2020年2月29日土曜日

「パンデミック」の基準は? 日経1面「日米欧、時価総額1割減」

慌てて書いたのだとは思う。そこを差し引いても、29日の日本経済新聞朝刊1面に載った「日米欧、時価総額1割減~コロナ・ショック世界揺らす 日経平均、週間2000円超下落」という記事は物足りない内容だった。まず引っかかったのが以下のくだりだ。
福岡県立福岡高校(福岡市)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

世界的な疫病の流行を示す「パンデミック」。米ムーディーズ・アナリティクスのチーフ・エコノミスト、マーク・ザンディ氏は「パンデミックになる可能性が40%に高まった」とみる。従来予想の25%から引き上げ、パンデミックに陥ると世界および米国経済は2020年上期に景気後退になると予想する。


◎「パンデミック」の基準は?

パンデミックになる可能性が40%に高まった」という見方を紹介しているが「パンデミック」かどうかを判定する基準に触れていない。これでは「予想」の意味がない。基準次第では既に「パンデミック」に陥ったとも言える。

言葉の使い方にも注文を付けておきたい。

【日経の記事】

マリオット・インターナショナルのアーン・ソレンソン最高経営責任者(CEO)は27日、「2月は中国圏のホテルの客室あたり売上高が前年同月比9割減った」と明かした。自己資本比率は3%足らずしかない。需要の落ち込みが直撃し、CDS保証料率(債務不履行に備えた保険料)は27日に0.65%と約1年ぶりの水準まで上昇した。


◎CDSは「保険」?

CDSは「保険」に似ているが「保険」ではない。なので「CDS保証料率(債務不履行に備えた保険料)」という説明は不正確だ。「CDS保証料率」と書いているのだからカッコの中も「債務不履行に備えた保証料率)」でいい。

付け加えると「マリオット・インターナショナル」にとって「中国圏」への依存度がどの程度なのかは入れたい。

記事の結論部分も問題なしとしない。

【日経の記事】

どこかで新型コロナの感染拡大が収束してくれば、経済活動も正常化に向かう。抑え込まれていた需要も合わせて戻ることを考えれば、回復力も強さを伴うだろう。ただ、封じ込めに手間取るほど、景況感悪化の足音が後ろから高まってくる、そんな局面に入っている



◎まだ「景況感悪化」に至ってない?

封じ込めに手間取るほど、景況感悪化の足音が後ろから高まってくる」と書くと、まだ「景況感悪化」には至っていないとの印象を受ける。しかし「景況感悪化」は明らかだ。

封じ込めに手間取るほど、景況感悪化に拍車がかかる」ならば違和感はない。「封じ込めに手間取るほど、世界的な景気後退の足音が後ろから高まってくる」などとする手もある。

最後に記事に付けたグラフの問題点も指摘しておく。「中国との関係の深い国・地域で株価下落が目立つ」とのタイトルが付いており、下落率は大きい方からタイ、インドネシア、ロシア、ベトナム、ブラジル、香港、米国、韓国、日本、中国、イタリア、ドイツとなっている。

タイトル通りならば下落率の1位と2位は中国と香港になるのが自然だ。しかし、中国に至っては下から3番目。香港もこの中では中位でブラジルより下だ。「中国との関係の深い国・地域で株価下落が目立つ」との説明に説得力はない。


※今回取り上げた記事「日米欧、時価総額1割減~コロナ・ショック世界揺らす 日経平均、週間2000円超下落
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200229&ng=DGKKZO56210200Y0A220C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。藤田和明編集委員と富田美緒記者への評価はDを据え置く。長谷川雄大記者への評価は暫定でDとする。


※富田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

トリプルB格も「低格付け債」? 日経 富田美緒記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_13.html


※藤田編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「FANG」は3社? 日経 藤田和明編集委員「一目均衡」の説明不足
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/fang.html

改善は見られるが…日経 藤田和明編集委員の「一目均衡」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_2.html

「中国株は日本の01年」に無理がある日経 藤田和明編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/01.html

「カラー取引」の説明不足に見える日経 藤田和明編集委員の限界
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_37.html

東証は「4市場」のみ? 日経 藤田和明編集委員「ニッキィの大疑問」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_28.html

合格点には遠い日経 藤田和明編集委員の「スクランブル」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_10.html

説明に無理がある日経 藤田和明編集委員「一目均衡~次世代に資本のバトンを」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_28.html

