2022年2月20日日曜日

「インフレ抑制が重要」なのに「物価なんてどうでもいい」と言い切る小幡績 慶大准教授の矛盾

日本では物価もインフレもさほど重要ではない~なぜ異次元緩和までしてインフレを起こすのか」という東洋経済オンラインの記事(19日付)で「物価もインフレも重要ではない」「物価なんてどうでもいい」と慶応大学大学院准教授の小幡績氏が言い切っている。それはそれでいいのだが、その後で「ともかくインフレは妥当な水準に抑え込まないといけないのである」などと訴えていて支離滅裂だ。問題のくだりを見ていこう。

恵蘇宿橋と筑後川と夕陽

【東洋経済オンラインの記事】

物価なんてどうでもいい。しかし、人々はなぜ、物価が、インフレがそんなにも重要だと思うのか。

理由は3つある。第1に、ハイパーインフレーションおよびデフレスパイラルが恐ろしいからである。これは私ももちろん賛成である。これらは全力で回避すべきものである


◎それこそ「物価」の問題では?

ハイパーインフレーションおよびデフレスパイラルが恐ろしい」という考えに小幡氏は「賛成」らしい。だったら「物価なんてどうでもいい」とは言えないはずだ。

続きを見ていく。


【東洋経済オンラインの記事】

しかし、普通のインフレ、そして0~0.5%の超低インフレ(デフレとなんとなくみな呼んでいるが、それは間違いだ。あくまでインフレであり、低いだけだ)、これらはハイパーともスパイラルとも異なり、経済に致命的なダメージを与えない。まるで別物なのである。それゆえ、恐れる必要はない。それが私の意見である。

それでも、ほかの学者たちの意見は「ハイパーインフレやデフレスパイラルになるリスクをとにかく減らすことが必要で、とりわけデフレスパイラルに陥ると中央銀行としてはなすすべがなくなるから、それに陥らないように、予防的に、徹底的に低インフレを回避すべきである」ということである。

第2の理由は、これと関連していて「2%程度のインフレが必要な理由は、中央銀行にとって便利だから」である


◎「第2の理由」になってる?

2%程度のインフレが必要な理由は、中央銀行にとって便利だから」という話は分かる。ただ、これが「第2の理由」になるのか。「人々はなぜ、物価が、インフレがそんなにも重要だと思うのか」に関する「第2の理由」を小幡氏は挙げているはずだ。

しかし「2%程度のインフレが必要な理由」と混ざってしまっている。強引に解釈すれば「2%程度のインフレが中央銀行にとって便利だから人々は物価やインフレが重要だと考える」ということか。成立しなくはないが、人々はそんなに「中央銀行にとって便利」かどうかを気にするものなのか。

少し飛ばして続きを見ていく。


【東洋経済オンラインの記事】

インフレ抑制が重要である理由は、実は本質的にはただ1つ、最も基本的な話だが、庶民の生活を守ること、物価高騰で生活苦に陥らないようにすることなのである。

これが第3の理由であるが、これが現在、アメリカのFEDが慌てふためいて政策を急転換している理由である。選挙のため、政権から圧力がかかっているかどうかは知らないが、圧力がまったくなかったとしても、セントラルバンカーとしてはこのようなインフレは止めなければならない。


◎「物価なんてどうでもいい」はどうなった?

インフレ抑制が重要である理由は、実は本質的にはただ1つ、最も基本的な話だが、庶民の生活を守ること、物価高騰で生活苦に陥らないようにすることなのである」と小幡氏が自ら書いてしまっている。「インフレ抑制が重要」なのに「物価もインフレも重要ではない」「物価なんてどうでもいい」と言えるのか。

人々はなぜ、物価が、インフレがそんなにも重要だと思うのか」に関する「第3の理由」も「インフレ抑制が重要である理由」と混ざってしまって非常に分かりにくい。これは東洋経済オンライン編集部の問題でもある。担当者らが小幡氏の説明の拙さをカバーしてあげるべきだ。

さらに続きを見ていく。


【東洋経済オンラインの記事】

インフレが加速するかどうか、永続的か、ちょっと長めの一時的か、どうなるかについては判断が分かれる。だが、将来シナリオがどうであったとしても、今現在、インフレで苦しんでいる人々、それも相対的な低所得層がいる以上、ともかくインフレは妥当な水準に抑え込まないといけないのである


◎「物価なんてどうでもいい」は忘れた?

最初の方に書いたことは忘れてしまったのか。「今現在、インフレで苦しんでいる人々、それも相対的な低所得層がいる以上、ともかくインフレは妥当な水準に抑え込まないといけないのである」と小幡氏は訴えている。

物価もインフレも重要ではない」「物価なんてどうでもいい」という主張との整合性も小幡氏にとっては「どうでもいい」のだろう。

記事ではこうも書いている。

繰り返すが、物価が重要なのは、それは庶民が直面する価格であり、それが上がると直接的に生活が貧しくなる。だから、物価上昇は抑えなくてはいけないのであり、それ以外の問題は2次的な問題にすぎない

結局「物価が重要」で「物価上昇は抑えなくてはいけない」らしい。ここまで堂々と矛盾を放置できるのは、ある意味すごい。


※今回取り上げた記事「日本では物価もインフレもさほど重要ではない~なぜ異次元緩和までしてインフレを起こすのか

https://toyokeizai.net/articles/-/512971


※記事の評価はE(大いに問題あり)。小幡績氏については以下の投稿も参照してほしい。

東洋経済オンラインで「MMTは大間違い」と断言した小幡績 慶大准教授の大間違いhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2021/11/mmt.html

小幡績 慶大准教授の市場理解度に不安を感じる東洋経済オンラインの記事https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/blog-post_18.html

「確実に財政破綻は起きる」との主張に無理がある小幡績 慶大准教授の「アフターバブル」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/10/blog-post.html

やはり市場理解度に問題あり 小幡績 慶大准教授「アフターバブル」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/10/blog-post_4.html

週刊ダイヤモンド「激突座談会」での小幡績 慶大准教授のおかしな発言https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/03/blog-post_25.html

東洋経済オンラインでのインフレに関する説明に矛盾がある小幡績 慶大准教授https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/06/blog-post_14.html

MMTは「財政支出の中身を気にしない」? 小幡績 慶大准教授が東洋経済オンラインで見せた誤解

https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/12/mmt.html

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