2020年1月18日土曜日

佐々木融氏からアイデア拝借? 日経 清水功哉編集委員「安全通貨 円の変質」

週刊東洋経済の1月18日号に「マネー潮流~ドル円相場が動かなくなった要因」という記事が載った。筆者はJPモルガン・チェース銀行市場調査本部長の佐々木融氏。「円という通貨の変動幅が小さくなっている理由の1つとして、円が以前ほど『安全通貨』と呼ばれるような動きをしなくなったことが挙げられる」と解説していた。

三井中央高校(福岡県久留米市)※写真と本文は無関係
記事では「他の国も低金利になってしまったため、高金利通貨と呼べるような通貨がなくなり、キャリートレードが活発に行われなくなっている」「円よりもユーロのほうが低金利になっており、キャリートレードを行うとしても、円ではなく、ユーロを売る市場参加者が増えている」などと背景も含め丁寧に説明していた。

「ためになる良い記事だな」と思っていたら、その約1週間後の日本経済新聞朝刊マネー&インベストメント面(1月18日付)に「『安全通貨』円の変質~市場緊迫時も買い鈍く」というよく似た内容の記事を見つけた。

こちらの筆者は日経の清水功哉編集委員。「市場でリスク回避ムードが強まると買われる――。そうした円の特質が薄れてきたとの声が聞かれる」と冒頭で打ち出している。

読み進めていくと以下のくだりが出てくる。

【日経の記事】

物価低下圧力が他の国にも広がれば、円だけが低金利通貨ではなくなる。これも円の変質を招く。

「円よりユーロを借りて手掛けるキャリー取引の方が増えてきた」(JPモルガン証券の佐々木融氏)。マイナス金利政策で、日銀(短期政策金利マイナス0.1%)より欧州中央銀行(中銀預金金利マイナス0.5%)の方が積極的な姿勢を印象付けているためだ。リスクが高まったときの円買い戻しも従来の規模では起きにくくなった。


◎アイデアをそっくり頂いた?

佐々木融氏」のコメントを見て合点がいった。清水編集委員は記事の柱となるアイデアを「佐々木融氏」からそっくり頂いた可能性が高い。東洋経済の記事が出ることを知らなかったのかもしれないが、出てからでも別の話で書き直す時間的な余裕はある。

ただ、「佐々木融氏」に頼って今回の記事を書き上げたのならば、元々ネタに困っていたはずだ。1週間に満たない期間で、新たにアイデアを考えて記事にするのは難しかったのかもしれない。

清水編集委員に関しては「面白いことは書かないが、手堅くまとめるのは上手い」と評してきた。日経の編集委員の中で書き手としての評価は低くない。それでもアイデアが湧いてこないで四苦八苦しているのだとすると「訴えたいこと」を持っている書き手はかなり貴重な存在だと思える。

それでも、マネー&インベストメント面の分析記事は「訴えたいこと」を持っている書き手に任せてほしい。


※今回取り上げた記事

マネー潮流~ドル円相場が動かなくなった要因
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22648


『安全通貨』円の変質~市場緊迫時も買い鈍く
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200118&ng=DGKKZO54515100X10C20A1PPE000


※東洋経済の記事の評価はB(優れている)。佐々木融氏への評価はBを据え置く。日経の記事の評価はC(平均的)。清水功哉編集委員への評価もCを据え置く。清水編集委員については以下の投稿も参照してほしい。

企業にデフレ心理? 日経 清水功哉編集委員への疑問
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_28.html

危ないことをサラッと書く日経 清水功哉編集委員への期待
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_48.html

「強固なデフレ心理」がある? 日経 清水功哉編集委員に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_20.html

「円高・株安=市場混乱」と日経 清水功哉編集委員は言うが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/03/blog-post_31.html

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