2020年8月10日月曜日

水無田気流氏にまた偏見の悪癖が…日経「ダイバーシティ進化論」

詩人・社会学者の水無田気流氏。偏見に満ちた記事を書くのを控えるようになったのかと思っていたら、そうではなかった。10日の日本経済新聞朝刊女性面に同氏が書いた「ダイバーシティ進化論~『ポテサラ論争』の闇 高齢男性の孤独の表れ?」という記事は問題ありだ。全文を見た上で具体的に指摘したい。
冠水した国道210号線(福岡県久留米市)
         ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】 

先日ツイッターに、総菜コーナーでポテトサラダを買おうとした幼児連れの女性が、高齢男性から「母親ならポテトサラダくらいつくったらどうだ」と言われるのを目撃した、というつぶやきが投稿された。これに13万件を超えるリツイートがつき「ポテサラ論争」と呼ばれ、話題となった。

「母親なら」手間を惜しまず手作りの料理を用意すべきだという通念に対する反発と、ポテトサラダという一見簡単だが意外に手間のかかる総菜を、それ「くらい」と見なす男性の家事見識のなさへの批判などが目立った。

筆者はこれを読み、子どもが2歳のころ遭遇した場面を思い出した。子どもをショッピングカートに乗せ、スーパーのATMに行ったときのこと。狭いためカートを横に置けず、後ろに置いて操作していた。そのほんのわずかな時間、子どもが私に抱きつこうとカートからはい上がってきた。気配に気づき子どもを抱き留めたが、カートは倒れそうになり、子どもは泣き出した。そのとき「何やってるんだ、ちゃんと見てろ!」と、後ろに並んでいた高齢男性に怒鳴られた

後ろ向きでものを見るのは極めて困難である。昔イチロー選手の守備で、打球に背中を向けて走りながら華麗に追いつきキャッチしたのを見て感動した覚えがあるが、母親業はイチローレベルの反射神経がなければ務まらないのか。

周囲の女性たちの間でも、子どもがぐずっていたらうるさいと怒鳴られた、子連れで歩いていたら「母親のくせに化粧なんかしやがって」と言われた、などの話を耳にする。新型コロナウイルスによる「自粛警察」横行以前から、この国の母親たちは周囲の「正しい母親たるべし」というまなざしの「取り締まり(ポリシング)」に遭ってきた。

正義を盾に子連れの女性に説教してくる相手は、聞く限り高齢男性が多い。男性が上から目線で女性に説教することを「マンスプレイニング」というが、その一環だろう。ただ母親たちに聞いたところ「注意する方も本気でそう思っているというより、正義を振りかざして構ってほしいのでは」との意見もあった。

たしかに日本では、各種統計調査に鑑みても「母は家事・育児の要求点数が多く大変」だが「高齢男性は人間関係が希薄で孤独」だ。彼らが怒鳴ることでしか他人と接点を持ち得ないとすれば、その闇は深い


◎「高齢男性」で括る必要ある?

ポテサラ論争」の事例が仮に事実だとしても、あくまで特定の「高齢男性」の話だ。それを「高齢男性」全体に当てはめてしまうのが水無田氏の怖いところだ。

全体に当てはめる根拠としては、「スーパーのATM」での自身の体験と「正義を盾に子連れの女性に説教してくる相手は、聞く限り高齢男性が多い」という個人的な情報網だ。これを基に「高齢男性」を「正義を盾に子連れの女性に説教してくる」傾向が強い人々として描いている。

このやり方で良ければ、様々な属性の人々を簡単に悪者にできる。例えば在日韓国人の男性がセクハラで問題を起こしたとしよう。その時に「自分も在日韓国人の男性からセクハラ発言をされて困ったことがある。周りの女性にも在日韓国人からのセクハラを怖がる声が多い」などと書けば「在日韓国人の男性=セクハラする傾向が強い人々」として描ける。

しかし、客観性はもちろんない。セクハラと無縁の多くの在日韓国人の男性にとっては迷惑な話となる。それと同じことをやっているのが水無田氏だ。

強引な結び付けはさらに続く。「高齢男性は人間関係が希薄で孤独」だとしても「構ってほしい」から「正義を盾に子連れの女性に説教してくる」のかどうかは分からない。しっかり検証しなければ、何とも言えない。
 
なのに「彼らが怒鳴ることでしか他人と接点を持ち得ないとすれば、その闇は深い」と記事を結んでしまう。これでは「高齢男性」の多くが「怒鳴ることでしか他人と接点を持ち得ない」人々のように見える。

水無田氏は以前にこのコラムで「『男性対女性』の短絡的な二項対立図式」で物事を捉える危うさを訴えていた。しかし今回は「子連れの女性」と「高齢男性」の「短絡的な二項対立図式」で物事を捉えているように見える。

やはり水無田氏は偏見の罠から逃れられないのだろう。宿命だと思える。


※今回取り上げた記事「ダイバーシティ進化論~『ポテサラ論争』の闇 高齢男性の孤独の表れ?
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200810&ng=DGKKZO62417110X00C20A8TY5000


※記事の評価はD(問題あり)。水無田気流氏への評価はEを据え置く。同氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日経女性面「34歳までに2人出産を政府が推奨」は事実?
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/34.html

日経女性面に自由過ぎるコラムを書く水無田気流氏
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_5.html

日経女性面で誤った認識を垂れ流す水無田気流氏
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/12/blog-post_30.html

「男女の二項対立」を散々煽ってきた水無田気流氏が変節?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/04/blog-post_58.html

水無田気流氏のマネーポスト批判に無理がある日経「ダイバーシティ進化論」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/blog-post.html

水無田気流氏の「女性議員巡る容姿偏向報道」批判は前提に誤り?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post_14.html

水無田気流氏のデータの扱いに問題あり 日経「ダイバーシティ進化論」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/blog-post_18.html

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