2017年1月23日月曜日

国防費は「歳入」の一部? 日経 梶原誠編集委員の誤り

日本経済新聞の梶原誠編集委員には以前から「経済記事の書き手としては苦しい」という評価を下している。23日の朝刊オピニオン面に載った「核心~米軍が債権者に敗れる日 成長策、覇権維持を左右」という記事でも、その評価を裏付けるような初歩的なミスが見られた。
筑後川(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です

記事の中に「歳入に占める利払いと国防費の割合」という説明が出てくる。これだと「利払いと国防費」が「歳入」の一部になってしまう。しかし、「利払いと国防費」は「歳出」に分類されるべきものだ。

記事の当該部分と日経への問い合わせは以下の通り。

【日経の記事】

歳入に占める利払いと国防費の割合、つまり両者による予算の「奪い合い」をグラフ化すると、ウォール街の不安は真実味を増す。利払いが増える分、国防費への配分率が削られ、26年には肩を並べる。


【日経への問い合わせ】

23日の「核心~米軍が債権者に敗れる日」という記事についてお尋ねします。記事の中で筆者の梶原誠編集委員は「歳入に占める利払いと国防費の割合、つまり両者による予算の『奪い合い』をグラフ化すると、ウォール街の不安は真実味を増す」と述べています。しかし、「歳入に占める利払いと国防費の割合」という説明は不可解です。グラフでも「歳入に占める比率」として「国防費」と「利払い費」の推移を見せています。

「歳入」の内訳として「利払い」や「国防費」があるならば分かります。しかし、これらは「歳出」の項目です。「利払いや国防費を歳入総額と比べた比率だ」と言うのならば「歳入に対する利払いと国防費の割合」といった表現にすべきです。「占める」と書いているのですから、「利払い」や「国防費」は「歳入」の一部でなければ成立しません。

今回の記事に関しては、「歳出に占める利払いと国防費の割合」とすべきなのに誤ったのか、「歳入に対する利払いと国防費の割合」と表現すべきところで「占める」を使ってしまったのかのどちらかだと思えます。

記事の説明は誤りだと考えてよいのでしょうか。正しいとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

日経では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心がけてください。

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「(利払いと国防費の)両者による予算の『奪い合い』」と書いているのを見ると、「歳出」とすべきところを「歳入」にしてしまったような気がするが、日経からの回答が望めないこともあり断定はできない。ただ、記事に問題があるのは確実だ。

例えば、売上高と有利子負債を比べて率を出すのは問題ない。しかし「売上高に占める有利子負債の比率」と書けば誤りとなる。「有利子負債」は売上高の一部ではないからだ。「占める」を使うのであれば「売上高に占める海外販売の比率」といった使い方になる。これをベテランの記者である梶原編集委員に教えなければならないとすれば、かなり辛い。


※記事の評価はD(問題あり)。梶原誠編集委員への評価はDを維持する。梶原編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日経 梶原誠編集委員に感じる限界
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_14.html

読む方も辛い 日経 梶原誠編集委員の「一目均衡」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html

日経 梶原誠編集委員の「一目均衡」に見えるご都合主義
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_17.html

ネタに困って自己複製に走る日経 梶原誠編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_18.html

似た中身で3回?日経 梶原誠編集委員に残る流用疑惑
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_19.html

勝者なのに「善戦」? 日経 梶原誠編集委員「内向く世界」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_26.html


※結局、回答はなかった。

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