2022年10月3日月曜日

古い話を「これからの話」に見せたかった? 日経「住友林業、豪住宅で太陽光標準化」

色々と疑問を感じる記事が3日の日本経済新聞朝刊ビジネス面に載っていた。「住友林業、豪住宅で太陽光標準化~光熱費を最大75%削減」という記事の全文を見た上で具体的に指摘したい。

錦帯橋

【日経の記事】

住友林業はオーストラリアですべての戸建て注文住宅に太陽光パネルを標準搭載する。オール電化も備えることで光熱費を最大75%削減でき、使用時のエネルギーを実質ゼロにするZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)化も可能だ。住宅ローン金利や建設コストが高騰する中、同国の脱炭素規制や需要層の関心の高まりに対応する。

注文・分譲住宅を手がける子会社のヘンリーグループが南部ビクトリア州で6月に、北東部クイーンズランド州で8月に太陽光パネル搭載を標準化した。冷暖房や調理機器を電化して太陽光で発電した電力を自家消費し余剰分は売電する。豪州での注文住宅の価格が25万豪ドルから50万豪ドル(2500万~5000万円)に対し、太陽光パネルの設置費用は100万円程度と見込む。電気代が高騰していることから「6~7年で回収できる価格」(住友林業)という。


◇   ◇   ◇


(1)これからの話?

住友林業はオーストラリアですべての戸建て注文住宅に太陽光パネルを標準搭載する」と冒頭にあるので「これから」の話かなと感じる。しかし読み進めると「注文・分譲住宅を手がける子会社のヘンリーグループが南部ビクトリア州で6月に、北東部クイーンズランド州で8月に太陽光パネル搭載を標準化した」と書いてあるだけで今後の展開には触れていない。

ニュース性があるように見せるために過去の話をこれからの話のように書いてみたということか。断定はできないが、その可能性は高い。


(2)他の州は?

住友林業はオーストラリアですべての戸建て注文住宅に太陽光パネルを標準搭載する」と書いているものの「ビクトリア州」と「クイーンズランド州」の話しか出てこない。「住友林業」はこの2州でしか事業をしない方針なのか。他の州や地域へは今後広げていくのか。そこの説明は欲しい。後者ならば、その時期にも触れる必要がある。


(3)それでも「注文住宅」?

注文住宅に太陽光パネルを標準搭載する」ということは「太陽光パネル」なしを顧客は選べないのか。仮にそうならば、それで「注文住宅」と言えるのかとは思う。


(4)なぜ「75%削減」止まり?

オール電化も備えることで光熱費を最大75%削減でき」るらしいが、なぜ「75%削減」止まりなのか。「オール電化」で「余剰分は売電する」のならば状況次第では利益が出ても良さそうだが…。


(5)グループ全体ではどう?

行数の関係で入れられない場合もあるだろうが「住友林業」グループ全体でどうなっているのかは盛り込みたい。日本では「標準搭載」が終わっていて、それを海外でも広げる初の試みとなるのがオーストラリア…といった話があると好ましい。

住友林業」の海外事業の中でオーストラリアの位置付けがどうなっているのかも分かるとさらにいい。


総括すると、ニュース記事をきちんと書く力が付いていないのに「古い話でもニュース性があるように見せる技術」は持っているのかなと思わせる記事だった。


※今回取り上げた記事「住友林業、豪住宅で太陽光標準化~光熱費を最大75%削減」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20221003&ng=DGKKZO64811110S2A001C2TB0000


※記事の評価はD(問題あり)

1 件のコメント:

  1. 記事が2~3日遅れなのは日常茶飯事ですね。職業としてのアンテナが低いのでしょう。でも、この記事はいけませんね。捏造と言われても反論できないのではないですか。

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