新型肺炎が「ブラックスワン」に? 日経 藤田和明編集委員の苦しい解説
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

2020年2月28日金曜日

拙さ目立つ日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ~アネロ、原宿進出のなぜ」

28日の日本経済新聞朝刊企業2面に中村直文編集委員が書いた「ヒットのクスリ~アネロ、原宿進出のなぜ 訪日客に世界観アピール」という記事は拙さの目立つ内容だった。まず最初の段落を見ていく。
シップスガーデン(福岡市)
    ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

若い女性や乳幼児を育てているお母さんで、知らない人はいないバッグブランドの「アネロ」。1個当たり5千円前後のカジュアルバッグで、専門店やイオンなどのショッピングセンターを舞台に6年前に大ブームが起きた。



◎「若い女性や乳幼児を育てているお母さん」?

若い女性や乳幼児を育てているお母さん」と書くと「お母さん」が「若い女性」を「育てている」ように見える。「若い女性や、乳幼児を育てているお母さん」と読点は打ってほしい。ただ、今回の場合は「乳幼児を育てているお母さん」の多くも「若い女性」だという問題はある。

記事の続きを見ていこう。

【日経の記事】

そのアネロが2019年末に突然、東京・原宿の一等地に専門店をオープンした。衣料品で言えば「ユニクロ」、眼鏡で言えば「ジンズ」のような存在だが、なぜ進出したのか。そこには消費やマーケティングを考える材料があった。



◎「突然」の「オープン」のはずが…

アネロが2019年末に突然、東京・原宿の一等地に専門店をオープンした」と中村編集委員は言う。開業当日まで出店に関する情報を一切出してこなかったのならば「突然」と表現するのも分かる。しかし「アネロ」の「運営会社のキャロットカンパニー」は昨年11月8日のニュースリリースで、同年12月12日に原宿に店を出すことを明らかにしている。

発表から開店までに1カ月以上あるのに「突然」の「オープン」なのか。

さらに続きを見ていこう。

【日経の記事】

アネロを知らない方のために商品やブームについて説明しよう。運営会社のキャロットカンパニー(大阪市)は吉田剛社長が1988年に創業した雑貨卸。当初はノーブランドのペンケースやバッグを販売していたが、05年に独自ブランド「アネロ」を立ち上げた。

知名度が飛躍的に上がったのは14年。女性用ポーチを作っていた担当者が「がま口をリュックサックに採用したら面白いのではないか」と提案。商品化してみると、見たことがないリュックができあがった。

吉田社長も「売れるのかどうか半信半疑」だったが売り出すと想定以上に大ヒットした。通常こうしたカジュアル系のバッグは数百単位でしか作らないのが業界の常識だが、キャロットは量産コストを考え、売れると1万、2万と作り上げるノウハウを持つ。

このためSNSで「使いやすい、かわいいバッグが登場した」と拡散しても生産対応が可能で、一気にブーム化した。そもそも10代から20代初めのファンシーグッズとして売る予定が、収納性に優れていることから乳幼児をお子さんに持つママ世代から絶大な支持を受けたという。


◎実績見せずに「大ヒット」と言われても…

想定以上に大ヒットした」「一気にブーム化」というものの、どの程度の売り上げを実現したのかは触れていない。これだと本当に「大ヒットした」したのか疑いたくなる。しかも「知名度が飛躍的に上がったのは14年」らしい。「一気にブーム化」したのだから現状ではかなり落ち着いているはずだ。だが、その辺りの情報も記事には見当たらない。

続きを見ていく。

【日経の記事】

さて原宿進出の話に時を戻そう。実はアネロ、国内向けに販売していたが、近年はインバウンド客が増え、アジアの人気商品になったことだ。とりわけタイやフィリピンなど東南アジアで引き合いが強く、すでに200店近くで販売している。



◎何か違和感が…

さて原宿進出の話に時を戻そう。実はアネロ、国内向けに販売していたが、近年はインバウンド客が増え、アジアの人気商品になったことだ」のくだりに違和感を覚える。文がきちんとつながっていない感じがする。「実はアネロ、国内向けに販売していたが、近年はインバウンド客が増え、アジアの人気商品になっている」などと直せば問題は感じない。

なったことだ」が何かを受けているようで何も受けていないのが違和感の原因だろう。

さらに見ていく。

【日経の記事】

同社はこれまでも大阪・梅田と心斎橋に店を構えてきた。原宿を東京のショールームとして位置づけ、さらにインバウンド客にアピールできる今年は新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要は厳しいだろう。だが、この流れは長期的には続く。SNSの普及も重なり、国内企業でもグローバル市場を開拓できる事例といえる。

もう一つの理由は人気ゆえの"副作用"の払拭。アネロはリュックで人気を博したが、それ以外の品ぞろえも多い。強すぎるブランドはイメージが固定化されやすい。このため原宿で品ぞろえの広さや世界観を訴える


◎「この流れは長期的には続く」?

