2021年9月1日水曜日

日経 下川真理恵記者に性差別制度としての「女子大」を論じてほしかったが…

韓国の徴兵制ほどではないが、日本の女子大学(特に国立女子大)は露骨な性差別制度と言える。この問題について日本経済新聞の下川真理恵記者がわずかに触れたものの、結局は「女子大の役割が改めて問われている」で逃げている。それが残念だったので、記事についていた「ご意見・情報」を求めるメールアドレスに意見を送ってみた。内容は以下の通り。

うきは市役所

【日経へのメール】

日本経済新聞社 下川真理恵様

1日付の日本経済新聞 朝刊大学面に載った「戸籍上は男性の性的少数者 女子大が門戸」という記事について意見を述べさせていただきます。今回の記事には「なぜ『女性限定』 問われる役割」という関連記事が付いています。「女子大」に関してまず「問われる」べきは「性的少数者」に「門戸」を開くかどうかはなく、関連記事で触れた「女子大」が「なぜ『女性限定』」なのかではありませんか。しかし下川様は「女子大の役割が改めて問われている」と述べただけで、この問題を掘り下げていません。

関連記事によると「女子大は現在、75校」あり、お茶の水女子大と奈良女子大は国立大学です。一方で男子大学は存在しません。つまり日本では、性別が男性というだけで大学の選択肢が女性より「75校」も少なくなります。しかも、ここには国立大学が含まれています。明らかな性差別です。

記事には「日本学術会議が『(TG学生が)女子校・女子大に進学できないのは学ぶ権利の侵害』とする提言を公表し、各大学で検討が進んだ」との記述があります。「TG(トランスジェンダー)学生」が「女子大に進学できないのは学ぶ権利の侵害」ならば、男子学生が「女子大に進学できない」のも「学ぶ権利の侵害」に当たるはずです。

男女平等の原則に基づけば、少なくとも国立の女子大は共学化すべきです。どうしても女子大として残したいのならば、共学の国立大学2校を男子校化する手もあります。

公的な教育において、あからさまな性差別が制度として残っていることを下川様はどう考えますか。この問題を改めて検討し、紙面で取り上げてはどうでしょうか。

せっかくの機会なので、記事に関して気になった点を2つ記しておきます。

日本女子大による「TG学生」の受け入れについて下川様は以下のように記しています。

検討を始めたのは15年、性同一性障害の子どもを持つ母親からの『付属中学を受験したい』との相談が契機だった。議論の末に受け入れは断念したが、母親の『審議してくれてありがとう』という言葉が背中を押し、対象を大学に限定して検討を継続した

『付属中学を受験したい』との相談が契機だった」のに、なぜ「対象を大学に限定して検討を継続した」のか記事では説明していません。「母親」の「言葉が背中を押し」たのならば「付属中学」を「対象」から外したのは解せません。何か理由があるのなら、説明が欲しいところです。

この後の記述も引っかかりました。

壁になったのは学内の理解だ。20年に実施した学生や教職員の意向調査では半数以上が受け入れに好意的だった一方、25%程度は『分からない』と答えた。『トイレや更衣室などが不安』『女性と偽って入学するのではないか』など不安の声も上がった。そこで啓発活動を強化。20年度からは『ダイバーシティーウイーク』期間を設けて専門家による講義を始めた。21年4月には学生主体の支援団体も発足した

女性と偽って入学するのではないか」といった「不安」は「啓発活動を強化」することで解消できるのですか。「女性と偽って入学」しようとする人を見分けられる仕組みになっており、そのことを「啓発」していくとの趣旨でしょうか。

戸籍上は男性でも性自認は女性」の人を「トランスジェンダー」とするのであれば「女性と偽って入学する(戸籍上も性自認も実は男性という人が入学する)」ことを防ぐのは困難です。「啓発活動」によって「不安」を解消できると下川様が確信したのならば、どんな「啓発活動」なのか触れた方が良かったでしょう。

私の意見は以上です。今後の参考にしていただければ幸いです。


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※今回取り上げた記事

なぜ『女性限定』 問われる役割

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210901&ng=DGKKZO75314990R30C21A8TCN000


戸籍上は男性の性的少数者 女子大が門戸

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210901&ng=DGKKZO75314940R30C21A8TCN000


※記事の評価はいずれもC(平均的)。下川真理恵記者への評価も暫定でCとする。

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