2016年11月18日金曜日

間違いだらけ週刊ダイヤモンド「最強の高校」の高校マップ

週刊ダイヤモンド11月19日号の「中高一貫vs地方名門 最強の高校」という特集は、やたらと間違いが多かった。ここでは似たような誤りを3つ取り上げる。いずれも「高校マップ」という地図での解説に関するものだ。「公立トップ校『東西南北』といわれ、この4校で北海道大学の合格者数の大半を占める」「(愛知公立6強が)名古屋大学合格者数のほとんどを占める」「(福岡の)公立6強が九州大合格者の大半を占める」という記述は、いずれも正しくない。
さがレトロ館(佐賀市) ※写真と本文は無関係です

たった6校で名古屋大学の合格者の「ほとんど」を占めるかどうかは、常識で考えても分かりそうなものだ。取材班は「大半」「ほとんど」の意味を理解していないのだろう。そうでなければ、まともな事実確認もせずに誌面を作っていることになる。

ダイヤモンド編集部に送った問い合わせは以下の通り。

【ダイヤモンドへの問い合わせ(北海道大学関連)

11月19日号の「中高一貫vs地方名門 最強の高校」という特集についてお尋ねします。50ページの「北海道の高校マップ」には「公立トップ校『東西南北』といわれ、この4校で北海道大学の合格者数の大半を占める」との説明が付いています。

北海道大学のホームページによると、2016年度の一般入試での合格者数は2629人です。一方、今回の特集で29ページの表に載った北海道大学の高校別合格者数を見ると、「東西南北」の4校を合計しても382人にしかなりません。

「大半」とは「全体の半数を超えていること。半分以上。過半。大部分」(デジタル大辞泉)という意味です。少なくとも「半分」の合格者が4校から出ていないと「この4校で北海道大学の合格者数の大半を占める」とは言えません。しかし、実際には2割にも満たないのではありませんか。

地図中の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では、読者からの間違い指摘を握りつぶす対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心がけてください。


【ダイヤモンドへの問い合わせ(名古屋大学関連)

11月19日号の「中高一貫vs地方名門 最強の高校」という特集についてお尋ねします。56ページの「中部の高校マップ」では「愛知公立6強グループ」に関して「名古屋大学合格者数のほとんどを占める」との説明が付いています。

名古屋大学のホームページによると、2016年度の合格者数は前期日程だけでも1839人に達します。一方、今回の特集で29ページの表に載った名古屋大学の高校別合格者数を見ると、「公立6強」を合計しても448人にしかなりません(表になかった時習館は50人で計算しました)。

「ほとんど」とは「全部とはいえないが、それに近い程度に。おおかた。大部分」(デジタル大辞泉)という意味です。半数を大きく上回る合格者が「公立6強」から出ていないと「(愛知公立6強が)名古屋大学合格者数のほとんどを占める」とは言えません。しかし、実際には半数にも遠く及ばない水準ではありませんか。

地図中の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では、読者からの間違い指摘を握りつぶす対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心がけてください。


【ダイヤモンドへの問い合わせ(九州大学関連)

11月19日号の「中高一貫vs地方名門 最強の高校」という特集についてお尋ねします。66ページの「福岡・佐賀・大分の高校マップ」には「公立6強が九州大合格者の大半を占める」との説明が付いています。

九州大学のホームページによると、2016年度の合格者数は2812人です。一方、今回の特集で29ページの表に載った九州大学の高校別合格者数を見ると、修猷館、福岡、筑紫丘、小倉、東筑、明善の「公立6強」を合計しても571人にしかなりません。

「大半」とは「全体の半数を超えていること。半分以上。過半。大部分」(デジタル大辞泉)という意味です。少なくとも「半分」の合格者が「公立6強」から出ていないと「公立6強が九州大合格者の大半を占める」とは言えません。しかし、実際には2割程度ではありませんか。

九州大学のホームページには「出身校県別入学状況」というグラフが出ていて、それによると福岡県全体でも37.4%を占めるに過ぎません。合格者も似たようなものでしょう。「公立6強」はもちろん「福岡県の高校全体」でも「九州大合格者の大半を占める」状況には至っていないと思えます。

地図中の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では、読者からの間違い指摘を握りつぶす対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心がけてください。

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ダイヤモンドからの回答は期待できないので、上記の件は全て誤りと推定するしかない。「鹿児島・熊本・長崎・宮崎の高校マップ」という地図の中にも「宮崎公立2強グループ」に関して「公立トップ校でもトップ層は九州大がやっとの状況」という誤った説明をしていた。これだけ間違いだらけだと、特集全体への信頼も大きく揺らぐ。


※特集全体の評価はE(大いに問題あり)。特集の担当者への評価は以下の通りとする。

臼井真粧美副編集長(暫定D→暫定E)
片田江康男記者(Eを維持)
重石岳史記者(暫定D→暫定E)
鈴木崇久記者(Fを維持)
山本輝記者(暫定D→暫定E)
西田浩史記者(暫定D→暫定E)
小島健志記者(B→C)

鈴木記者のF評価については以下の投稿を参照してほしい。

「頭取ランキング」間違い指摘を無視 ダイヤモンドの残念な対応
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post_29.html


※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「学閥輩出校」って何? 週刊ダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_15.html

根拠なく宮崎公立2強を貶めるダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_74.html

日比谷は東大・慶應に特化? ダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_16.html

北海道は「1極化」が課題? ダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_2.html

質・量ともに「訂正」が凄い週刊ダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_76.html


追記)結局、ダイヤモンドからの回答はなかった。

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