2017年10月6日金曜日

必須情報が抜けた日経「ニッセイアセット投信手数料、最低水準に」

投資信託関連で日本経済新聞にまたレベルの低い記事が載っていた。6日の朝刊金融経済面の「ニッセイアセット 投信手数料、最低水準に」という記事は、必須の情報が欠けている。「投信手数料」の引き下げ幅と具体的な手数料率だ。
豪雨被害を受けた福岡県朝倉市 ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】 

ニッセイアセットマネジメントは、投資信託の運用手数料を業界最低水準に引き下げる。対象は日経平均株価などに連動する「インデックス投信」と呼ばれる5本。引き下げは1年ぶり。資産残高が積みあがり、運用の効率が上がっているため手数料の引き下げで顧客に還元する狙いだ。

日経平均株価や外国株式に連動するインデックス投信5本の運用手数料にあたる「信託報酬」を、現在の業界最低水準から0.001%ずつ低い水準に変える。11月に3本、来年2月に2本を引き下げる見通し。

手数料を引き下げる投信は、来年1月に始まる積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の対象に選ばれている。

投信の手数料を巡っては、8月末にりそなアセットマネジメントが当時最低水準のインデックス投信を投入。三菱UFJ国際投信や大和証券投資信託委託なども引き下げに動き、競争が激しくなっている。


◎どの程度の「引き下げ」?

投資信託の運用手数料を業界最低水準に引き下げる」と冒頭で書いているのに、最後まで読んでも、どの程度の引き下げなのか教えてくれない。引き下げた後の信託報酬が具体的に何%になるかも不明だ。これではニュース記事として必要最低限の情報を提供できていない。
鳥栖プレミアム・アウトレット(佐賀県鳥栖市)
          ※写真と本文は無関係です

業界最低水準」が今後変わるかもしれず、その場合は変化した「業界最低水準」に合わせるという話かもしれない。だとしたら、その点を明示した上で、現時点での「業界最低水準」をベースに数字を見せるべきだ。

業界最低水準」の定義も気になる。記事の最後の段落から判断すると、ETFを除外した「業界最低水準」ではないかと思える。しかし、ETFも立派な投信なので、除外する意味はない。

では、ETFを除外した投信の中では「業界最低水準」なのかと言うと、これも安心できない。あくまで推測だが、例えば「11月に3本」引き下げるのはTOPIX連動型、「来年2月に2本を引き下げる」のは日経平均連動型で、それぞれのカテゴリーで「業界最低水準」という話のような気もする。もしそうならば、これも明示すべきだ。

今回のような漠然とした内容の記事を世に送り出すのは感心しない。6日の朝刊1面に載せた「購読料改定のお願い」では「クオリティーの高い新聞を皆様にお届けしていくためには、価格改定をお願いせざるを得ないと判断いたしました」と記している。価格改定後には、今の低い「クオリティー」が改善されると期待したい。


※今回取り上げた記事「ニッセイアセット 投信手数料、最低水準に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171006&ng=DGKKZO21940360V01C17A0EE9000

※記事の評価はD(問題あり)。

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