2022年4月5日火曜日

ワクチン推しゆえの強引さ感じる日経「子供の感染高止まり」

どうしても子供にワクチンを打たせたいということか。5日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「子供の感染高止まり コロナ10代以下36%~新学期、接種に遅れ」という記事は強引さが目立った。まず引っかかったのがグラフの作り方だ。

有明海

子どもの感染者は増加傾向にある」(見出しの「高止まり」と整合しないが、ここでは論じない)という説明文を付けて「全国の1週間ことの新規感染者数」と「10代以下の割合」を見せている。「子供の感染高止まり」と訴えたいのならば「10代以下」の「新規感染者数」の推移を見せれば済む。なぜそこから逃げたのか。

10代以下」の「新規感染者数」も2月のピークに比べれば減っているからだろう。だとすれば「子供の感染が減らないということを無理してでも訴えたい」との意図を感じずにはいられない。

記事の中身も見ていきたい。


【日経の記事】

新型コロナウイルスの新規感染者数の減り方が鈍る中、子どもの陽性者数が高止まりしている。足元では10代以下が感染者全体の3分の1超を占めており、新学期が始まれば学校や家庭で感染が拡大する恐れがある。5~11歳のワクチン接種が進んでいないこともあり、専門家は対策の強化が必要だと指摘する。

厚生労働省によると、3月23~29日に感染が判明した約28万3千人のうち、10歳未満は5万1740人で前週から5800人以上増えた。全体に占める割合は年代別で最多の18%で、10代と合わせると36%に上る。


◎なぜ子供全体の増減は見せない?

10歳未満は5万1740人で前週から5800人以上増えた」とは書いているが「10代」の増減には触れていない。合計するだけでいいのに、なぜ避けるのか。「子どもの陽性者数が高止まりしている」と訴えたいのではないのか。

さらに見ていく。


【日経の記事】

10代以下の割合は、2021年春の第4波では12~14%、同年夏から秋の第5波では17~24%だった。変異型「オミクロン型」が猛威を振るう第6波では子どもの感染者の急増ぶりが際立つ。

要因の一つはワクチン接種の伸び悩みだ。全国で741万人程度いる5~11歳の接種対象者のうち、3月末時点で1回目接種を終えたのは6%の46万人超にとどまる。


◎理屈が成り立つ?

第4波」や「第5波」に比べて「第6波では子どもの感染者の急増」が見られたのは確かだろう。しかし「要因の一つはワクチン接種の伸び悩み」と見るのはいくら何でも無理がある。

第4波」や「第5波」では「5~11歳」の接種率は0%だ。それが「3月末時点で1回目接種を終えたのは6%」となっている。低水準とはいえ増えている。「ワクチン」に感染予防効果があるのならば「感染者」は「第4波」や「第5波」より少なくなっていい。

それ以外の要因もあるので、因果関係を断定はできないが「ワクチン接種の伸び悩み」が「子どもの感染者の急増」を招いたと見るべき理由はない。「ワクチン」が「子どもの感染者の急増」を招いていると見るストーリーの方がまだ自然だ。

そんなことはお構いなしに話は「子どもへの接種を進めよう」という流れになっていく。


【日経の記事】

厚労省は11歳までが接種できる米ファイザー製ワクチン約290万回分を3月までに配送し、4月中旬までに450万回分を追加供給する予定だが、首都圏の自治体担当者は「配分数の調整などに時間がかかり、計画通りに供給されていない市町村もある」と明かす。

日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会は5~11歳への接種について「12歳以上の子ども同様に意義がある」としているが、副作用への不安などから接種をためらう保護者も少なくない。

新学期に入ると学校生活を通じて感染が広がる恐れがあり、自治体は対策を急ぐ。東京都は3月下旬から子ども向け「ワクチンバス」の運行を始めた。接種対象者がいる地域に派遣して接種を行っている。

文部科学省は4日、全国の小中高校で新学期が本格的に始まる6日を前に、希望する児童生徒らが接種できる体制の整備などを自治体に求める通知を出した。

国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「新学期に向けて幼稚園や保育園、学校は感染拡大への警戒を一段引き上げる必要がある。4月は歓迎会など大人数での飲食を伴う行事も増えるが、親世代はコロナを家庭に持ち込まないよう注意してほしい」と指摘している


◎子ども本位で考えよう!

ここでは「国際医療福祉大の松本哲哉教授」のコメントに注目したい。記者は「子供へのワクチン接種を急ぐべき」といった発言を求めて取材した可能性が高い。しかしワクチン推しのイメージがある「松本哲哉教授」でさえ子供へのワクチン接種を推奨するコメントはしなかったのだろう。

当然ではある。元々、子供は重症化リスクがゼロに近い。そしてオミクロン株では全世代で重症化率が低下している。新型コロナウイルスワクチンは副反応がかなりあるので、重症化率の低い若い世代が打つメリットはほとんどない。それを一般の人々も認識してきている。

なのに日経はいまだにワクチン推しを続けている。大人はいい。健康を害しても自己責任で片付けられる。子供はそうはいかない。12歳未満はなおさらだ。

子供へのワクチン接種反対派に回れとは言わない。ワクチン推しだけでもやめてみてはどうか。それが子ども全体のためにもなるのは、ほぼ確実だ。日経も子ども本位で考えよう!


※今回取り上げた記事「子供の感染高止まり コロナ10代以下36%~新学期、接種に遅れ」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220405&ng=DGKKZO59705260V00C22A4EA1000


※記事の評価はE(大いに問題あり)

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