常盤橋(北九州市)※写真と本文は無関係です |
まず、コラムの中身を見てみよう。
【日経ビジネスの記事】
(週刊新潮の)記事の細部にわたる真偽はともかくとして、私が個人的に違和感を覚えているのは、週刊新潮の報道と、5月29日の被害女性による記者会見を、テレビ各局がほぼ黙殺していることだ。
◇ ◇ ◇
では、実際どうだったのか。この件を報じているニフティニュースの5月30日付の記事では、以下のように説明している。
【ニフティニュースの記事】
さらに、テレビのほうは、NHKは無論、民放キー局でも、山口氏の古巣であるTBSの『NEWS23』や『ひるおび!』、コメンテーターとして山口氏を重宝していたフジテレビの『とくダネ!』『直撃LIVEグッディ!』はスルー。フジと同様に山口氏を番組で起用していたテレビ朝日は、29日の『報道ステーション』は報道しなかったが、30日朝の『羽鳥慎一モーニングショー』と『ワイド!スクランブル』は伝え、番組でバラツキがあった。
唯一、山口氏を起用してこなかった日本テレビは、29日夕の『news every.』にはじまり、夜の『NEWS ZERO』、30日朝の『ZIP!』『スッキリ!!』でも紹介。読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』までが取り上げた。
◇ ◇ ◇
この記事の説明が正しいのならば、山口氏の問題を「テレビ各局がほぼ黙殺している」とは言い難い。「テレビ各局で対応が分かれている」辺りが適当だと思える。「黙殺するテレビ局が多かった」ぐらいならば分かるが、「ほぼ黙殺」は不正確だ。例えば1社がごく小さく報道しただけならば「ほぼ黙殺」だろう。だが、複数のテレビ局が様々な番組で取り上げているのに「ほぼ黙殺」では、苦しい。
自分が見たのは「NEWS ZERO」だったような気がする。日本テレビには「山口氏を起用してこなかった」という事情があるのかもしれないが、少なくとも遠慮がちに報道しているとは感じられなかった。
「黙殺」ではなく「ほぼ黙殺」だから、小田嶋氏としては何とでも弁明できる。ただ、今回のコラムで小田嶋氏はテレビ局の在り方を問うている。そして「テレビ各局がほぼ黙殺している」という点は、小田嶋氏が主張を組み立てる出発点にもなっている。なのに「ほぼ黙殺」が事実として怪しければ、説得力は足元から崩れてしまう。
日本テレビがきちんとこの問題を報じているのであれば、その事実は小田嶋氏もコラムの中で尊重すべきだ。各社の対応に大きな差があるのに、十把一絡げに「テレビ各局がほぼ黙殺している」とまとめるのは雑すぎる。そこは反省してほしい。
※記事の評価はD(問題あり)。小田嶋隆氏への評価はA(非常に優れている)を維持するが、弱含みではある。
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