2015年5月27日水曜日

スイスの徴兵制は60歳を超えてから?

ダイヤモンド5月30日号の「オピニオン縦横無尽」で、目を疑うような記述に出くわした。問題の部分を見てみよう。

グラン・プラスの「王の家」(ブリュッセル)
            ※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドの記事】

ただ一点を除いてここまでは大筋で正しいといえる。ギブニー氏が間違っているのは、中立を守り続けていたスイスと現行憲法を与えられた日本の相違である。スイスは男女を問わず、国民は徴兵の義務を負う。六〇歳を超えると、毎年、年代層に応じて数日間の軍事訓練を受ける義務も負う。有事の際には国民全員が武器を持って戦うとされている。それでも敗れた場合、スイス国民は国の主要な施設を焼き払い、敵に渡さないようにすることを求められている。日本は単なる非武装にされた。戦うことを禁じられた。この大きな差に、ギブニー氏は目を向けず、マッカーサーの与えた「武力保持を許されない日本」が最善だと言っているのである。


「60歳を超えると軍事訓練の義務? それまでは訓練しなくていいの? なぜ60歳? スイスって高齢者が徴兵制を担っているの? でも、まさか…」と疑問が一気に浮かんできた。それだけではない。調べてみると、2013年の国民投票の時点では、男性のみに徴兵の義務が課されていたようだ。その後に女性にも対象が広がったのかもしれないが、そうした情報は確認できなかった。なので、ダイヤモンドに疑問をぶつけてみた。


【ダイヤモンドに問い合わせた内容】

5月30日号「オピニオン縦横無尽」についてお尋ねします。筆者の櫻井よしこ氏は記事中で「スイスは男女を問わず、国民は徴兵の義務を負う。60歳を超えると、毎年、年代層に応じて数日間の軍事訓練を受ける義務も負う」と述べています。この説明に関して(1)徴兵の義務を負うのは男性のみではないか(2)軍事訓練の義務を負い始める年齢が「60歳(あるいは61歳)」では高齢すぎないか--との疑問を抱きました。徴兵に関する国民投票(2013年)の結果を報じた記事などの情報を総合すると「女性は志願制で、男性が軍事訓練の義務を負うのは19~20歳からではないか」との心証を得ました。記事の説明は2点とも誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。

「60歳」に関しては、「50代までは数年ごとの軍事訓練だが、60歳を超えると毎年になる」といった趣旨である可能性なども考慮しました。しかし、素直に読めば「スイスでは、50代までは軍事訓練を受ける義務はない。徴兵制度を担っているのは60代以上だ」と解釈するのが自然です。

25日に問い合わせフォームから質問を送ったが、丸2日経った現在までに回答はない。返事が来ないとは思わないが…。


※その後にダイヤモンドから回答あり。「櫻井よしこ氏の悲しすぎる誤り」「櫻井よしこ氏への引退勧告」を参照。

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