2020年1月25日土曜日

前田道路と前田建設を「親子」としていた日経がやっと軌道修正

25日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「真相深層~株主の圧力、亀裂深める 前田道路、前田建設TOBに反対 『買収から守る』に疑念」という記事を読んで少し安心した。この件に関して日経は当初「『親子上場』する両社が対立」などと間違った説明をしていた。しかし、今回の記事では両社を「親子」とは捉えていない。
旧福岡県公会堂貴賓館(福岡市)
      ※写真と本文は無関係です

最初の段落は以下のようになっている。

【日経の記事】

道路舗装事業などを手掛ける前田道路は24日、ゼネコン準大手の前田建設工業が21日から実施中のTOB(株式公開買い付け)に対し、反対を表明した。独立を保ちながらも資本関係はあった両社の決裂が決定的になった。亀裂の深まりをもたらしたのは自ら圧力を強めただけでなく、両社の交渉にも影響をもたらした物言う株主の存在だ。



◎正しい認識だが…

独立を保ちながらも資本関係はあった両社の決裂が決定的になった」との説明に問題は感じない。

ただ「亀裂の深まりをもたらしたのは自ら圧力を強めただけでなく、両社の交渉にも影響をもたらした物言う株主の存在だ」という文は拙い。「AだけでなくB」という形を上手く作れていない。「もたらした」を繰り返しているのも気になる。改善例を示しておく。

【改善例】

亀裂が深まったのは自ら圧力を強めたためではあるが、両社の交渉に影響をもたらした物言う株主の存在もあった。

◇   ◇   ◇

ついでにもう1つ。記事には「この直前に、前田建設はオアシスから、いくつかの選択肢を迫られたという」との記述がある。「選択を迫られた」ならば分かるが「選択肢を迫られた」との表現には不自然さを感じる。

話を戻そう。今回の件を総括して、記事の終盤では以下のように書いている。

【日経の記事】

20~50%を出資する事業会社が大株主の上場企業は244社と多い。子会社ではないため経営の独立性は高く、ともすると大株主と戦略を巡り対立しやすい。伊藤忠商事とデサントが代表例だ。

物言う株主は資本関係の見直しを日本市場の大きな投資テーマとみている。株主の圧力のなかで関連企業が資本関係を巡って対立する構図は、あちこちに広がりそうだ。



◎やっとまともな方向へ…

子会社ではないため経営の独立性は高く」という説明も、今回の件と整合する。「親子」であれば、親の支配権が確立しているので、「前田建設」と「前田道路」のような問題は基本的に起きない。今回はどちらかと言うと「親子」ではないが故の対立だ。

それを「『親子上場』する両社が対立する異例の展開となる」と認識してしまうと、根本から間違ってしまう。日経もやっと軌道修正したようだが、「親子」の問題と最初に捉えてしまったのは経済紙として恥ずかしい。

ちなみに「『親子上場』する両社が対立する異例の展開となる」との説明は誤りではないかと日経に問い合わせて4日が経つが、やはり回答はない。


※今回取り上げた記事「真相深層~株主の圧力、亀裂深める 前田道路、前田建設TOBに反対 『買収から守る』に疑念
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200125&ng=DGKKZO54800740U0A120C2EA1000


※記事の評価はC(平均的)。堤健太郎記者と四方雅之記者への評価も暫定でCとする。


※今回の件に関しては以下の投稿も参照してほしい。

前田道路と前田建設は「親子上場」と誤解させる日経の罪
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_21.html

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