2020年10月19日月曜日

「出口」見えたのでは? 日経 大島三緒論説委員「出口見えぬ学術会議問題」

19日の日本経済新聞朝刊社会面に大島三緒論説委員が書いた 「風紋~出口見えぬ学術会議問題 『知』への反発が増幅」という記事の見立てには同意できない。「出口見えぬ」と大島論説委員は言うが「出口」が見えてきたのではないか。

新田大橋(大川市)※写真と本文は無関係

記事の一部を見た上で、そう考える理由を述べる。


【日経の記事】

なんといっても、騒ぎの発端は政府による個別人事である。学者6人を任命せず、批判を受けるや、政府・自民党は論点を行革に移した。行革といえば響きがいいが、順番が違う。

もうひとつ憂慮すべきは、これを受けて、ネット空間などで組織への中傷や学者バッシングが盛り上がっていることだ。

「税金を使っているのだから政府にたてつくな」という指摘はおとなしいほうだ。「日本をおとしめる学術会議」「スパイもどきの集団」「エリートがふんぞり返っている」……。

デマやフェイクの混じった言説が飛びかい、学術会議が諸悪の根源であるかのような騒ぎぶりである。ふだんは気にも留めなかった組織への、異様な視線というほかない。

政治と社会それぞれの、こうした動きの背景にあるメンタリティーは何か。それこそ総合的、俯瞰(ふかん)的にいえば、学術や知性、教養といったものへのリスペクトの欠如、さらには反発や嫌悪だろう。

「学者の世界へのルサンチマンが噴き出している。反知性主義の風潮が見て取れます」と広田照幸日本大教授は言う。政府への「声援」の高ぶりは、政権の当事者さえ予想していなかったかもしれない。

政治と社会のあいだで増幅する「知」への反発。こういう状況が事態の収拾をいっそう難しくさせる。その間に、少なからぬ学者が萎縮していくだろう。公的資金を受けている、さまざまな文化、芸術活動に影響は及びかねない。

学術会議に多くの課題があることは確かだ。決して聖域ではない。けれど6人の学者を、なぜ、どんな経緯で任命しなかったのか。この不透明さを拭い、行き過ぎがあったなら正さないと、話はますます深刻になるだろう。必要な改革だって進まないはずだ


◎「必要な改革だって進まないはず」?

6人の学者を、なぜ、どんな経緯で任命しなかったのか。この不透明さを拭い、行き過ぎがあったなら正さないと、話はますます深刻になるだろう。必要な改革だって進まないはずだ」と大島論説委員は言う。ここが決定的に違うと思える。

学者6人を任命せず」の理由が「6人は反政府的だから」だとしよう。そして菅政権の真の狙いが「学術会議」の改革にあるとする。

この場合、「任命しなかった」真の理由を説明するのは得策ではない。「改革」を阻止しようとする側に政府批判の材料を与えてしまうからだ。

ネット空間などで組織への中傷や学者バッシングが盛り上がっていること」は「改革」を進めようとする政府にとっては都合がいい。説明が不十分でも「学術会議が諸悪の根源であるかのような騒ぎぶり」が起きているのだから、馬鹿正直に真の理由を説明するのは得策ではない。余計な説明はしない方が「必要な改革」はやりやすい。

そもそも菅政権が支持率の低下を気にしなければ「改革」はできる。記事には「菅首相との会談を終え、記者団の取材に答える日本学術会議の梶田会長」の写真が付いている。この時の「梶田会長」に政府を批判する様子は見られない。「菅首相との会談」で恭順の意を示したと見るべきだろう。つまり「出口」が見えてきた。

任命拒否問題で「日本学術会議」が訴訟などの法的措置に出る可能性は低いと見ている。「改革」には抵抗したいだろうが「学術会議が諸悪の根源であるかのような騒ぎぶり」を受けて反対しづらい空気ができた。そして政府も「改革」の意向を示している。

菅政権が最初から計算していたのかどうかは分からないが、「出口」への持っていき方は上手いと感じる。


※今回取り上げた記事 「風紋~出口見えぬ学術会議問題 『知』への反発が増幅」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201019&ng=DGKKZO65108270W0A011C2CR8000


※記事の評価はC(平均的)。大島三緒論説委員への評価は暫定でCとする。

1 件のコメント:

  1. 全く賛成です。日経のコラム”春秋”も的外れで中身の無いことばかり書いている。この人にはいつもがっかりさせられます。

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