2020年9月12日土曜日

「大学の投資サークルで理系学生が増えている」が怪しい日経夕刊1面の記事

 12日の日本経済新聞夕刊1面に載った「投資サークル 理系集う~データ分析で相場読む、大学生も資産形成に関心」という記事はどうも怪しい。筆者の田中嵩之記者は「大学の投資サークルで活動する理系学生が増えている」と言い切るが、根拠に欠ける。

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      ※写真と本文は無関係です

記事の最初に出てくるのが「東京大学の投資サークル『エージェンツ(Agents)』」。「エージェンツのメンバー20人のうち、半数が工学部など理系の学生。2002年の設立時は法学部生などが多かったが、10年ごろから理系が増えている」という。

つまり今の「エージェンツ」には「理系の学生」が10人しかいない。「増えている」と言っても、そもそも絶対数が少ない。しかも最近になって増えてきたとは書いていない。「10年ごろ」よりも多いというだけだ。そして、どの程度の増加なのかも触れていない。

非常に苦しい。しかし、これが「大学の投資サークルで活動する理系学生が増えている」と田中記者が言い切る最大の根拠だ。

19年設立の北海道大学の『北海道学生投資研究会』でも部員40人強の半分が理系」らしい。それまで「投資サークル」がなかったのならば「理系学生が増えている」と言えば増えている。しかし文系学生も同様に「増えている」。「理系学生」だけを切り出すのは無理がある。

記事には慶応大学の「実践株式研究会」も出てくるが「理系学生」の増加には触れていない。結局、「大学の投資サークルで活動する理系学生が増えている」と夕刊1面で言い切るに足る確かな情報はない。

なのに「若者世代での資産運用への関心の高まりも、投資サークルでの理系学生の増加につながっている」などと書いている。まともに受け止める気にはなれない。


※今回取り上げた記事「投資サークル 理系集う~データ分析で相場読む、大学生も資産形成に関心

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200912&ng=DGKKZO63778390S0A910C2MM0000


※記事の評価はD(問題あり)。田中嵩之記者への評価も暫定でDとする。

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