2020年7月3日金曜日

日経「十字路~今の相場はバブルじゃない」で馬渕治好氏に感じた不安

ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏は市場をきちんと理解しているのだろうか。2日の日本経済新聞夕刊マーケット・投資面に載った「十字路~今の相場はバブルじゃない」という記事を読むと、かなり怪しい気がしてくる。

能古港(福岡市)※写真と本文は無関係です
記事の前半部分を見ていこう。

【日経の記事】

バブルを定義するうえで、証券などの価格が実態が示す価値よりはるかに高い状態を指す、という点に異論はないだろう。ただしそれだけでは、バブルとは言い難い。

バブルが成立するには、その時点で、ほとんどの市場参加者がバブルだとは露とも思っていないことが必要だろう。多くの投資家がすでに割高と判断を始めれば、その水準からバブルが完成するまで買い上げる向きは、現れないからだ。バブルの渦中では、皆が「いかに今の価格が妥当なのか」と、自身の買いを正当化するのに忙しいはずだ。

新型コロナウイルスの流行が続いているにもかかわらず、主要国の株価が3月の安値からかなり上昇してバブルになっている、という主張をよく耳にする。ただそういう声が多いならば、今はバブルではない。なので、これからバブル崩壊という形での大幅な株価下落はないだろう。



◎何でそうなる?

今の株式相場は「バブル」かもという声が多いならば「今はバブルではない」と馬渕氏は断言する。その根拠として「バブルが成立するには、その時点で、ほとんどの市場参加者がバブルだとは露とも思っていないことが必要だろう。多くの投資家がすでに割高と判断を始めれば、その水準からバブルが完成するまで買い上げる向きは、現れないからだ」と説明している。これは二重に間違っている。

まず「多くの投資家がすでに割高と判断」していても「その水準からバブルが完成するまで買い上げる向き」が現れる可能性は十分にある。例えば「割高と判断」している投資家の割合が9割だとしよう。残りの1割はまだ強気に買いまくっている。そして弱気派のうち5%ほどが売りに回るとしよう。この場合、相場が「その水準から」さらに上がる余地は十分にある。

相場が上昇するためには「ほとんどの市場参加者」が強気である必要はない。売りを吸収できるだけの買い手がいれば十分だ。

仮に「多くの投資家がすでに割高と判断を始めれば、その水準からバブルが完成するまで買い上げる向きは、現れない」としよう。その場合も「今はバブルではない」と言える根拠にはならない。既に「バブル」のピークに達している可能性があるからだ。

多くの投資家がすでに割高と判断」していることを根拠に「今はバブルではない」と結論付けるのはおかしい。「今はバブルの始まりではない」なら分かるが…。

バブル」のピーク時に「ほとんどの市場参加者」が「バブル」だと認識していない場合は当然あるだろう。だが「多くの投資家がすでに割高と判断」していてもおかしくない。「多くの投資家がすでに割高と判断」していても「バブル」崩壊はやはりあり得る。


※今回取り上げた記事「十字路~今の相場はバブルじゃない
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200702&ng=DGKKZO61017960R00C20A7ENI000


※記事の評価はD(問題あり)

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