2020年12月17日木曜日

過去との比較が抜けた日経「東芝、5年で1兆円投資~再生エネ買収など検討」

17日の日本経済新聞朝刊1面に載った 「東芝、5年で1兆円投資~再生エネ買収など検討」という記事は完成度が低かった。全文を見た上で具体的に指摘したい。

耳納連山に沈む夕陽

【日経の記事】

東芝は今後5年間で1兆円を投資する。風力発電事業への参入などM&A(合併・買収)にも資金を投じる。これまで不採算事業の売却など財務改善を優先してきた。業績が回復してきたことで、借入金も活用しつつ攻めの経営に転じる。

風力発電では関連技術などの買収や協業を検討し、火力や原子力発電で培った発電ノウハウと組み合わせて事業を拡大する。また発電所などのインフラ向けサービスの売上高営業利益率は9%と高く、成長が見込める。蒸気タービンの部品メーカーなどを買収し、他社製タービンの更新需要を取り込む。

M&Aは1件あたり数百億円規模までを想定する。過去の大型買収の失敗を踏まえ、リスクを分散させつつ、稼ぐ力を示す投下資本利益率(ROIC)や投資効率を表す内部収益率(IRR)などを使って管理する。

資金は借り入れや、半導体メモリーのキオクシアホールディングス株の売却で賄う。有利子負債は9月末の約6000億円から、2000億円程度増える見通し。自己資本に占める純有利子負債の比率を30%程度に抑えて健全性を保つ。

中期経営計画では最終年度の2026年3月期に営業利益で4000億円と、今期予想(1100億円)の約3.6倍を目指す。投資を積極化し、達成につなげる。


◇   ◇   ◇


気になった点を列挙してみる。

(1)暦年での話?

12月中旬に出た記事で「今後5年間で1兆円を投資する」と書いてあれば「来年(2021年1月)からの5年間)と取るのが自然だ。しかし決算期が3月なので「2021年4月からの5年間」のような気もする。記事でも「中期経営計画では最終年度の2026年3月期に~」と書いている。暦年かどうかは明示した方がいい。


(2)過去との比較は?

今後5年間で1兆円を投資する」と書いているだけで過去との比較はない。「攻めの経営に転じる」と言うのだから「投資」を増やすのだろう。これまでの「5年間」と比べてどのくらいの増加になるのかは必須の情報だ。


(3)「自己資本に占める純有利子負債の比率」?

自己資本に占める純有利子負債の比率」という記述は厳しく言えば誤り。「純有利子負債」は「自己資本」の一部ではない。「自己資本に対する純有利子負債の比率」などとすべきだ。



※今回取り上げた記事「東芝、5年で1兆円投資~再生エネ買収など検討

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201217&ng=DGKKZO67401420X11C20A2MM8000


※記事の評価はE(大いに問題あり)

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