2020年12月19日土曜日

「悩み解決法」の説明が意味不明な日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」

日本経済新聞の中村直文編集委員は説明が上手くないのだろう。18日の朝刊企業3面に載った「ヒットのクスリ~『オールインワン』商品台頭 本や服、何度も役立つ」という記事は理解に苦しんだ。「精神科医が教える ストレスフリー超大全」という本について記事では以下のように説明している。

耳納連山に沈む夕陽

【日経の記事】

今年の「ヒットのクスリ」は今回で最後。新型コロナウイルスの感染拡大で大きく変わった消費の姿を伝えてきた。1つの特徴が1粒で2度、あるいは3度おいしい「オールインワン型」商品の台頭だ。

ダイヤモンド社の書籍「精神科医が教える ストレスフリー超大全」は販売部数が15万を突破した。ストレスをきちんと夜にリセットし、ため込まない方法を指南する。新型コロナで悩む人は多かっただろうが、この本の何がそんなに刺さったのか。

著者で精神科医の樺沢紫苑(しおん)氏はユーチューブで悩み相談を受けていた。相談件数が2500に達するなかで気づきが生まれたという。「90%は過去の質問と同じで、おおむね複数のパターンに大別できる。すでに答えも出ている。実行するかどうかだけ」

同書では「人間関係」「プライベート」「仕事」「健康」「メンタル」の5つのテーマを設定、さらにそれぞれを複数の論点に切り分けている。「個別の悩みを解決法としての『to do』に置き換えている。ストレス本の決定版」と樺沢氏は自負する。1冊に全て入っているから、どんな悩みが生じても当てはまるというわけだ。

例えば「人間関係」では「人から嫌われたくない」という悩みがある。これに関する事実関係として「好意の1対2対7」の法則を示す。自分を嫌う人が1割、好きが2割、中立が7割という意味だ。そして「to do」として3割のキーマンに7割のエネルギーをそそぐことをあげる。

自分を嫌いなのは1割しかいないのだから、おおむね気にする必要がないということだ。樺沢氏は「不調の兆しが出たら、睡眠、朝散歩、運動を徹底するだけ。仮に人間関係が改善できなくても身体を整えれば、メンタルも整う」という。


◎答えになってる?

人から嫌われたくない」という「悩みがある」としょう。「自分を嫌う人が1割、好きが2割、中立が7割」という「『好意の1対2対7』の法則」も受け入れよう。

悩める人に対して「3割のキーマンに7割のエネルギーをそそぐこと」を勧めるらしい。それで「人から嫌われ」ないようになるのならば立派な助言だ。しかし記事は「自分を嫌いなのは1割しかいないのだから、おおむね気にする必要がないということだ」と続く。

嫌われ」ずに済むのではなく「おおむね気にする必要がない」という話になってしまう。さらに言えば「おおむね気にする必要がない」のに、なぜ「3割のキーマン(『嫌う』と『好き』の合計だと仮定)に7割のエネルギーをそそぐ」べきなのか。「自分を嫌う」人にも2割超の「エネルギーをそそぐ」計算になる。「おおむね気にする必要がない」のならば「自分を嫌っていない9割」にほぼ100%のエネルギーを注ぐべきではないか。

そもそも「気にする必要がない」を答えとしていいのか。これで良ければ多くの問題は確かに解決する。「上司とそりが合わない」「ネットで叩かれて傷付いてしまう」「部活でレギュラーになれない」といった「悩み」には「気にする必要がない」で対応できる。「どんな悩みが生じても当てはまる」に近付けるが、そこに価値は感じない。

本の中で「精神科医の樺沢紫苑氏」はもっときちんと説明しているのかもしれない。内容がおかしいと感じたならば中村編集委員も取り上げないだろう。せっかく取り上げるのならば、ちゃんとした「著者」だと伝わるように書いてほしい。今回の内容だと「樺沢紫苑氏」が愚か者に見えてしまう。

今年の『ヒットのクスリ』は今回で最後」という書き方から判断すると、このコラムは来年も続くのだろう。であれば、記事を担当するデスクなど周りがしっかり中村編集委員を支えてあげるべきだ。今回のような記事を世に送り出してしまうのは今年で終わりにしたい。


※今回取り上げた記事「ヒットのクスリ~『オールインワン』商品台頭 本や服、何度も役立つ

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201218&ng=DGKKZO67441890X11C20A2TJ3000


※記事の評価はD(問題あり)。中村直文編集委員への評価はDを維持する。中村編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。


無理を重ねすぎ? 日経 中村直文編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2015/11/blog-post_93.html

「七顧の礼」と言える? 日経 中村直文編集委員に感じる不安
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_30.html

スタートトゥデイの分析が雑な日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_26.html

「吉野家カフェ」の分析が甘い日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」が苦しすぎる
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_3.html

「真央ちゃん企業」の括りが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_33.html

キリンの「破壊」が見えない日経 中村直文編集委員「経営の視点」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/blog-post_31.html

分析力の低さ感じる日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/blog-post_18.html

「逃げ」が残念な日経 中村直文編集委員「コンビニ、脱24時間の幸運」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/24.html

「ヒットのクスリ」単純ミスへの対応を日経 中村直文編集委員に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員は「絶対破れない靴下」があると信じた?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_18.html

「絶対破れない靴下」と誤解した日経 中村直文編集委員を使うなら…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_21.html

「KPI」は説明不要?日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」の問題点
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/kpi.html

日経 中村直文編集委員「50代のアイコン」の説明が違うような…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/50.html

「セブンの鈴木名誉顧問」への肩入れが残念な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/07/blog-post_15.html

「江別の蔦屋書店」ヨイショが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_2.html

渋野選手は全英女子まで「無名」? 日経 中村直文編集委員に異議あり
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_23.html

早くも「東京大氾濫」を持ち出す日経「春秋」の東京目線
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_29.html

日経 中村直文編集委員「業界なんていらない」ならば新聞業界は?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/blog-post_5.html

「高島屋は地方店を閉める」と誤解した日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post_23.html

野球の例えが上手くない日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/blog-post_15.html

「コンビニ 飽和にあらず」に説得力欠く日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html

平成は「三十数年」続いた? 日経 中村直文編集委員「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/deep-insight.html

拙さ目立つ日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ~アネロ、原宿進出のなぜ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/blog-post_28.html

「コロナ不況」勝ち組は「外資系企業ばかり」と日経 中村直文編集委員は言うが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/06/blog-post.html

データでの裏付けを放棄した日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/07/blog-post_17.html

「バンクシー作品は描いた場所でしか鑑賞できない」と誤解した日経 中村直文編集委員https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/09/blog-post_11.html

「新型・胃袋争奪戦が勃発」に無理がある日経 中村直文編集委員「経営の視点」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/10/blog-post_26.html

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