2020年7月22日水曜日

乏しい根拠で4人の官僚を「馬鹿」と呼ぶFACTAの「愚行」

記事の中で人を「馬鹿」と呼ぶことには極めて慎重であるべきだ。基本的には選択肢から外していい。あえて使うならば「馬鹿と言われても仕方がない」と読者に思わせる強い根拠が要る。しかしFATA8月号に載った「どんな愚行も許される『ハウス前田』と4人の『馬鹿』」という記事は、その条件を満たしていない。
豪雨被害を受けた天ケ瀬温泉(大分県日田市)
          ※写真と本文は無関係です

当該部分を見ていこう。

【FACTAの記事】

こうした前田の行動を支えるのが4人の官僚だ。省内では「前田チーム」と上品に呼ばれるが、口の悪いOBからは「4馬鹿官僚」と罵られている4人だ。

チームのリーダー格が政策立案総括審議官の荒井勝喜。国会で持続化給付金問題を突き付けられた前田を徹底擁護した。前述の広島・島根出張の省内同行者を選んだのも荒井だという。荒井は総務課長時代の18年11月、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)の取締役会が設立からわずか2カ月で空中分解するきっかけを作った人物

役員報酬は業績連動分を入れて最大で3150万円にすることなどを盛り込んだ「荒井ペーパー」を作成し、当時のJICの社長田中正明らに突きつけた。同年9月には1億円超の報酬を提示していたのに、急に減額した。これを契機に、政府の関与を強めたい経産省と、投資への自由裁量を求めるJIC取締役会が対立を深め、民間出身の取締役9人が一斉に退任した。

JICとの交渉を事務方として直接担っていたのが当時産業創造課長だった「4馬鹿官僚」のナンバー2、佐々木啓介だった。今は大臣官房商務サービスグループ参事官を務める。「アベノマスク」配布のチームリーダーとして知られ、上から目線で「数さえそろえばいいんだ」と言い切って世間から顰蹙をかったあの御仁だ。「実は、電通出身の平川と一番親しいのがこの佐々木だ。毎晩一緒に飲み歩くほどの関係から前田に紹介した」と同省OBは解説する。

残る2人はサービス政策課長の浅野大介と、現在、経産省政策企画委員から群馬県副知事として出向中の宇留賀敬一だ。2人は、「前田ハウス」で宴会が開かれる際に買い物をする「使いっ走り」だ

ある若手官僚が指摘する。「JIC問題なども含めてこの4人は仕事で失敗しようが、遊びみたいな公務出張をしようが何のお咎めもなし。それどころか出世が早い。それも首相秘書官の今井の評価が高いからだとみられている。経産省は全員こんな官僚ではないが、真面目にやっている若手の中には、何だかばかばかしくなった、辞めたいという人が増えた」


◎匿名コメントを使っての「馬鹿」では…

まず「口の悪いOB」という他者のコメントを使って「4人の官僚」を「馬鹿」と呼んでいるのが感心しない。筆者が自らの責任で「馬鹿」と呼ぶべきだ。コメントを使うならば実名コメントが筋だ。今回のような書き方でいいのならば、匿名の悪口を使って誰のこともも「馬鹿」と呼べる。

それでも「馬鹿」と呼ぶに値する根拠が示せていればまだいい。ところが、そこも怪しい。

荒井は総務課長時代の18年11月、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)の取締役会が設立からわずか2カ月で空中分解するきっかけを作った人物」らしい。「JIC」に関して事をうまく運べなかったかもしれないが、誌面を使って「馬鹿」と言われなければならないような話なのか。

「『4馬鹿官僚」のナンバー2、佐々木啓介」に関しては「『アベノマスク』配布のチームリーダーとして知られ、上から目線で『数さえそろえばいいんだ』と言い切って世間から顰蹙をかったあの御仁」のようだが、これと「JICとの交渉を事務方として直接担っていた」という話だけで「馬鹿」と呼ぶのは酷だ。

残る2人」は「『前田ハウス』で宴会が開かれる際に買い物をする『使いっ走り』」というだけで、なぜ「馬鹿」なのか不明だ。

子供がよく「馬鹿って言う奴が馬鹿なんだぜ」と言うが、その言葉を思い出させる記事だった。


※今回取り上げた記事「どんな愚行も許される『ハウス前田』と4人の『馬鹿』
https://facta.co.jp/article/202008029.html


※記事の評価はD(問題あり)

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