2020年12月28日月曜日

根拠示さず小林よしのり氏を否定する小田嶋隆氏の「律義な対応」を検証

小田嶋隆氏のコラムを長く愛読してきた。最近は衰えが目立つようにはなってきたが、それでも読むのを楽しみにしている。言ってみれば小田嶋氏寄りの人間だ。その自分から見ても25日付の日経ビジネス電子版に載った「小田嶋隆の『ア・ピース・オブ・警句』 ~世間に転がる意味不明~来年が凡庸で退屈な一年でありますように」という記事は問題ありだ。

耳納連山に沈む夕陽

記事の前半を見た上で問題点を指摘したい。

【日経ビジネスの記事】

今年の当欄の更新は今回で最後だ。

なるべくなら明るい話題で2020年を締めくくりたかったのだが、諸般の事情から、どうやらそういうわけにもいかない。

12月21日、22日の両日、毎日新聞が有料契約者向けに公開しているWebコンテンツのひとつ「医療プレミア」内で、小林よしのり氏(67)のインタビュー記事を掲載した。

この記事に関連して、私は以下の2つのツイートを発信した。

《いま、この時期に、この状況で、よりにもよって小林よしのりの言い分をまるで無批判に垂れ流しにするインタビュー記事を掲載する毎日新聞の見識に心の底からあきれている。逆張り言説でメシを食おうとする人間がいること自体は個人の自由だが、新聞がそういうヤカラに翼を与えちゃダメだろ。午前9:19・2020年12月21日》

《(下)も小林よしのり氏の言いたい放題を拝聴するだけの翼賛記事ですね。論評も検証もゼロ。両論併記すらしていません。失望しました。午前9:39・2020年12月22日》

で、このツイートへの反応が軽く炎上している。

賢明な人間であれば、自分の炎上ネタは扱わない。

というよりも、賢い人間の振る舞いとしては、小林よしのり氏のような人物とのやりとりは黙殺することになっている。別の言い方をすれば、小林よしのり氏のようなタイプの言論人は、優秀な文筆家や賢明な有識者が、あえて相手にしないからこそ、メディアの中で生き残ることができているわけだ。

でも、私はあまり賢くない。

なので、今回は、新型コロナウイルスを軽視する論陣を張っている人々をあえてテーマとして持ってくることにする。

過剰に賢明でないことは、書き手としての私の数少ない長所のひとつだ。

というのも、賢明で先の見える人間は、面倒くさい仕事には関与しないものだからだ。

そして、厄介なやりとりや危険を伴う論争を回避する賢さを備えた書き手は、いつしか文筆の仕事から離れてしまうのだな。

私の知る限りでも、何人もの秀逸な文章家が、業界を見限っている。彼らはいまや別の世界でまったく違ったタイプの仕事をしている。

勘違いしてはいけない。出版業界が彼らを見捨てたのではない。彼ら優秀な書き手が、面倒くさいばかりでさしたるメリットを提供しない文筆の仕事に愛想を尽かしたのである。

しかしながら、もう一度言うが、私は賢くない。

なので、小林よしのり氏のような、対峙した相手になんらの利益をももたらさない面倒くさい人間にも、律義に対応する。わがことながら愚かなリアクションであることは自覚している。でもまあ、こうして相手をしてさしあげるのは、これが最後だ。クリスマスプレゼントだと思ってもらえるとありがたい。

さて、私がこの労多くして益少ない論争に片足を突っ込んだ理由は、必ずしも愚かさだけではない。

個人的な自覚としては、私がこのテーマをあえてテキスト化することにした理由は、新型コロナウイルスの感染危機が拡大すればするほど、世間にはびこっている「コロナ楽観論」(←と、勝手に名前をつけます)の有害さもまた巨大化しつつある、と、そう考えたからだ。

ということはつまり、この原稿は、世のため人のために為されている一種の慈善事業でもある。

私はサンタクロースなのかもしれない。


◎相手を否定するのならば…

小田嶋氏は「小林よしのり氏」をかなり激しく否定している。否定や批判は悪くないが、しっかりした根拠は欲しい。しかし小田嶋氏は「小林よしのり氏」の主張の問題点を全く指摘していない。記事の後半で一般的な「コロナ楽観論」に対する小田嶋氏の考えを示してはいる。だが、その前にやることがある。

小林よしのり氏の言いたい放題」の中に事実誤認があるのか。差別発言があるのか。そうした「論評も検証も」できる場を与えられたのに、なぜそれをしないのか。

相手をしてさしあげる」と小田嶋氏は言っているが「小林よしのり氏のような、対峙した相手になんらの利益をももたらさない面倒くさい人間」などと根拠も示さず悪く言っているだけだ。「律義に対応する」しているとは思えない。

そもそも話の展開もおかしい。

賢明な人間であれば、自分の炎上ネタは扱わない。というよりも、賢い人間の振る舞いとしては、小林よしのり氏のような人物とのやりとりは黙殺することになっている」と小田嶋氏は書いている。

小田嶋氏の「2つのツイート」に「小林よしのり氏」が嚙みついてきたのならば「小林よしのり氏のような人物とのやりとりは黙殺することになっている」と書くのも分かる。しかし「小林よしのり氏」がアクションを起こしたと取れる記述はない。なのに「小林よしのり氏」に対して「リアクション」してしまっている。

リアクション」するのならば「ツイートへの反応」に対してとなるのが自然だ。あらぬ方向へ「リアクション」が向かっている。「小林よしのり氏」としては「小田嶋氏の何のアクションも起こしていないのに…」となるのではないか。


※今回取り上げた記事「小田嶋隆の『ア・ピース・オブ・警句』 ~世間に転がる意味不明~来年が凡庸で退屈な一年でありますように

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00100/


※今回取り上げた記事の後半部分については以下の投稿を参照してほしい。

小田嶋隆氏が日経ビジネスで展開した「コロナ楽観論批判」への「反論」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/12/blog-post_29.html


※記事の評価はE(大いに問題あり)小田嶋氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

どうした小田嶋隆氏? 日経ビジネス「盛るのは土くらいに」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2016/09/blog-post_25.html

山口敬之氏の問題「テレビ各局がほぼ黙殺」は言い過ぎ
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/06/blog-post_10.html

小田嶋隆氏の「大手商業メディア」批判に感じる矛盾
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_12.html

杉田議員LGBT問題で「生産性」を誤解した小田嶋隆氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/lgbt.html

「ちょうどいいブスのススメ」は本ならOKに説得力欠く小田嶋隆氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/ok.html

リツイート訴訟「逃げ」が残念な日経ビジネス「小田嶋隆のpie in the sky」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/pie-in-sky.html

「退出」すべきは小田嶋隆氏の方では…と感じた日経ビジネスの記事https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post_16.html

「政治家にとってトリアージは禁句」と日経ビジネスで訴える小田嶋隆氏に異議ありhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2020/12/blog-post_10.html

「利他的」な人だけワクチンを接種? 小田嶋隆氏の衰えが気になる日経ビジネスのコラムhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2020/12/blog-post_15.html

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