2020年9月17日木曜日

米国の人口が「4億人」を超えるのはいつ? 東洋経済の特集「アメリカの新常識」内に矛盾

「(米国では)このままいくと40年に総人口は4億人を超え、45年までに白人の割合は半数を割ると予測されている」と慶応大学の渡辺靖教授が週刊東洋経済に書いている。しかし同じ特集の中に出てくるグラフのデータと大きく食い違う。

大雨で冠水した福岡県久留米市内
     ※写真と本文は無関係です

東洋経済には以下の内容で問い合わせを送った。


【東洋経済への問い合わせ】

週刊東洋経済 編集長 山田俊浩様  副編集長 宇都宮徹様  解説部長 野村明弘様  中村稔様   

9月19日号の特集「アメリカの新常識」についてお尋ねします。この中の「トランプ政治は『最後のあがき』か~『左』へ旋回する米国社会」という記事で、筆者の渡辺靖 慶応大学教授は「(米国では)このままいくと40年に総人口は4億人を超え、45年までに白人の割合は半数を割ると予測されている」と記しています。

一方、31ページに載せた「米国の人種・民族別人口の将来推計」というグラフを見ると、「40年」時点での人口は3億7000万~3億8000万人程度で、「4億人を超え」るのは55年頃です。出所はピュー・リサーチ・センターとなっています。渡辺教授の記事ではどこが出した「予測」か明らかにしていませんが、揃えていると考えるのが自然です。

この齟齬はなぜ生じているのですか。どちらかが誤っているのではありませんか。いずれも問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

45年までに白人の割合は半数を割ると予測されている」との記述もグラフと整合しません。グラフによると「白人(非ヒスパニック系白人とヒスパニック系白人の合計)」は40年時点で70%を超えており「45年」でも「半数」を大きく上回る見通しです。

これは渡辺教授が「白人非ヒスパニック系白人」と捉えているからだと思われます。しかしグラフには「ヒスパニック系白人」という区分もあります。にもかかわらず「ヒスパニック系白人」を「白人」から除外するのは無理があります。

記事には「30年前に約76%だった白人の割合は2018年には約60%にまで減少した」との記述もあります。「ヒスパニック系白人」を「白人」に入れれば「2018年」の「白人の割合」は8割近くになり、かなり話が違ってきます。

最後に「米国の歴史上死者が多かった出来事」というグラフについても問題点を指摘しておきます。

3位に「第2次世界大戦」、8位に「ノルマンディーの戦い」となっていますが、ノルマンデー上陸作戦は「第2次世界大戦」の一部です。「ノルマンディーの戦い」を除いてランキングを作成すべきでしょう。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

※今回取り上げた記事「トランプ政治は『最後のあがき』か~『左』へ旋回する米国社会
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/24677


※記事の評価は見送る

0 件のコメント:

コメントを投稿