今年は新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要は厳しいだろう。だが、この流れは長期的には続く」と書いてはダメだ。これだと「インバウンド需要は厳しい」という「流れ」が「長期的」に「続く」ことになってしまう。

この流れ(インバウンド需要が厳しい傾向)は長期的には続かない」としないと文脈的には辻褄が合わなくなる。「この流れ=インバウンド需要が伸びる流れ」との前提が中村編集委員にはあるのだろう。だが、それに合った記事の構成になっていない。

さらに言えば「これまでも大阪・梅田と心斎橋に店を構えてきた」のに、なぜ今「原宿進出」を取り上げるのかとの疑問も生じる。

梅田と心斎橋」の店も「ショールーム」として「インバウンド客にアピールできる」はずだ。「品ぞろえの広さや世界観を訴える」ことは「梅田と心斎橋」の店でもやっていると思える。

原宿進出」が「消費やマーケティングを考える材料」になると言うのならば、「原宿」にはあって「梅田と心斎橋」にはない要素が何かを読者に提示すべきだ。

ここから最後まで見ていく。

【日経の記事】

そして価格面。同社の製品は4千~5千円が中心。7千円ぐらいのユニセックスバッグは1万円台でも売れそうに見えるが、「アネロの相場は数千円。1万円の壁が高い」(吉田社長)。

ユニクロも1万円台を売るのに時間がかかった。舞台は原宿。ブランドのバージョンアップへ、「アネロ」行きます。


◎だったら事前に振らないと…

結びの「『アネロ』行きます」が引っかかる。断定はできないが、機動戦士ガンダムの「アムロ行きます」という有名なセリフに引っかけたものだろう。

その場合、記事の最初の方でガンダムに絡めた話を盛り込んでおくべきだ。その上で「『アネロ』行きます」と締めるのならば分かる。しかし、そうはなっていない。ガンダムについて知らない読者には、なぜこんな結びになっているのか全く伝わらない。


お遊び的な結びを否定はしないが、今回は明らかにダメな使い方だ。


※今回取り上げた記事「ヒットのクスリ~アネロ、原宿進出のなぜ 訪日客に世界観アピール
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200228&ng=DGKKZO56002930V20C20A2TJ2000


※記事の評価はD(問題あり)。中村直文編集委員への評価はDを維持する。中村編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

無理を重ねすぎ? 日経 中村直文編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2015/11/blog-post_93.html

「七顧の礼」と言える? 日経 中村直文編集委員に感じる不安
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_30.html

スタートトゥデイの分析が雑な日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_26.html

「吉野家カフェ」の分析が甘い日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」が苦しすぎる
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_3.html

「真央ちゃん企業」の括りが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_33.html

キリンの「破壊」が見えない日経 中村直文編集委員「経営の視点」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/blog-post_31.html

分析力の低さ感じる日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/blog-post_18.html

「逃げ」が残念な日経 中村直文編集委員「コンビニ、脱24時間の幸運」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/24.html

「ヒットのクスリ」単純ミスへの対応を日経 中村直文編集委員に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員は「絶対破れない靴下」があると信じた?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_18.html

「絶対破れない靴下」と誤解した日経 中村直文編集委員を使うなら…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_21.html

「KPI」は説明不要?日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」の問題点
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/kpi.html

日経 中村直文編集委員「50代のアイコン」の説明が違うような…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/50.html

「セブンの鈴木名誉顧問」への肩入れが残念な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/07/blog-post_15.html

「江別の蔦屋書店」ヨイショが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_2.html

渋野選手は全英女子まで「無名」? 日経 中村直文編集委員に異議あり
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_23.html

早くも「東京大氾濫」を持ち出す日経「春秋」の東京目線
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_29.html

日経 中村直文編集委員「業界なんていらない」ならば新聞業界は?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/blog-post_5.html

「高島屋は地方店を閉める」と誤解した日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post_23.html

