2021年11月2日火曜日

まとめ物として成立していない日経夕刊1面「コンビニおでん、人手不足で激減」

2日の日本経済新聞夕刊1面に載った「コンビニおでん、人手不足で激減~ファミマ、提供店2割」という記事は苦しすぎる。これで1面に持っていけると思えたのが不思議だ。全文を見た上で問題点を指摘したい。

錦帯橋

【日経の記事】

コンビニエンスストア大手が店頭でのおでん販売を縮小している。ファミリーマートは2019年まではほぼ全店で取り扱っていたが、21年は約2割の店舗での提供にとどまる。ローソンは約4割だ。人手不足で従業員の作業負荷が高まっていた中、新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけた。店頭の「冬の風物詩」の様子が変わりつつある。

ファミマでおでんを販売するのは国内約3800店で、全約1万6千店の2割程度にあたる。

ファミマ本部は19年まで、おでんを「標準の品ぞろえ」に設定。結果的にフランチャイズチェーン(FC)加盟のほぼ全店が取り扱っていた。だが、20年に「選択制」へ変えたところ、売らない加盟店が急増した

背景にあるのは人手不足だ。店頭でのおでん販売は仕込みや温度管理に手間がかかり、従業員の負担が大きい。売れ残った場合のフードロス(食品廃棄)という課題も抱えていた。そこにコロナ禍の直撃で「衛生面の管理がさらに難しくなった」(ファミマ)。ローソンも同様の構図だ。

ファミマやローソンでも、引き続き冬季の集客の柱に据える加盟店もある。

大手で最初に店頭でのおでん販売に参入したセブン―イレブン・ジャパンは今冬も、ピーク時は約2万1千店のうち大半の店舗で販売予定だ。

おでんは巣ごもり消費と相性が良く、酒類の売り上げ増も期待できる。販売を続ける店舗では、調理鍋の前にアクリル板を置いたり、セルフサービスを中止して従業員が取り分けたりと、コロナ禍に合わせた売り方に工夫を凝らしている。


◎まとめ物として成立してる?

コンビニエンスストア大手が店頭でのおでん販売を縮小している」というのが記事の柱だ。いわゆる「まとめ物」で「コンビニエンスストア大手」3社の動向をまとめている。

まず「セブン―イレブン・ジャパンは今冬も、ピーク時は約2万1千店のうち大半の店舗で販売予定」なので「おでん販売を縮小」とは言えない。

次に「ローソン」。「店舗での提供」が「約4割」という数字はあるが、過去との比較がないので「おでん販売を縮小」と言えるのか、よく分からない。

結局、記事の頼りは「ファミリーマート」だ。「2019年まではほぼ全店で取り扱っていたが、21年は約2割の店舗での提供にとどまる」ようなので「2019年」との比較では確かに「縮小」となる。

ただ「20年に『選択制』へ変えたところ、売らない加盟店が急増した」とも書いている。だとしたら「縮小」は「20年」には起きていた。「21年」もさらに大きく減るのならば記事にする意味はあるかもしれないが、「20年」との比較は見当たらない。

となると、「コンビニエンスストア大手」が「21年」に「おでん販売を縮小」する事例は出てこないことになる。それで「コンビニおでん、人手不足で激減」と見出しを立て1面に持ってきて良いのか。

「そこまでしないと夕刊は埋まらない」と言うのならば夕刊は廃止でいい。


※今回取り上げた記事「コンビニおでん、人手不足で激減~ファミマ、提供店2割」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211102&ng=DGKKZO77196010S1A101C2MM0000


※記事の評価はE(大いに問題あり)

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