2020年7月25日土曜日

預金も「物価の伸びの分、損」? 日経「米の実質金利 過去最低に」

25日の日本経済新聞朝刊総合4面に載った「米の実質金利 過去最低に~進むドル安、株式などに流入 金は最高値に迫る」という記事は、基本的にはためになる内容だ。ただ「実質金利」に関する以下の説明だけは問題を感じた。
大雨で増水した大分県日田市の三隈川(筑後川)
            ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

米国で、物価と比較した金利の水準である実質金利が10年金利でマイナス0.9%と過去最低の水準に低下した。現預金を抱えていては物価の伸びの分、損をするため、ドルの預金や国債などから株式や金などにマネーが動いている。



◎預金は違うような…

実質金利」がマイナスになった場合、「現預金を抱えていては物価の伸びの分、損をする」だろうか。「現金」は分かる。問題は「預金」だ。

記事によると「10年物国債利回りは0.5%台」(ここでは0.6%と考える)。一方、「物価連動債から計算される物価上昇率の市場予想は3月の0.5%から1.5%に上昇」したらしい。そこで、「物価の伸び」が「1.5%」、「預金」金利が0.6%で「実質金利」が「マイナス0.9%」になるケースを考えてみよう。

物価の伸びの分、損をする」のであれば「預金」者は「1.5%」の「」になるはずだ。しかし「現金」保有者と異なり0.6%の金利が得られる。つまり「」は「0.9%」に留まる。

単純な話ではあるが、金利を無視して「現預金」を同じように扱う記事は少なくない。そこは明確に区別してほしい。


※今回取り上げた記事
米の実質金利 過去最低に~進むドル安、株式などに流入 金は最高値に迫る
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200725&ng=DGKKZO61908610U0A720C2EA4000


※記事の評価はC(平均的)

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