野球の例えが上手くない日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/blog-post_15.html

「コンビニ 飽和にあらず」に説得力欠く日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html

平成は「三十数年」続いた? 日経 中村直文編集委員「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/deep-insight.html

2020年2月27日木曜日

「縮小」の規模が見えない日経「パナソニック、太陽電池事業縮小へ」

27日の日本経済新聞朝刊1面に載った「パナソニック、太陽電池事業縮小へ~テスラと協業解消」という記事は肝心なところに触れていない。「パナソニックは太陽電池事業を縮小する」と冒頭で打ち出したのだから、どの程度の「縮小」になるかは必ず入れたい。しかし、関連記事まで含めて読んでも見当たらない。
筥崎宮(福岡市)※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

パナソニックは太陽電池事業を縮小する。赤字だった米テスラとの共同生産を停止すると26日発表した。パナソニックは段階的に国内外の関連工場の閉鎖や売却を進めている。続投する津賀一宏社長は電気自動車(EV)の電池生産を軸としたテスラとの提携を成長戦略の中核に位置づけるが、協力事業の見極めを迫られている。急成長する新興企業と組み果実を得る難しさを象徴する。

パナソニックはテスラが米ニューヨーク州バッファロー市に設けた工場で、太陽光パネルの中核部材である太陽電池を生産してきた。本来はテスラの主力の太陽光パネル「ソーラールーフ」に使われるはずだったが、仕様が合わず納入は限られた。今後も好転は見込めないと判断し、5月に生産を停止し9月末に撤退する。今後、設備を廃棄すれば損失が発生する。

両社は16年に太陽光発電の分野で提携を発表し、パナソニックは17年から米工場で太陽電池や太陽光パネルの生産を始めた。約3年で事業を終えることになる。

車載電池工場の共同運営は続ける。両社は14年、米ネバダ州に車載電池工場を設けることで合意。パナソニックは約2000億円を投じた。電池はテスラが18年に出荷を本格化した主力EV「モデル3」向けだが、量産立ち上げにコストが膨らみ黒字化が遅れている。パナソニックは大阪府の工場で別車種用の電池も生産しテスラ向け車載電池事業は全体で赤字だ。



◎「事業規模」をなぜ見せない?

パナソニック」の「太陽電池事業」がどの程度の規模なのか、それが「米テスラとの共同生産を停止」でどのくらい減るのか、全く情報がない。「バッファロー市に設けた工場」の規模も不明だ。これだと「米テスラとの共同生産を停止する」ことが「パナソニック」の経営にどの程度のインパクトをもたらすのかイメージできない。

企業2面には関連記事も載せているのだから「行数が足りない」との言い訳は成り立たない。「パナソニック」が情報を公開していないと言うのならば、その点は読者に明示すべきだ。

電気自動車(EV)の電池生産を軸としたテスラとの提携を成長戦略の中核に位置づけるが、協力事業の見極めを迫られている」と書いているのに「車載電池工場の共同運営は続ける」としか説明していないのも引っかかる。

協力事業の見極めを迫られている」のであれば「車載電池工場の共同運営」も見直しの対象となっている可能性が高い。当面は「共同運営は続ける」のだとしても、その持続性に記者自身が疑問を持っているのではないか。だとしたら、そこはもう少し踏み込んで書いてほしかった。


※今回取り上げた記事「パナソニック、太陽電池事業縮小へ~テスラと協業解消
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200227&ng=DGKKZO56101580W0A220C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)

2020年2月26日水曜日

完成度が低すぎる日経 増田咲紀記者「東エレク、株価に底堅さ」

日本経済新聞朝刊 投資情報面のトップ記事をニュースで作らないのは好ましい。無理な業績先取りをしないためにも、分析記事で紙面を埋めるのに賛成だ。しかし26日の「東エレク、株価に底堅さ~5G半導体大きい潜在性 市況の回復時期探る」という記事は完成度が低すぎる。筆者の増田咲紀記者の実力不足ももちろんあるだろうが、証券部デスクの責任も重い。
九州大学病院(福岡市)※写真と本文は無関係です

最初の段落から見ていこう。

【日経の記事】

半導体銘柄の代表格、東京エレクトロンの業績を巡り、株式市場では回復期待が根強い。新型コロナウイルスによる~肺炎が拡大している影響が及びはするものの、次世代通信規格「5G」など向けに半導体の需要が徐々に戻ってくるとの見立てだ。実際、東エレク株は25日、相場全体の下げにつれ安したところで押し目買いが入り、チャートは始値より終値が高い「陽線」を描いた



◎1日だけの「底堅さ」?

