2020年10月29日木曜日

英仏は本当に休んでた? 日経 秋田浩之氏「Deep Insight~準大国の休息は終わった」

 訴えたいことは特にないが順番が回ってきたから紙面をとりあえず埋めた--。29日の日本経済新聞朝刊オピニオン面に載った「Deep Insight~準大国の休息は終わった」という記事からは、そんな印象を受けた。

新田大橋(大川市)※写真と本文は無関係

筆者の秋田浩之氏(肩書は本社コメンテーター)は記事を以下のように締めている。


【日経の記事】

米国の一極体制が終わったといわれてから久しい。準大国が米国の指導力に頼っていればよかった休息の時代は終わった。


◎「休息の時代」はいつ終わった?

準大国の休息は終わった」と見出しにも取っているのだから、これが秋田氏の最も訴えたかったことなのだろう。だが「準大国の休息」がいつ「終わった」のかは教えてくれない。わざわざ訴えるぐらいだから「最近になって終わった」との趣旨かと思えば「米国の一極体制が終わったといわれてから久しい」とも書いている。だとすれば、かなり前に「準大国の休息は終わった」とも取れる。それならなぜ今頃になって「準大国の休息は終わった」と打ち出したのか。

第2次世界大戦終了と同時に「休息」が始まり、トランプ政権誕生で「休息は終わった」と仮定しよう。本当に「準大国」(秋田氏によると「日英独仏、イタリア、カナダ」)は「休息」していたのだろうか。

例えば1982年のフォークランド紛争で英国は200人を超える戦死者を出した。2003年にはイラク戦争にも参戦している。フランスは2013年にマリへ軍事介入し、15年にはシリアで空爆に踏み切った。それでも「休息」なのか。

秋田氏の話に耳を傾ける必要はない。そう結論付けるのが妥当だろう。


※今回取り上げた記事「Deep Insight~準大国の休息は終わった」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201029&ng=DGKKZO65558570Y0A021C2TCT000


※記事の評価はD(問題あり)。秋田浩之氏への評価はE(大いに問題あり)を維持する。秋田氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。


日経 秋田浩之編集委員 「違憲ではない」の苦しい説明
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post_20.html

「トランプ氏に物申せるのは安倍氏だけ」? 日経 秋田浩之氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/02/blog-post_77.html

「国粋の枢軸」に問題多し 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/03/deep-insight.html

「政治家の資質」の分析が雑すぎる日経 秋田浩之氏
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/08/blog-post_11.html

話の繋がりに難あり 日経 秋田浩之氏「北朝鮮 封じ込めの盲点」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/blog-post_5.html

ネタに困って書いた? 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/deep-insight.html

中印関係の説明に難あり 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/deep-insight.html

「万里の長城」は中国拡大主義の象徴? 日経 秋田浩之氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/blog-post_54.html

「誰も切望せぬ北朝鮮消滅」に根拠が乏しい日経 秋田浩之氏
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_23.html

日経 秋田浩之氏「中ロの枢軸に急所あり」に問題あり
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_30.html

偵察衛星あっても米軍は「目隠し同然」と誤解した日経 秋田浩之氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_0.html

問題山積の日経 秋田浩之氏「Deep Insight~米豪分断に動く中国」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/deep-insight.html

「対症療法」の意味を理解してない? 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/deep-insight.html

「イスラム教の元王朝」と言える?日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/deep-insight_28.html

「日系米国人」の説明が苦しい日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/12/deep-insight.html

米軍駐留経費の負担増は「物理的に無理」と日経 秋田浩之氏は言うが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_30.html

中国との協力はなぜ除外? 日経 秋田浩之氏「コロナ危機との戦い(1)」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/blog-post_23.html

「中国では群衆が路上を埋め尽くさない」? 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/06/deep-insight.html

日経 秋田浩之氏が書いた朝刊1面「世界、迫る無秩序の影」の問題点
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/08/1_15.html

2020年10月28日水曜日

業界寄りの姿勢が残念な日経「大手証券、投信手数料『残高連動』で試行錯誤」

28日の日本経済新聞朝刊 金融経済面に載った「大手証券、投信手数料『残高連動』で試行錯誤~大和、売買多いと顧客有利に」という記事は「大手証券」に寄り添う内容だと感じた。前半部分を見てみよう。

