2022年9月10日土曜日

朝刊1面トップには苦しすぎる日経「グーグル、検索で国ごとに最適化」

「これで1面トップはさすがに苦しいだろう」と編集局の幹部は思わなかったのだろうか。10日の日本経済新聞朝刊に載った「グーグル、検索で国ごとに最適化~アジア主要国にチーム ニーズに対応、開発分散」という記事は苦しい内容だった。一言で言えば「ほぼニュース性がない」。

宮島連絡船

グーグル、検索で国ごとに最適化」が記事の柱だ。これまで「検索で国ごとに最適化」しない方針だった「グーグル」が「アジア主要国」を皮切りに「最適化」に乗り出すという話ならば1面トップの扱いも分かる。しかし、そうはなっていない。

まず「アジア」以外の動向については触れていない。なので「最適化」に乗り出す最初の地域が「アジア」かどうか判断できない。

それでもこれから「アジア主要国にチーム」を置くという話がしっかり出てくるのならば救いがある。しかし、そうはならない。日本に関しては以下のように書いている。

日本では2021年に専任チームの設立を決め、検索を担当するゼネラルマネジャーや研究開発のポストなどを順次増やしている。日本のユーザー特性に焦点を当て、使い勝手を向上させる機能の開発を進めている

専任チームの設立」の時期は断定できないが「2021年」だとすると「アジア主要国」での「最適化」は昨年には動き出していたことになる。それでも、これから一気に「アジア主要国」に広げていくという話なら何とかなる。インドに触れたくだりも見ておこう。

同様の専任チームはインドにも設立した。同国では『音声での検索が3割を占め、しかも複数の言語が使われる』(ラガバン氏)ことから、会話の解析技術を優先して開発しているという

インドでも「専任チーム」は既にあるようだ。では日本とインド以外の「アジア主要国」に広げていくのか。そうだとは思うが日印以外の「アジア主要国」がどの国を指すのか記事には明確な説明がない。

各市場に特化した開発チームを日本やインドを皮切りに東南アジアの国々へ広げ~」と書いているので「東南アジアの国々」だろうが、国の特定はできない。記事中に「ベトナム」の話は出てくるものの「アジア主要国」に含めていると取れる書き方ではない。

日本やインド」には既に「専任チーム」がある。これから「専任チーム」を作る「東南アジアの国々」が具体的にどの国を指すのか不明だし設立の時期にも触れていない。

検索・広告事業を率いるプラバッカー・ラガバン上級副社長が都内で日本経済新聞のインタビューに応じ」たからニュースはほぼなくても頑張ってニュース記事に仕立てたのだろう。

仮にそれを認めるとしても1面に持ってくる必要はない。同日の1面にある「物価高対策」でも「希望子ども数」でもいい。もっと1面トップにふさわしいネタがあったはずだ。

記者というより、この記事を1面トップに選んだ編集局幹部に反省を促したい。


※今回取り上げた記事「グーグル、検索で国ごとに最適化~アジア主要国にチーム ニーズに対応、開発分散

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220910&ng=DGKKZO64224640Q2A910C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)

1 件のコメント:

  1. 「検索・広告事業を率いるプラバッカー・ラガバン上級副社長が都内で日本経済新聞のインタビューに応じ」・・これが日経にとってニュース性になったのでしょう。ああ、恥ずかしい。

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