東エレク、株価に底堅さ」と打ち出しているが、「底堅さ」が見られたのは「25日」だけのようだ。例えば「2月に入って半導体関連銘柄は軒並み20%以上の下げとなっているのに、東エレクだけは3%程度しか下がっていない」などと書いてあれば「底堅さ」を実感できるのだが、1日限定の話だと「たまたまでは?」と思ってしまう。

しかも「25日」の日経平均株価は1000円以上の下落となった後で下げ渋り781円安で終えている。「東エレク」も似たような動きだ。「相場全体の下げにつれ安したところで押し目買いが入り、チャートは始値より終値が高い『陽線』を描いた」としても驚くには当たらない。なのになぜ「東エレク、株価に底堅さ」でトップの記事を作ろうとしたのか。

付け加えると「半導体銘柄の代表格、東京エレクトロン」と冒頭で書いているものの、半導体製造装置メーカーだとは最後まで説明していない。これだと「東エレク」をよく知らない読者は半導体メーカーだと誤解してしまう。この辺りにも作り手の実力不足が垣間見える。

記事の続きを見ていこう。第2段落から「東エレク」に関する分析が始まるかと思ったら、なぜか「半導体業界」の話が延々と続く。

【日経の記事】

新型肺炎の影響は半導体業界にも広がり始めている。中国の一部の半導体工場は従業員や部品の確保が難しく、稼働率が低迷しているもよう。中国では店舗閉鎖などで消費も冷え込み、20年に本格化すると見込まれていた5Gスマートフォンの立ち上げが遅れつつある。米アップルは1~3月期の売上高が予想を達成できないと発表した。

ここから先を市場関係者はどう見ているのだろうか。複数の証券アナリストに聞き取ったところ、「(半導体市況は)回復期が終わり繁忙期に入った」(野村証券の和田木哲哉氏)など楽観的な声が目立った。2020年の半導体市場は19年(4089億ドル=45兆円強)比で2~10%成長するとの見方が多い。

スマホの販売不振などを受け、世界の半導体メーカーは18年以降投資を抑制し、半導体販売もマイナス成長が続いた。とはいえ、20年以降、どこかのタイミングで半導体メーカーは投資の拡大に動く必要がある。市況反転のタイミングは肺炎の影響で後ずれを余儀なくされているが、「2~3月は緩やかな伸びとなるだろう」(大和証券投資信託委託の岩手幸久エコノミスト)との声があった。

慎重論も残る。肺炎の影響が長期化し、サプライチェーンの混乱が夏ごろまで続く場合、20年の半導体市場は前年比で小幅のマイナスからプラス6%増になると予想する。スマホ工場などの稼働が低迷した状態が続き、半導体市場の逆風になるとの見方だ。ただ、慎重派のアナリストも5Gなどに絡んで半導体需要がいずれ拡大するとみており、「回復はタイミングの問題」との声が多く聞かれた。

半導体関連企業は肺炎問題が収束した後の需要増を見越してさまざまな手を打ち始めている。半導体製造装置のディスコは投資家向け広報(IR)も含めた間接部門の社員が工場へ応援に向かい、在庫を積み増している。

韓国サムスン電子は西安工場(陝西省西安市)で予定通り設備を増強するため、「韓国から人員を送り込んだり、現地での人材集めに力を入れたりしている」との観測がある。東エレクは中国の混乱が長引けば、中国に依存する一部の部品の調達先を切り替えるという。



◎「東エレク」はどこへ?

半導体市場全体の分析から「ディスコ」や「サムスン電子」へと話が移っていくが、「東エレク」は登場しない。残りは最終段落だけだ。増田記者はきちんと分析できているだろうか。

【日経の記事】

先行きには不透明さが残るものの、東エレクなどの業績は「肺炎の問題が収束すれば顧客からの引き合いが高まり、挽回していくだろう」(国内証券)といった声が市場では根強い。この日、朝方に一時5%安まで売られた東エレク株はその後、大きく下げ渋って2%安で取引を終えた。



◎これだけ?

