2018年10月2日火曜日

相変わらず問題多い日経 小平龍四郎編集委員「一目均衡」

日本経済新聞の小平龍四郎アジア総局編集委員にコラムの執筆を任せるのは、もうやめた方がいい。2日の朝刊投資情報面に載った「一目均衡~米中摩擦のニューノーマル」という記事を読んで、改めてそう感じた。おなしな説明が目立つし、特に訴えたいこともないようだ。
長崎港(長崎市)※写真と本文は無関係です

日経には以下の内容で問い合わせを送っている。

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 アジア総局編集委員 小平龍四郎様

2日の朝刊投資情報面に載った「一目均衡~米中摩擦のニューノーマル」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

両氏の指摘に共通するのは、米中摩擦をスーパーパワー(米国)とエマージングパワー(中国)の覇権争いと見ている点だ。貿易交渉は一断面にすぎず、争点は知的財産や軍事など多方面に広がっていく可能性がある

この記述からは、米中間で「争点は知的財産や軍事」に広がっていないと判断できます。しかし、日経のこれまでの報道とは食い違います。

例えば、3月23日付の「米、中国製品5兆円に制裁 知財侵害で301条発動へ 」という記事では「トランプ米政権は22日、中国による知的財産権の侵害を理由に、500億ドル(約5.2兆円)相当の同国製品に高関税を課す制裁措置を正式表明した」と報じています。

さらに9月21日付の「米、中国軍高官らを制裁指定 ロシアから戦闘機など購入」という記事では「米国務省は20日、対ロシア制裁に違反したとして中国共産党中央軍事委員会で装備調達を担う装備発展部と、その高官1人を米独自の制裁対象に指定したと発表した」と伝えています。

この制裁に反発した中国は米中軍事対話を延期したようです。こうした報道が大筋で正しければ、現時点でも「争点は知的財産や軍事」に広がっていると言えます。「争点は知的財産や軍事など多方面に広がっていく可能性がある」という説明は、状況認識を誤っていませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

せっかくの機会なので、以下の記述にも注文を付けておきます。

米経済分析局によれば、今年1~6月の海外から米国への直接投資額は477億ドルと前年同期比で72%も減った。減速が続くようならば、長期投資の米国離れが現実味を帯びてくる。マネーはどこへ?『50年までに中国が世界一の経済大国になることは疑いようがない。2位の米国に次いで東南アジアとインドが追いかけ、日本は5番目』と予想するのはシンガポールのベンチャー投資家、フィニアン・タン氏だ

マネーはどこへ?」の問いに対する答えになっていないと思えます。「フィニアン・タン氏」は2050年の「経済大国」ランキングを「予想」しているだけではありませんか。

記事の流れに従えば「マネーはどこへ?」に対する答えは「どの国への直接投資額が増えるのか」であるべきです。しかし「フィニアン・タン氏」のコメントでは、そこに触れていません。

さらに言うと「東南アジア」を含めて順位を付けるのは感心しません。コメント部分ではありますが、不適切です。こういうグループ化が許されるのならば「日本を含む東アジア」を1位、米国を2位にしてもいいはずです。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社の一員として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

マネーはどこへ?『50年までに中国が世界一の経済大国になることは疑いようがない。2位の米国に次いで東南アジアとインドが追いかけ、日本は5番目』と予想するのはシンガポールのベンチャー投資家、フィニアン・タン氏だ」と書いた後に小平編集委員は「米中摩擦というニューノーマルの向こうに、アジアの長期投資家たちはこんな世界も見ている」と記事を締めている。

「近未来に中国が経済規模で米国を抜き、日本はインドにも抜かれる」といった予測は「フィニアン・タン氏」にしてもらわなくても、よく聞く。それが新鮮に響いたのならば、やはり小平編集委員は苦しい。

しかも、今回の記事は様々な市場関係者の見方を紹介しているだけだ。「紹介するな」とは言わない。しかし、それを基に小平編集委員が独自の分析を展開しないのならば「編集委員」の肩書が泣く。


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「一目均衡~米中摩擦のニューノーマル
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181002&ng=DGKKZO35986190R01C18A0DTA000


※記事の評価はD(問題あり)。小平龍四郎編集委員への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。小平編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日経 小平龍四郎編集委員  「一目均衡」に見える苦しさ
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post_15.html

基礎知識が欠如? 日経 小平龍四郎編集委員への疑念(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_11.html

基礎知識が欠如? 日経 小平龍四郎編集委員への疑念(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_73.html

日経 小平龍四郎編集委員の奇妙な「英CEO報酬」解説
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/07/blog-post_19.html

工夫がなさすぎる日経 小平龍四郎編集委員の「羅針盤」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/blog-post_3.html

やはり工夫に欠ける日経 小平龍四郎編集委員「一目均衡」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/blog-post_11.html

ネタが枯れた?日経 小平龍四郎編集委員「けいざい解読」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_20.html

山一破綻「本当に悪かったのは誰」の答えは?日経 小平龍四郎編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/10/blog-post_10.html

日経「一目均衡」に見える小平龍四郎編集委員の限界
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_14.html

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