2020年10月17日土曜日

まとめ物的な1社物? 日経「パナソニック、空気清浄機の生産能力3倍に」の奇妙さ

16日の日本経済新聞朝刊企業面に載った「パナソニック、空気清浄機の生産能力3倍に 病院で需要」という記事は奇妙な作りだ。見出しからも「パナソニックは空気清浄機を増産する」との書き出しからも、1社物のニュース記事だと判断できる。しかし、その半分近くを「ダイキン工業」と「シャープ」の話に充てている。常識的には考えられない。

有明海沿岸道路 筑後川橋(福岡県大川市)
     ※写真と本文は無関係です

全文は以下の通り。


【日経の記事】

パナソニックは空気清浄機を増産する。主力機「ジアイーノ」の2020年度の売上高が100億円規模と急増するのを見込んで生産能力を前年度比3倍に増強。ダイキン工業も空気清浄機の国内生産を始めるほか、シャープも増産を継続する。新型コロナウイルス感染拡大に伴う室内環境への意識向上で、堅調な需要が続くと判断した。

ジアイーノは内部で次亜塩素酸を作り、取り込んだ空気を除菌・脱臭する装置。パナソニックは子会社のパナソニックエコシステムズの春日井工場(愛知県春日井市)の生産ラインを増強する。人員も増やし同工場の生産能力を台数ベースで3倍に引き上げた。足元では病院やホテルなど人が集まる施設の引き合いが強いという。

ジアイーノは受注の殺到を受けて4月に新規受注を停止したが、9月末に再開した。18年度の売上高は35億円で25年度に100億円に増やす目標だったが、今年度に前倒しで達成する見通しだ。

ダイキンは21年に空気清浄機の国内生産を始める。滋賀製作所(滋賀県草津市)で年15万台以上の規模で生産する。従来は国内外で販売する全量を中国など海外メーカーに生産委託していたが、12月からはマレーシアでも年15万台規模で自社生産を始める予定。十河政則社長は「顧客の需要をスピーディーにとらえ、将来の一大事業にする」と強調する。

シャープも「プラズマクラスター」の販売増に伴い生産台数を引き上げている。4~9月の出荷台数は前年同期比2倍に伸びた。冬季の需要増にも対応するため、中国やタイで増産を継続する方針だ。


◎全体的に粗さ目立つが…

最初の段落で「ダイキン工業」と「シャープ」にも触れているので、記者は最初からまとめ物として書くつもりだったのだろう。しかし、なぜか「パナソニックは空気清浄機を増産する」と滑り出してしまい、担当デスクも疑問を抱かずにそのまま紙面化してしまったということか。まとめ物にするならば、書き出しを変える必要がある。

記事には他にも粗さが目立つ。

子会社のパナソニックエコシステムズの春日井工場(愛知県春日井市)の生産ラインを増強する」と書いてあると「生産ラインを増強する」のはこれからだと取れる。しかし直後に「生産能力を台数ベースで3倍に引き上げた」と記している。

生産能力」の引き上げも「増産」も既に始まっている気がする。過去の話としてしまうとニュース価値が薄れるので「パナソニックは空気清浄機を増産する」「生産ラインを増強する」と表現したのだろう。

この推測が合っているのならば、表現としては「空気清浄機の増産に乗り出した」「生産ラインを増強した」などとすべきだ。

2020年度の売上高が100億円規模と急増する」と書いているのに、直近の数値として「18年度の売上高は35億円」としているのも引っかかった。なぜ「19年度」の売上高を見せないのか。

ダイキン工業」「シャープ」に関する記述にも注文を付けておきたい。

この記事をまとめ物と捉えた場合、3社が「空気清浄機を増産」となっている必要がある。しかし「ダイキン工業」に関しては「自社生産」に切り替えると説明しているだけで、「生産委託」分も含めた全体の生産量がどうなるのか分からない。

シャープ」についても「4~9月の出荷台数は前年同期比2倍に伸びた」とは書いているが、どの程度の「増産」になっているのか説明していない。

この完成度からすると、担当デスクも含めて記事を書くための基礎ができていないと判断するしかない。


※今回取り上げた記事「パナソニック、空気清浄機の生産能力3倍に 病院で需要

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201016&ng=DGKKZO65040480V11C20A0TJ2000


※記事の評価はD(問題あり)

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