東エレクなどの業績は『肺炎の問題が収束すれば顧客からの引き合いが高まり、挽回していくだろう』(国内証券)といった声が市場では根強い」と書いて、後は「25日」の株価をなぞって終わりだ。

東エレクなどの業績」なので「東エレク」に絞った分析は結局ない。だったらなぜ「半導体銘柄の代表格、東京エレクトロンの業績を巡り、株式市場では回復期待が根強い」と冒頭で打ち出したのか。

半導体銘柄」の中でも特に「回復期待が根強い」からトップ記事にしたのではないか。「東エレク」固有の強みがあるから「回復期待が根強い」のではないか。

何のために「東エレク」に焦点を当てるのか。そこを意識せずに取材して記事をまとめているので、こんな内容になってしまう。増田記者と担当デスクは「なぜこんな完成度になってしまったのか」をしっかり反省してほしい。


※今回取り上げた記事「東エレク、株価に底堅さ~5G半導体大きい潜在性 市況の回復時期探る
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200226&ng=DGKKZO56048920V20C20A2DTA000


※記事の評価はD(問題あり)。増田咲紀記者への評価は暫定C(平均的)から暫定Dへ引き下げる。増田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「GAFAがデータ独占」と誤解するのは日経グループの癖?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/gafa.html

ヤフー・アスクルの件を「親子上場」の問題と捉える日経の無理筋
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post.html

2020年2月24日月曜日

FACTAで「マスコミの全ては全く無反応」と断じた細野祐二氏に問う

会計評論家の細野祐二氏は基本的に優れた書き手だと思う。会計に関する専門知識はもちろんあるし、健全な批判精神の持ち主でもある。FACTA3月号に載った「『人質司法問題』を闇に葬るな」という記事もためになる内容だった。
筥崎宮(福岡市)※写真と本文は無関係です

ただ、「予定主張記載書面の内容を報道した日本のメディアは1社もなかった」「10月17日、ゴーン元会長は、満を持して予定主張記載書面を提出したが、裁判所、検察官、マスコミの全ては全く無反応であった」との説明はおそらく間違いだ。FACTAには以下の内容で問い合わせを送っている。


【FACTAへの問い合わせ】

会計評論家 細野祐二様  FACTA発行人 宮嶋巌様  編集人 宮﨑知己様

FACTA3月号の「『人質司法問題』を闇に葬るな」という記事についてお尋ねします。記事では「ゴーン元会長も、少なくとも2019年10月までは、日本の裁判制度の下で無罪判決を受けようとしていたのである。この間、日産ゴーン事件の動きは、同年10月17日の予定主張記載書面の提出以外にはない」と記した上で以下のように説明しています。

これだけ強烈な法廷内特捜検察批判は、日本の刑事司法史上空前絶後のことである。それにもかかわらず、あろうことか、予定主張記載書面の内容を報道した日本のメディアは1社もなかったのである。ゴーン元会長は、地の底が抜けていくような絶望感に襲われたことであろう

この「予定主張記載書面の内容を報道した日本のメディアは1社もなかった」との説明は正しいのでしょうか。2019年10月25日付の「ゴーン前会長側、全面対決へ~『違法な司法取引』公訴棄却求める」という東京新聞の記事によると「ゴーン被告の弁護団は24日、公判で主張する内容をまとめた書面を公表」したそうです。

東京新聞は「書面」の内容にも触れており、「書面で『違法』だと強調したのは捜査の端緒だ。ルノーとの統合阻止をもくろんだ日産の日本人役員らが、東京地検特捜部に相談し、ゴーン被告の『不正』を探ったとした」「特捜部が外国人執行役員と日本人の元秘書室長と合意した司法取引は、二人の意思ではなく『日本人役員らの意向によるものだった』と批判。『ゴーン氏を失脚させる目的でなされた司法取引で、法の趣旨に反して違法』と指摘した」などと、なかり詳しく「書面」の「内容を報道」しています。

東京新聞の言う「書面」は細野様の言う「予定主張記載書面」なのではありませんか。「予定主張記載書面の内容を報道した日本のメディアは1社もなかったのである」との説明は誤りだと考えて良いのでしょうか。

細野様は記事中で「10月17日、ゴーン元会長は、満を持して予定主張記載書面を提出したが、裁判所、検察官、マスコミの全ては全く無反応であった」とも書いています。既に述べたように、少なくとも東京新聞は反応しています。「ゴーン被告の弁護団」が開いた会見については他のメディアも記事にしています。「マスコミの全ては全く無反応」と見なすのはかなり困難でしょう。

