2020年3月10日火曜日

石鍋仁美編集委員の限界感じる日経「新型コロナ、消費意識変える」

日本経済新聞の石鍋仁美編集委員に分析記事を書かせるのは今回を最後とすべきではないか。10日の朝刊総合1面に載った「真相深層~新型コロナ、消費意識変える 自粛後は少人数型へ 便利さより信頼を重視」という記事からは、そう判断せざるを得ない。
JR久留米駅前のタイヤ※写真と本文は無関係

まず、文の作り方に注文を付けたい。

【日経の記事】

「社会の先行きが不透明になるなか、今の消費者は自分に寄り添い、支えてくれる企業やブランドを支持する」と米広告大手、ヤング&ルビカムの消費者調査の担当者は語る。先進国共通の現象だという。


◎読点の位置が…

この書き方だと「今の消費者」が「自分に寄り添」っているように見える。「寄り添い、」と読点を打っているのもマズい。「自分に寄り添い支えてくれる企業やブランドを今の消費者は支持する」と語順を変えれば問題は解消する。

編集委員」という肩書を付けたベテランなのに、この辺りで技術不足を露呈しているのにも書き手としての限界を感じる。

記事の続きを見ていこう。

【日経の記事】

国全体を巻き込む自粛や災害は消費者の物差しを変える。昭和天皇の健康状態が悪化した1988年秋からの約4カ月。「自粛」という言葉が広まるきっかけになった当時、バブル景気による浮かれ気分を見直す空気が生まれ、「物」から「体験」へという価値観の転換の引き金となった



◎「自粛」は80年代に広まった言葉?

『自粛』という言葉が広まるきっかけになった当時」と書いているので、それ以前には「自粛」という言葉がなかったか、あってもほとんど知られていなかったと石鍋編集委員は思っているのだろう。

昭和天皇の健康状態が悪化した」時に「自粛」ムードが広がったのは確かだが、その前から「自粛」という言葉は当たり前に使われていた気がする。

『物』から『体験』へという価値観の転換の引き金となった」との説明も謎だ。なぜ「自粛」ムードが広がると「『物』から『体験』へ」と「価値観」が変わるのか。当時、そうした変化が世の中に起きたとも思えない。

この辺りは「自分にはそう見えた」と言われればそれまでだ。しかし、この後の解説はそうはいかない。

【日経の記事】

今回の外出、イベント、集会や宴会の自粛は何をもたらすか。

地方移住の促進に携わる人は「人の少ないことの良さに目を向ける人がいるのでは」と期待する。大型クルーズ船の代わりに小型船の貸し切りが人気になるかもしれない。音楽や演劇の公演も屋内が難しいなら青空の下でとなるだろう。人々が求めているものを、安全・安心を保ちつつ提供し、喜んでもらい、信頼を得る。それが「自粛後」につながる。



◎「大型クルーズ船の代わりに小型船」?

今回の記事で最も驚いたのが「大型クルーズ船の代わりに小型船の貸し切りが人気になるかもしれない」との記述だ。屋形船での宴会に出席した人から感染が広がった件を石鍋編集委員は知らないのか。

音楽や演劇の公演も屋内が難しいなら青空の下でとなるだろう」というくだりにも同様の問題を感じる。Jリーグが試合の延期に踏み切ったり、女子ゴルフで試合が中止になったりしていることを石鍋編集委員は知らないのか。あるいはサッカーやゴルフを「屋内」競技だと思っているのか。いずれにしても石鍋編集委員に記事を書かせるのは危険だ。


※今回取り上げた記事「真相深層~新型コロナ、消費意識変える 自粛後は少人数型へ 便利さより信頼を重視
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200310&ng=DGKKZO56594310Z00C20A3EA1000


※記事の評価はD(問題あり)。石鍋仁美編集委員への評価はDを据え置く。石鍋編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「シェアリング」 日経 石鍋仁美編集委員の定義に抱いた疑問
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/02/blog-post_88.html

どこに「自己否定」? 日経 石鍋仁美編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/07/blog-post_31.html

ダイバーシティー必要論に根拠乏しい日経 石鍋仁美編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/03/blog-post_27.html

具体的「ゴール」見えぬ日経 石鍋仁美編集委員の「経営の視点」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post.html

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