2020年12月2日水曜日

「重粒子線治療」は副作用の心配なし? 日経「大機小機」に見える過大評価

日本経済新聞のコラム「大機小機」の筆者である桃李氏によると「重粒子線治療」は「手術や副作用なく体内深部のがんだけを消滅させる革命的技術」らしい。「副作用」と無縁とは考えにくいので以下の内容で問い合わせを送ってみた。回答はないだろう。

錦帯橋

【日経の記事】

12月2日の日本経済新聞朝刊マーケット総合2面に載った「大機小機~技術進歩、加速する世紀」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

日本では例えば、がん死ゼロを目指す、米国にもない最先端の重粒子線治療が6拠点で実施されている。炭素イオンを光速近くまで加速した量子メスを使い、手術や副作用なく体内深部のがんだけを消滅させる革命的技術である

これを信じれば「重粒子線治療」では「副作用」は起きないはずです。しかし「副作用」のリスクはあると思えます。例えば群馬大学 重粒子線医学センターのホームページでは「重粒子線治療では、がんを含む限られた範囲に必要な量だけ照射することができるため、一般の放射線治療に比べ、かなり副作用は軽くなっています。 ただ、副作用が全くないとはいえません」と説明しています。

副作用なく」との説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


記事はこの後「巨額投資が要るが1人当たり追加費用は少なく、保険全適用になれば利用者が増えるほどコスト回収ができる。世界に普及すれば人類への日本の貢献は計り知れない。この分野には国の関与が不可欠だ」と続く。「重粒子線治療」が先進医療として承認されたのが2003年。それから随分と時間が経っているが「保険全適用」には程遠い。本当に「がん死ゼロ」の実現を可能にする「革命的技術」ならば早々に「保険全適用」となるはずだ。

なぜそうならないのか。そこを桃李氏には考えてほしい。


※今回取り上げた記事「大機小機~技術進歩、加速する世紀」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201202&ng=DGKKZO66880480R01C20A2EN2000


※記事の評価はD(問題あり)

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