10月17日」の「提出」直後には「マスコミの全ては全く無反応」だったと言いたいのかとも考えてみました。しかし当日付で神戸新聞は「ゴーン前会長、全面無罪を主張 弁護団が東京地裁に書面提出」という記事を出しています。記事によると「弁護団」はこの段階で「書面」の「詳しい内容は明らかにしていない」ようです。それでも神戸新聞は「東京地裁に書面提出」という事実をしっかり伝えています。

マスコミの全ては全く無反応」という説明は明らかに違うのではありませんか。「予定主張記載書面の内容を報道した日本のメディアは1社もなかったのである」という記述も含めて記事の説明に問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。読者から購読料を得ているメディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「『人質司法問題』を闇に葬るな
https://facta.co.jp/article/202003024.html


※記事の評価はD(問題あり)。細野祐二氏への評価も暫定でDとする。

2020年2月23日日曜日

脱24時間コンビニ「大都市郊外に集中」が苦しい日経の記事

23日の日本経済新聞朝刊1面トップを飾った「チャートは語る~脱24時間コンビニ 400店超大手3社、人手不足の大都市郊外に集中」という記事は「大都市郊外に集中」という分析に説得力を感じなかった。記事の最初の方を見ていこう。
水鏡神社(福岡市)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

コンビニエンスストア業界で営業時間を短縮する動きがじわりと広がっている。2019年10月から20年2月までの4カ月間で大手3チェーンの400店超が24時間営業をやめたことが日本経済新聞の調査で分かった。その半数超の約220店が大都市郊外に集中。商圏は恵まれていても人手不足で24時間営業を維持できない店舗が出てきている。人口減時代の事業モデルへ転換が急がれる。

セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3チェーンの本部による時短営業方針が出そろう直前の19年10月と今年2月上旬のデータを比べ、独自に分析した。3チェーンでは19年10月以前から時短営業をしていた店があり、2月上旬時点で公表ベースで合計800店が時短営業や時短の実験中だ。店舗名や住所などは公表していない。

調査によると、19年10月に24時間営業だった店舗のうち414店が2月時点で夜間休業に切り替えた。セブンイレブンが280店と最多で、ローソンが100店、ファミマが34店だった。3チェーンの店舗数は5万店余り。4カ月で全体の1%弱が営業時間を変えた。

これらの店舗の58%にあたる239店が札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の6大都市圏に立地。そのうち218店が都心部の外にある郊外地区に集中する


◎地域内での「シェア」で見ないと…

夜間休業に切り替えた」店が「414店」あり、例えばそのうちの400店が「大都市郊外」に立地しているのならば「大都市郊外に集中」で納得できる。しかし約半分の「218店」に過ぎないのならば「大都市郊外に集中」と言うには苦しい。

さらに引っかかるのが「脱24時間コンビニ」の「シェア」で考えていないことだ。例えば「大都市郊外」では店舗数に占める「脱24時間」の比率が5%に達するのならば、「3チェーン」合計の全国の数値である「1%弱」を大きく上回るので、「218店」が全体の「半数超」程度でも「大都市郊外に集中」でいいかなとは思う。しかし、そうしたデータは記事には見当たらない。

3チェーン」は「大都市郊外」に店舗全体の「半数」(約2万5000店)を立地させていると仮定しよう。その場合「脱24時間」店舗の「半数超」に当たる「218店」が「大都市郊外」にあるからと言って「大都市郊外に集中」と感じるだろうか。

記事には「東京都内で複数店舗を経営するフランチャイズ加盟企業の幹部は『留学生が多い都心と異なり、郊外での人手確保は容易ではない』と話す」との記述もある。ただ、「都心」と「郊外」で「脱24時間コンビニ」の店舗数だけを比べても意味がない。

元々の店舗数は「都心」の方が圧倒的に少ないはずなので「脱24時間」の店舗数は「郊外」を大きく下回るはずだ。だからと言って「都心」の店は「脱24時間」に消極的といった結論は導けない。

やはり「脱24時間」に踏み切った店の「シェア」で見る必要がある。しかし「3チェーンの店舗数は5万店余り。4カ月で全体の1%弱が営業時間を変えた」と全体の数値に触れているだけで「大都市郊外」「都心」などでそれぞれどうなっているのかは教えてくれない。

