2020年10月24日土曜日

具体策なしで「消費喚起こそ改革の本丸」と言われても…日経「大機小機」

 24日の日本経済新聞朝刊マーケット総合2面に載った「大機小機~消費喚起こそ改革の本丸に」という記事で「魔笛」氏が展開した主張は納得できなかった。記事の後半を見ていこう。

柳川市図書館※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

振り返れば、小泉純一郎内閣では生産効率化を推し進め、完全失業率は5%を超えた。他方、安倍晋三内閣では女性活躍や若者雇用拡大をうたい、雇用は改善したが、労働生産性の低い非正規雇用が大幅に拡大した。いずれにしても需要は増えず、消費も国内総生産も低迷したままだ。

すなわち選択肢は2つしかなく、いずれも経済拡大効果はない。一部の効率的な企業や人材が限られた需要を独占し残りは失業するか、非効率な生産を続けて需要を皆で分け合うかだ。前者は所得格差と社会の分断を、後者は低労働生産性と低賃金を生む。


◎「残り」が9割以上?

上記のくだりでは「小泉純一郎内閣」型か「安倍晋三内閣」型かの二者択一だと訴えている。しかし「小泉純一郎内閣」型の説明がおかしい。小泉政権下で「一部の効率的な企業や人材が限られた需要を独占し残りは失業する」事態になったと「魔笛」氏は認識しているのか。

例えばトヨタ自動車が「一部の効率的な企業」に入るとして、トヨタは当時、自動車市場を「独占」していたのか。そもそも「完全失業率は5%を超えた」というレベルならば「一部の効率的な企業」で働く人の割合が9割を超えていることになる。悪い話ではない。それが現実ならばだが…。

続きを見ていこう。


【日経の記事】

菅内閣は前者を選択するようだが、それでは地方を中心に失業率が上がり、格差が拡大して消費を抑えてしまう。経済拡大には生産面の改革ではなく、消費喚起を目指すしかない

金融緩和や大幅な赤字財政でお金を増やしても消費が増えないことは、アベノミクスで実証済みだ。今回の需要面の改革は携帯料金引き下げだが、すでに十分普及した携帯の需要増は期待できず、赤字財政でお金を渡すことと同じだ。地道に新需要を掘り起こすしかない


◎選択肢は3つある?

選択肢は2つしかなく」と言っていたが、なぜか「消費喚起を目指すしかない」と第3の道を打ち出してしまう。そこは良しとするとしても肝心なのは具体策だ。ところが「地道に新需要を掘り起こすしかない」と述べているだけ。「魔笛」氏に策はない。ならば「選択肢は2つ」でいいのではないか。

激しい副作用を受け入れて投薬による治療を続けるか、緩和ケア以外の措置を止めて完治を諦めるかという「選択」を迫られている患者に対し「副作用のない特効薬を飲めばいいのではないか」と提案しているようなものだ。そんな薬があれば苦労はない。

ついでに「今回の需要面の改革は携帯料金引き下げだが、すでに十分普及した携帯の需要増は期待できず、赤字財政でお金を渡すことと同じだ」との指摘にもツッコミを入れておきたい。「携帯料金引き下げ」は政府の「財政」負担なしに消費者の懐を潤せる。「赤字財政でお金を渡すことと同じ」ではない。また「携帯の需要増は期待でき」ないとしても、他の分野での「需要増は期待でき」る。消費全体を押し上げる力はないだろうが…。


※今回取り上げた記事「大機小機~消費喚起こそ改革の本丸に」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201024&ng=DGKKZO65414850T21C20A0EN2000


※記事の評価はD(問題あり)

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