2020年6月18日木曜日

中東への「第2波」はまだ「懸念」だと日経 岐部秀光記者は言うが…

最近、記事の中での「第2波」の使い方が気になる。18日の日本経済新聞朝刊国際面に岐部秀光記者が書いた「中東『第2波』の懸念~感染者増 イスラム巡礼に影響も」という記事では「サウジアラビアやイランなど中東地域で、新型コロナウイルス感染の第2波の懸念が高まっている」と冒頭で記している。つまり「第2波」はまだ来ていない。しかし読み進めると話が違ってくる。
大分県日田市を流れる三隈川(筑後川)
      ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

「経済活動の再開は暫定的なものだ。(感染の)ピークが戻れば制限を再び導入せざるを得ない」。イランのロウハニ大統領は13日、移動制限の解除などに伴う「緩み」に警鐘を鳴らした。早期に大流行に見舞われたイランでは、3月末に3000人を超えた感染者が一時1000人を下回った。6月に入り再び3000人超の日が続き過去最高を更新した。

イランの「第2波」は検査数を増やしたためという面はある。しかし感染による一日の死者は今週、4月半ば以来の100人超を記録。米制裁などの影響で、医療がぜい弱なイランの当局は動向に神経をとがらせる。



◎「第2波」来ているのでは?

イランの『第2波』は検査数を増やしたためという面はある」という書き方からは、「第2波」は来ていると取れる。「感染確認者数の推移」というグラフを見ても、まさに「第2波」だ。だったら「第2波の懸念が高まっている」という説明とは少し合わない。

さらに気になったのがサウジアラビアだ。

【日経の記事】

サウジでは5月のピークから感染が減る傾向にあったが、6月に再び増加傾向に転じた。人口はイランの4割程度だが、1日当たり感染者数はイランを上回る。今週には初めて一日の感染者が4000人を上回り、死者も過去最高の40人以上に達した。累計死者数は17日までに1000人を突破した。



◎第1波も去ってないような…

グラフを見ると「5月のピーク」の「感染者数」は3000人弱。それが2000人を割り込んでから増加に転じ、直近では「4000人」を超えてきている。

個人的には第1波が去っていないと感じる。「5月のピーク」までが第1波だとしても「今週には初めて一日の感染者が4000人を上回り、死者も過去最高の40人以上に達した」のであれば「第2波」が来ているのは明らかではないか。なのに「第2波の懸念が高まっている」との認識でいいのか。


※今回取り上げた記事「中東『第2波』の懸念~感染者増 イスラム巡礼に影響も
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200618&ng=DGKKZO60456880X10C20A6FF8000


※記事の評価はD(問題あり)。岐部秀光記者への評価もDで確定とする。岐部記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

エルサレムは「アジアから縁遠い」? 日経 岐部秀光記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2017/12/blog-post_7.html

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