2015年5月26日火曜日

「残業代ゼロと考えるのは間違っている」は間違い?

東洋経済5月30日号の「特集/日本型雇用システム大解剖」で気になるインタビュー記事があった。「『残業代ゼロ』と考えるのは間違っている」という見出しに釣られて読んでみたのだが、どこにもそういった趣旨の発言がなかった。そこで、以下の質問を東洋経済に送ってみた。


【東洋経済へ送った質問】
ベルギーのブリュッセル市街    ※写真と本文は無関係です

東洋経済5月30日号に掲載されている大内伸哉神戸大学教授のインタビューに関してお尋ねします。見出しは「ホワイトカラー・エグゼンプションを考える 『残業代ゼロ』と考えるのは間違っている」となっていますが、記事を最初から最後まで読んでも「残業代ゼロと考えるのは間違っている」との趣旨を大内教授が述べている部分が見当たりません。残業代ゼロに言及した箇所では「残業代ゼロが広がるのではないかと懸念する声も多い。しかしむしろ日本社会の真の問題はWE(ホワイトカラー・エグゼンプション)に適した労働者が少ないことにある」と述べているだけです。このくだりからは、「WEを適用すれば残業代がゼロになるのは、話を進める上での前提となっている」と解釈できます。つまり今回の記事では、大内氏が主張していないことを見出しに取っているのではありませんか。「そうではない」とのお考えであれば、どの部分から「『残業代ゼロ』と考えるのは間違っている」との見出しを導き出したのか教えてください。


記事内容から「残業代ゼロ」を使って見出しを付けるとすれば「『残業代ゼロ』が真の問題ではない」ぐらいが限界だろう。「残業代ゼロと考えるのは間違っている」との見出しが成立するためには、「実はWEでも残業代の付く余地がある」「残業代ゼロというより基本給以外ゼロと考えるべきだ」といった内容がないと苦しい。大げさな見出しを付けたくなる気持ちは分かるが、それをやってしまうと、結局は読者の信頼を失ってしまう。

前回、東洋経済に問い合わせした時には、回答までに1週間以上を要した。今回はきちんと回答してくれるだろうか。

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