2022年2月18日金曜日

「ニクソン訪中で共産党支配の中国は国際社会に復帰」? 日経の記事に見える誤解

共産党が支配する中国を国際社会に復帰させたニクソン米大統領(当時)の訪中から21日で50年になる」と日本経済新聞が伝えている。そう書いてあると、ニクソン訪中まで「共産党が支配する中国」は「国際社会に復帰」していなかったと理解したくなる。しかしニクソン訪中の段階で「共産党が支配する中国」は国連常任理事国であり、「国際社会」にしっかり居場所を確保していた。日経には以下の内容で問い合わせを送っている。

片の瀬橋(筑後川橋)

【日経への問い合わせ】

18日の日本経済新聞朝刊国際面に載った「ニクソン訪中50年、米は自省~和解一転、『唯一の競争相手』に 台湾巡り食い違う見解」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは「共産党が支配する中国を国際社会に復帰させたニクソン米大統領(当時)の訪中から21日で50年になる」との冒頭の記述です。

ニクソンが1972年、現職の米大統領として初めて中華人民共和国を訪問」したことで「共産党が支配する中国を国際社会に復帰させた」とすると「復帰」は「1972年」となるはずです。しかし「共産党が支配する中国」が国連での代表権を認められ安保理常任理事国となったのが前年の71年です。この段階で「国際社会に復帰」していなかったと見るのは無理があります。

共産党が支配する中国を国際社会に復帰させた」は「ニクソン米大統領(当時)の訪中」を修飾しているのではなく「ニクソン米大統領(当時)」だけを修飾しているとの前提でも検討しました。

共産党が支配する中国」に国連代表権を与えたアルバニア決議で米国は反対に回っています。国連での代表権獲得を「国際社会」への「復帰」と見る場合、それを実現させたのが「ニクソン米大統領」とは考えられません。

共産党が支配する中国を国際社会に復帰させたニクソン米大統領(当時)の訪中」という説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。今回の記事は寄稿ですが、歴史の基本的な事実関係に関しては、御紙が確認した上で掲載すべきです。

御紙では、読者からの間違い指摘を無視してミスを放置する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。



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※今回取り上げた記事「ニクソン訪中50年、米は自省~和解一転、『唯一の競争相手』に 台湾巡り食い違う見解

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220218&ng=DGKKZO80251920X10C22A2FF8000



※記事の評価はD(問題あり)

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