2020年5月27日水曜日

雑な作りが残念な日経「日産、3000億円コスト削減」

27日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「日産、3000億円コスト削減~新型コロナ拡大で追加策」という記事は雑な作りが目立った。記事の全文は以下の通り。
浮羽稲荷神社(福岡県うきは市)※写真と本文は無関係

【日経の記事】

日産自動車が年間3000億円規模のコスト削減に踏み切ることが26日、分かった。新型コロナウイルス感染拡大で業績悪化に歯止めがかからず、設備廃棄や販管費抑制などの追加のコスト削減を実施することで収益改善を急ぐ

28日に発表する20年3月期の連結最終損益は11年ぶりに赤字に転落したもようだ。販売台数も前の期比13%減の479万台まで落ち込んでいた。

日産は米国に完成車工場を2つ持つ。そのうち主力セダンなどを生産するミシシッピ州の工場で3つある製造ラインを1つ削減する方向で調整している。調査会社によると、日産の米国の生産能力は年約110万台で、ライン削減により米国の生産能力は約1割減るとみられる。日産の19年度の米国での生産台数は約69万台と前年度比15%減っており、米生産拠点は過剰設備となっていた。


◎「3000億円」の内訳は?

年間3000億円規模のコスト削減に踏み切る」と言うが、その内訳がまず分からない。具体的な「コスト削減」策として出てくるのは「ミシシッピ州の工場で3つある製造ラインを1つ削減する」という話のみ。ただ、「製造ラインを1つ削減する」だけで「年間3000億円規模のコスト削減」になるのか疑問だ。

最初の段落では「販管費抑制」という文字も見える。なので「製造ラインを1つ削減する」以外にも何らかの「コスト削減」策があるのだろう。ただ、その中身には全く触れていない。

今回の記事では、第2段落が無駄だと感じた。まずは「コスト削減」の中身をしっかり説明してほしい。「28日に発表する20年3月期の連結最終損益は~」といった話は、紙面に余裕がある場合に記事の最後に付ければ十分だ。

冗長さも気になった。「設備廃棄や販管費抑制などの追加のコスト削減を実施することで収益改善を急ぐ」というくだりは「実施すること」が要らない。例えば「設備廃棄や販管費抑制などの追加のコスト削減で収益改善を急ぐ」としても何の問題もない。「実施」「こと」といった言葉は省ける場合が多い。記事を書く時は簡潔な表現を心掛けてほしい。


※今回取り上げた記事「日産、3000億円コスト削減~新型コロナ拡大で追加策
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200527&ng=DGKKZO59608770W0A520C2EA1000


※記事の評価はD(問題あり)

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