2015年12月28日月曜日

日経から久々の回答 「金相場、下げ止まり」

26日の日本経済新聞朝刊マーケット総合2面のアタマ記事「ポジション~金相場、下げ止まり  米利上げで『安全資産』買い戻し インドなど現物需要も」に関する問い合わせに対して、久々の回答が日経から届いた。日経から反応があったのは9月以来。あの時は「良い変化が生じているのか」と期待したものの、再び「無視」に戻ってしまっていた。今回も少し様子を見る必要はある。
高良大社(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です

この件では「日経のメディアとしての体質を考慮すると回答が届く可能性は極めて低い」と見ていた。結果的には、良い方向に予想が外れたことになる。

「問い合わせ」と「回答」は以下の通り。

【日経への問い合わせ】

「金相場、下げ止まり」という記事についてお尋ねします。記事では「米国の利上げ決定前日の15日、金の売り建玉が14万枚を超えていた。過去最大の規模にまで膨らんだことで、買い戻しが入りやすい状態になっている」と書かれています。しかし、当時のNY金市場の売り建玉は39万枚に達していたようです。大口投機家の売り建玉は「14万枚超」ではありますが、記事の書き方だと「NY金市場全体の売り建玉が14万枚超」と判断するしかありません。記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠を教えてください。

付け加えると、「14万枚超」が市場全体の売り建玉だった場合は同数の買い建玉が必ず存在するので、「買い戻しが入りやすい状態」になることの裏返しとして手じまい売りも出やすくなります。一方「14万超」が大口投機家の売り建玉であれば、同時期に大口投機家の買い建玉も15万枚を超えていました。この場合も「買い建玉を手じまう動きにはなぜ注目しないのか」との疑問が残ります。「過去と比べて買い越し幅が小さい」といった事情があれば、その点にも触れるべきでしょう。


【日経からの回答】

平素は日経グループのサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。お問い合わせについて、下記のとおり回答させていただきます。

いつも日本経済新聞をご愛読頂き、ありがとうございます。このたびは、記事について大変貴重なご指摘を賜り、誠にありがとうございました。今後の紙面づくりの参考にさせて頂きたいと思います。なお、記事では本記冒頭部分で「欧米のファンドは相場の底値をつかんだ」と書きましたように、記事全般を通じてファンドの動きについて紹介したものであることもご理解頂ければ幸いです。今後とも日本経済新聞をよろしくお願いします。

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回答の内容が不十分なのは言うまでもない。インドの現物市場の話も出てくるし、「記事全般を通じてファンドの動きについて紹介したもの」とは考えにくい。百歩譲ってそうだとしても、「米国の利上げ決定前日の15日、金の売り建玉が14万枚を超えていた」との記述の近くに「ファンド」の文字さえ見当たらない。これでは、14万枚超の売り建玉を「ファンドの売り建玉」と判断するのは困難だ。

とは言え、回答が届いた点は高く評価したい。記事の問題を率直に認められるようになればさらに好ましいが、大事なのは筒井恒記者がきちんと記事を書けるようになることだ。記事から判断する限り「この書き方じゃダメだぞ。読者に誤解を与えるし、厳しく言えば間違いだろ」と教えてくれる人は社内にいないのだろう。ならば外から助言するしかない。

今回の指摘をきっかけに、筒井記者が記事の書き方を学んでくれるとよいのだが…。


※今回の件では「日経『金相場、下げ止まり』で筒井恒記者に感じた不安」も参照してほしい。

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