中国ペアに逆転負けして初優勝を逃した。競り合いの中、不運な判定もあっての惜敗だった。中国勢がタイトル独占を続ける卓球でダブルスの世界ランク1位に立つ2人は敗れはしたが、最もその牙城を崩す可能性を秘めるペアであることを改めて示した

中国勢がタイトル独占を続ける卓球」と書いているのですから、少なくとも今回と前回の「世界選手権」では「中国勢」が「タイトル」を「独占」しているはずです。しかし記事には「東京大会から新種目となった混合ダブルスでも、世界選手権で前回優勝、今回も銀メダルだった石川佳純、吉村真晴のペアが東京で結成される可能性は低い。五輪の卓球ダブルスは、最強ペアではなく即席ペアで戦うものなのだ」との記述もあります。

石川佳純、吉村真晴のペア」が「世界選手権で前回優勝」ならば「中国勢がタイトル独占を続ける」状況とは言えません。「中国勢がタイトル独占を続ける」との説明は誤りではありませんか。

五輪の卓球ダブルスは、最強ペアではなく即席ペアで戦うものなのだ」との説明も問題なしとしません。ロンドン五輪の日本女子は「石川佳純」と平野早矢香のペアでした。この2人は2008年度の全日本のダブルスで優勝しています。男子で言えば、北京五輪では水谷隼と岸川聖也がダブルスを組みました。この2人が「即席ペア」かどうかは説明するまでもありません。

五輪の卓球ダブルスは、最強ペアではなく即席ペアで戦う」場合が多いかもしれませんが「即席ペアで戦うものなのだ」と断定するのは誤りではありませんか。

次に問題としたいのは以下のくだりです。

リベンジは東京五輪で、と思ったのだが、残念なことに五輪で実施されるのは個人戦(シングルス)と団体戦。ダブルスは団体戦の中で1試合行われるだけだ。現在個人世界ランクで日本勢9番手の早田が3人の団体戦メンバーに入らない限り、『みまひな』を五輪で見ることはできない

卓球の場合「(東京)五輪で実施されるのは個人戦(シングルス)と団体戦」だけではありません。「混合ダブルス」が加わります。北川様も「東京大会から新種目となった混合ダブルス」と書いています。「五輪で実施されるのは個人戦(シングルス)と団体戦」だけと取れる説明は誤りではありませんか。

せっかくの機会なので、他にもいくつか指摘しておきます。記事の終盤で北川様は以下のように書いています。

五輪の卓球でダブルスが即席ペアとなるのは、大会の肥大化抑制の観点から参加選手数をこれ以上は増やせないという事情がある。その一方で、東京五輪では男女平等をアピールしようと柔道や陸上、競泳、アーチェリーなどで男女混合の団体種目が追加された。運動会を連想させる団体戦が好きな日本では盛り上がるだろうが、本来は世界一を争う場である五輪の意味が変わっていくのではと心配になる

五輪の卓球でダブルスが即席ペアとなるのは」と書いていますが、前述したように「即席ペア」になるとは限りません。それに「みまひな」が団体戦に出場する可能性も十分にあります。「五輪の卓球でダブルスが即席ペアとなりやすいのは」などとした方が良いでしょう。

東京五輪では男女平等をアピールしようと柔道や陸上、競泳、アーチェリーなどで男女混合の団体種目が追加された」という説明も謎です。IOCがそう説明しているのかもしれませんが、「男女混合の団体種目」の追加と「男女平等」は関係あるのでしょうか。

アーティスティックスイミングや新体操で男子の競技を加えるのならば「男女平等をアピール」できるかもしれませんが…。

本来は世界一を争う場である五輪の意味が変わっていくのではと心配になる」と考える理由も理解できませんでした。例えば「柔道」で「男女混合の団体種目が追加」となれば、五輪では「柔道の男女混合での世界一を争う」のではありませんか。「世界一を争う」という点で「五輪の意味が変わっていくのではと心配」する必要があるでしょうか。「男女混合の団体種目」では「世界一」を決めない対戦方式となるのですか。

本来は個人の世界一を争う場である五輪の意味が変わっていくのではと心配になる」との趣旨かとも考えました。しかし、ずっと前から体操では団体戦があります。結局、北川様が「心配」する根拠を見つけられませんでした。この辺りはもう少し丁寧に説明すべきでしょう。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「Count Down東京2020~五輪で『最強』見られない?
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190503&ng=DGKKZO44406270S9A500C1UP6000



※記事の評価はD(問題あり)。北川和徳編集委員への評価はDで確定とする。北川編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「予想外」でも「番狂わせ」ではない? 日経 北川和徳編集委員に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_30.html

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