2021年8月14日土曜日

五輪開催はアスリートに罪あり? AERAdot.の記事に見える上野千鶴子氏の問題

上野千鶴子氏の発言が相変わらず酷い。14日付でAERAdot.に載った「上野千鶴子、五輪の強行開催のツケは『政権に払わせるべき』」という記事の中身を見ながら具体的に指摘したい。

夕暮れ時の筑後川

【上野氏の発言】

このまま、パラリンピックも開催するつもりなのか。本来ならばパラリンピックこそ応援したいし、パラリンピックによって街のバリアフリー化も進むのではと期待がありました。しかし、パラアスリートは必要な付き添いスタッフも多いし、障害の種類によってはパンデミックに対して脆弱(ぜいじゃく)です。朝日新聞社が主催の甲子園も開催されるようですが、中止になった去年よりも感染状況はずっと深刻です。都道府県境を越えて多くの人が移動するのはかまわないのでしょうか。パラリンピックも甲子園も、本来中止すべきです。ただ、五輪を開催しているのにやめろとも言えないでしょう


◎中止要求はやめた?

上野氏らは東京五輪・パラリンピックの中止を求める署名を集めて五輪開催前に東京都に提出したはずだ。しかし、なぜか「五輪を開催しているのにやめろとも言えないでしょう」と弱腰になっている。中止への賛同があまり得られず弱気になっているのか。

パラリンピックも甲子園も、本来中止すべき」ならば、愚直に「中止」を求めるべきだ。特に「パラリンピック」は開催までに時間がある。

さらに気になったのが以下のくだりだ。

【上野氏の発言】

「アスリートに罪はない」「選手がかわいそう」という言葉が五輪の免罪符のように使われましたが、最近の感染状況を見るとこれにも賛同できません。国民全員が我慢を強いられています。「みんなでこの難局を乗り越えるために、一緒に我慢しよう」とアスリートに求めてはいけないでしょうか。

政権には、このツケを払ってもらわなければなりません。政治家に責任を取らせる責任は私たち国民にあります。


◎「アスリートにも罪がある」?

『アスリートに罪はない』『選手がかわいそう』という言葉が五輪の免罪符のように使われましたが、最近の感染状況を見るとこれにも賛同できません」と上野氏は言う。つまり「アスリートにも罪がある」と見ているのだろう。「最近の感染状況を見るとこれにも賛同できません」という発言からは「感染拡大を招いた罪がアスリートにもある」と取れる。

ルール違反があった場合はともかく、プレーブックに従って行動した「アスリート」にどんな「」があるのか。百歩譲って「」があるとして、どんな罰を受けるべきなのか。

選手がかわいそう」と上野氏が思わないのは勝手だが、東京五輪での「アスリート」のコメントからは、五輪開催を嫌がる人への配慮を多く感じた。そうした状況下で開催できた感謝を表明した「アスリート」も多かった。個人的には、本来背負わなくても良いものを背負わせてしまって「選手がかわいそう」と思わずにはいられなかった。

なのに、さらに追い打ちをかけて「」を認定し罰を与えるべきなのか。上野氏にはよく考えてほしい。

上野氏は五輪と「最近の感染状況」に勝手に因果関係を見出しているようだが、これも感心しない。上野氏が事実を重視しない学者であることは以前に指摘した。それでも学者の端くれではあるはずだ。ならば因果関係があると言える根拠は示すべきだ。

死者数はずっと低水準なので「五輪開催によって多くの命が失われた」とは言えないだろう。仮に五輪開催と感染者数増加に因果関係があるとしても、死者数の増加に結び付いていないならば大した問題ではない。

多くの若者の夢を奪ってまで五輪を中止するならば「代わりに多くの命が救われる」ぐらいのメリットは欲しい。今のところ、五輪が多くの日本人の命を奪った可能性はゼロに近い。

上野氏が新型コロナウイルスを怖がるのは分かる。そこを責めるつもりはない。だからと言って、まともな根拠もなしに「アスリート」に罪を着せても良い訳ではない。


※今回取り上げた記事「上野千鶴子、五輪の強行開催のツケは『政権に払わせるべき』」https://dot.asahi.com/aera/2021081100025.html?page=1


※記事の評価は見送る。上野千鶴子氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

東洋経済「会社とジェンダー」で事実誤認発言を連発した上野千鶴子氏https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/06/blog-post_10.html

「女性にすべてのシワ寄せが来る」と東洋経済で訴えた上野千鶴子氏の誤解https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/06/blog-post_11.html

日経ビジネスで「罰則付きクオータ制」の導入を求める上野千鶴子氏に考えてほしいことhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2020/11/blog-post_22.html

日経女性面でのクオータ制導入論が「非論理的」な上野千鶴子氏https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_27.html

「ダイバーシティー推進で企業はもうかる」と断定する上野千鶴子氏の誤解https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/07/blog-post_22.html

0 件のコメント:

コメントを投稿