2018年12月20日木曜日

「製造業の労働生産性」が「過去最低になった」と日経は言うが…

日本経済新聞によると、日本はドルベースで2016年の「製造業の労働生産性」が「過去最低になった」らしい。この報道は正しいのだろうか。日本生産性本部が公表した「労働生産性の国際比較2018」を基にして記事を書いているが、この資料は「過去最低」を否定しているように見える。
活水女子大学(長崎市)※写真と本文は無関係

日経には以下の内容で問い合わせを送った。

【日経への問い合わせ】

20日の日本経済新聞朝刊経済面に載った「日本の労働生産性は米の7割 1時間47.5ドル、先進国で最低続く」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

同調査(注:「労働生産性の国際比較2018」を指す)では製造業の労働生産性が過去最低になったことも分かった。16年のデータをもとに製造業の就業者1人あたりがどれだけ効率的に働いたかを算出した数値で、日本は9万9215ドルとなり10年比で6.0%減った

日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2018」を見ると、確かに「製造業の
名目労働生産性」で「日本は9万9215ドルとなり10年比で6.0%減」となっています。しかし「過去最低」とは思えません。09年は8万6083ドル、08年は8万9259ドルなど「9万9215ドル」を下回る年がいくつも「労働生産性の国際比較2018」のデータで確認できます。

「OECD内での順位が過去最低」と伝えたかったのかもしれませんが、そう解釈できる書き方になっていませんし、記事中にOECDの文字も見当たりません。「製造業の労働生産性が過去最低になった」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

付け加えると「先進7カ国(G7)のなかでは1970年以降、最下位の状況が続いた」との記述から「先進国で最低続く」と見出しに取るのは感心しません。「先進国」はG7以外にも数多く存在します。「1時間47.5ドル」という数値に関しても、日本はニュージーランドなどの「先進国」を上回っています。読者に誤解を与える表現は避けてください。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「日本の労働生産性は米の7割 1時間47.5ドル、先進国で最低続く
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181220&ng=DGKKZO39142430Z11C18A2EE8000


※記事の評価はD(問題あり)。

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