2019年12月24日火曜日

編集長時代はミス黙殺 コラムニストとしても苦しい東洋経済 西村豪太氏

高橋由里氏に始まり、今の山田俊浩氏まで週刊東洋経済では記事中のミスを黙殺する傾向が編集長3代に亘って続いている。両氏の間に入るのがに西村豪太氏だ。「本誌コラムニスト」の肩書で今も同誌に記事を書いている。書き手としては優れているかと言えば、そうでもない。
のこのしまアイランドパーク(福岡市)
          ※写真と本文は無関係です

12月28日・1月4日新春合併特別号の特集「2020代予測」の中の「010 中東情勢~米国の関与縮小で混迷深まる」という記事の中には意味の分からない記述があった。西村氏は以下のように書いている。


【東洋経済の記事】

中東でイランの勢力が拡大する中、オバマ政権時代の15年にイラン核合意が成立。イランの核技術開発を制限する一方で米国や欧州はイランへの制裁を緩和した。ところが、17年に就任したトランプ大統領はその意義を全面否定。一方的に核合意から離脱した後に「最強の制裁」を発動した。

これで経済的に追い詰められたイランが、制裁解除を求めてアラムコ石油施設への攻撃などで米国に揺さぶりをかけているとの見方が強い。トランプ政権は軍事力行使をちらつかせるものの、実際には動いていない。同盟国への挑発を通じて譲歩を引き出す米国の動きは、今後も続くとみられる

米国の代わりに矢面に立たされているサウジでは、サウジアラムコの上場という大イベントがあった。19年12月11日には2.8兆円という史上最大の巨額調達が実現した。資金使途は脱石油立国に向けた教育・訓練やインフラの整備だとされる。米国の中東への関与が縮小する中で、サウジが生き延びるための投資だといえる。


◎間違いのような…

理解できなかったのが「同盟国への挑発を通じて譲歩を引き出す米国の動きは、今後も続くとみられる」という部分だ。「米国の動き」を「イランの動き」に直せば、話は分かる。「(サウジアラビアなど米国にとっての)同盟国への挑発を通じて(米国からの)譲歩を引き出すイランの動きは、今後も続くとみられる」と考えればいい。

しかし実際は「同盟国への挑発を通じて譲歩を引き出す米国の動きは、今後も続くとみられる」と西村氏は書いている。

同盟国」が「米国の同盟国」なのか「イランの同盟国」なのか明確ではないが、文脈的には「米国の同盟国=サウジアラビア」かなとは思う。しかし米国がサウジアラビアを「挑発」して「イラン」から「譲歩を引き出す」というのが、どういうことか自分には理解できなかった。

なので「米国の動き」は「イランの動き」の誤りではないかと見ている。自分の読解力が足りないだけかもしれないが、少なくとも分かりやすくは書けていない。

付け加えると「サウジアラムコの上場」に関する説明にも問題がある。

2.8兆円という史上最大の巨額調達が実現した。資金使途は脱石油立国に向けた教育・訓練やインフラの整備だとされる」と西村氏は解説している。

しかし、調達した「資金」を国営石油会社の「サウジアラムコ」が「脱石油立国に向けた教育・訓練やインフラの整備」に使うのもおかしな話だ。「それは政府の仕事では?」と聞きたくなる。

朝日新聞は12月6日付の記事で「サウジアラビア政府は5日、国内市場へ月内に上場する予定の国営石油会社『サウジアラムコ』の売り出し価格を1株32リヤル(約8・5ドル、約930円)に決定したと発表した。資金調達額は256億ドル(約2兆8千億円)にのぼり、史上最高額を更新する」と報じている。

この記事の通りならば「巨額調達」の主体は「サウジアラムコ」ではなく「サウジアラビア政府」だ。「上場」に関して資金調達に触れる場合「新規上場企業の資金調達」と見るのが普通だ。なので、西村氏の説明だと「サウジアラムコ」が「巨額調達」の主体だと理解したくなる。

この辺りにも西村氏の書き手としての力量が出ているのではないか。


※今回取り上げた記事「010 中東情勢~米国の関与縮小で混迷深まる
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22472


※記事の評価はE(大いに問題あり)。西村豪太氏への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。西村氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

道を踏み外した東洋経済 西村豪太編集長代理へ贈る言葉
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_4.html

「過ちて改めざる」東洋経済の西村豪太新編集長への手紙
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/blog-post_4.html

訂正記事を訂正できるか 東洋経済 西村豪太編集長に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/blog-post_25.html

「巨大地震で円暴落」?東洋経済 西村豪太編集長のウブさ
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/01/blog-post_19.html

金融庁批判の資格なし 東洋経済の西村豪太編集長
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/03/blog-post_19.html

「貿易赤字の解消」で正解?東洋経済 西村豪太編集長に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_72.html

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