数値は持っているのだろう。憶測だが、「大都市郊外」「都心」「それ以外の地域」で分けても「脱24時間」の比率に目立った差が出なかったのではないか。だとしたら「大都市郊外に集中」と打ち出すのは、さらに苦しい。

ついでにもう1つ注文を付けたい。

記事に付けた「全国でみても大都市圏に集中」という円グラフでは東京都、大阪府、神奈川県、北海道、愛知県、広島県、埼玉県の7都道府県と「その他」という分け方をしている。しかし「これらの店舗の58%にあたる239店が札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の6大都市圏に立地」と書くのならば、福岡県を「その他」に分類するのは整合性の問題がある。


※今回取り上げた記事「チャートは語る~脱24時間コンビニ 400店超大手3社、人手不足の大都市郊外に集中
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200223&ng=DGKKZO55984750S0A220C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。朝田賢治記者、藤村広平記者への評価も暫定でDとする。黄田和宏記者への評価はDを据え置く。

2020年2月22日土曜日

高コストの中小型株投信へ読者を誘導する日経 川上純平記者の罪

日本経済新聞の川上純平記者は金融業界に取り込まれてしまったのだろう。22日の朝刊マネー&インベストメント面に載った「中小型株投資 プロに学ぶ~成長余地 3つの視点」という記事からは、そう判断できる。途中までは毒にも薬にもならない内容なのだが、終盤で筋の悪い投資信託へと読者を導こうとしてくる。
九州大学病院(福岡市)※写真と本文は無関係です

そこを見ていこう。

【日経の記事】

投資の基本はリスク分散なので、いくら有望だと考えても特定銘柄へ集中投資は避けよう。少ない元手資金で複数の銘柄に分散したければ、中小型株を組み入れて運用する投信を活用するのも手だ(表C)

組み入れ銘柄や運用方針を定期的に開示しているのでプロの投資法を探るヒントにもなる。エンジェルジャパンが銘柄選びを助言する「SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト」などは過去5年間のリターンが比較的高い。好成績が将来も続くかどうかはわからないが、投信選びでは一定の運用実績を残していることを事前に確認したい



◎問題外では?

結局「少ない元手資金」しかない投資家を「中小型株を組み入れて運用する投信」に誘い込んでいる。そして「『SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト』などは過去5年間のリターンが比較的高い」と具体的な商品名まで挙げてみせる。

ここでは「SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト」について考えてみよう。この投信は購入時手数料が上限3.3%(税込み)。ノーロードの投信も珍しくないのに最初から3%強を引かれた状態で投資を始める合理的な理由はあるのか。アクティブ型なので信託報酬も年1.65%(同)と高い。迷わず選択肢から外すべき商品だ。

中小型株投資」をしたいという投資初心者がいて「分散はどうすべきだと思うか。投信を活用すべきか」と聞かれたら「分散は大事だが、投信はお薦めしない。コストが高過ぎる」と答える。どの程度の資金を運用するかにもよるが、5銘柄ぐらいへの分散ができていれば良しとしたい。

もちろん分散は十分ではないだろう。ただ、金融業界に無駄な手数料を取られるぐらいならば、分散は「ある程度」でいい。分散効果を高めたいならば、投資額を積み上げていく段階で徐々に銘柄を増やしていくべきだ。

「記事では『過去5年間のリターンが比較的高い』投信を紹介しているので、手数料が高くても十分に費用を吸収できている」と川上記者は反論するかもしれない。「過去5年間」はそうだろう。しかし「好成績が将来も続くかどうかはわからない」はずだ。「過去5年間」に好成績だった投信ほど未来の「5年間」も優れたパフォーマンスを示す確率が高い訳でもない。ならば、リターン確保のためにまず重要なのは費用を抑えることだ。

投信選びでは一定の運用実績を残していることを事前に確認したい」と川上記者は言うが、この「確認」は省いてもいい。絶対に「確認」すべきなのは手数料などの費用だ。

しかし、その重要性に川上記者は触れていない。「表C」で紹介した5本の投信も「5年リターン」は見せているが、信託報酬や購入時手数料は示していない。あえてこうしたのならば金融業界の回し者だ。「コストについては考えていないかった」と言う場合、投資関連の記事を書くにはまだ実力不足だ。


※今回取り上げた記事「中小型株投資 プロに学ぶ~成長余地 3つの視点
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200222&ng=DGKKZO55914280R20C20A2PPE000


※記事の評価はD(問題あり)。川上純平記者への評価も暫定でDとする。