柳川市から見た有明海※写真と本文は無関係

【日経の記事】

証券会社の投資信託販売で「残高連動」の手数料体系が広がってきた。大和証券は10月から連動型を新たに設け、野村証券も連動型の導入を検討している。もっとも、大和の場合は多く売買するほど顧客が有利になる仕組みで、一つの商品を長期保有すると不利になる場合もある。顧客本位の営業と、利益動向をにらみながらの試行錯誤が続いている。

大和は10月から、購入額が1000万円以上の場合に、購入時にその都度手数料を支払うか、残高に応じて年換算で最大約1%のフィーを支払う連動型にするかを選べるようにした。既に販売手数料が無料の商品などを除き、約360本を選んだ。12月以降に約30本を追加して原則として全ての投信が対象となる。

「相場環境にあわせ売買しながらふやしたい」なら残高連動型――。大和はウェブサイトで多く売買するほど有利になりやすいと解説している。連動型のコストは何回売買しても残高の約1%で、アクティブ型投信で一般的な2~2.5%程度の販売手数料がかからないためだ。

一般的な残高連動のイメージは、同じ商品を長期保有し、資産が膨らめば業者の収益も増えるというもの。大和も資産と収益が連動するのは同じだが、売買を前提としている点が目を引く。


◎「販売手数料」を実質的に取られるなら…

連動型のコストは何回売買しても残高の約1%で、アクティブ型投信で一般的な2~2.5%程度の販売手数料がかからない」と言うが、これだと「販売手数料」の代わりに「連動型」の「手数料」を払うことになる。「既に販売手数料が無料の商品」が世の中にはたくさんあるのだから、「大手証券」の「残高連動型」を選ぶ合理性はゼロに近い。

大手証券」が「試行錯誤」するのは勝手だが、日経には「投資家にとってメリットはない」と解説してほしかった。しかし、話は逆の方向に進んでいく。


【日経の記事】

野村証券は5月に残高連動型の手数料体系の導入検討を表明した。野村ホールディングスの奥田健太郎グループ最高経営責任者(CEO)は「(顧客と)同じベクトルを共有したい」という。ただし導入めどは2年で、慎重に制度設計しようという思惑がにじむ。

金融庁の森信親元長官が「顧客本位の営業」を求めてから、証券会社の手数料体系への注目は高まった。主要インターネット証券では投信の販売手数料はほぼ全面的に撤廃され、資産形成向けを掲げる新規参入組もおおむね無料だ。

対面営業型証券の歩みが遅く見えるのは、顧客層とも関連しているといえそうだ。相対的に売買頻度が高い顧客が多いのだとすれば、大和の新手数料が顧客の利益になるのは間違いない。大和は「当初は全体の投信手数料収入は減る可能性が高い」(古橋朋和営業企画部長)と予想する。


◎「顧客の利益になる」?

相対的に売買頻度が高い顧客が多いのだとすれば、大和の新手数料が顧客の利益になるのは間違いない」というのは間違いではない。選択肢は多い方がいいだろう。だが「主要インターネット証券では投信の販売手数料はほぼ全面的に撤廃され」ているのだから「対面営業型証券」も追随して「撤廃」してくれた方が「顧客の利益になる」。なのに「大和の新手数料が顧客の利益になるのは間違いない」と書いてしまうところに「大手証券」寄りの姿勢を感じた。


※今回取り上げた記事「大手証券、投信手数料『残高連動』で試行錯誤~大和、売買多いと顧客有利に

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201028&ng=DGKKZO65515450X21C20A0EE9000


※記事の評価はC(平均的)

2020年10月27日火曜日

根拠なしに「多様性」の大切さを説いても…日経 村山恵一氏「Deep Insight」

27日の日本経済新聞朝刊オピニオン面に村山恵一氏(肩書は本社コメンテーター)が書いた「Deep Insight~グーグルは『民主的』なのか」という記事は、まともな根拠なしに「多様性」や「開放性」が重要だと訴えているのが引っかかった。

九州佐賀国際空港※写真と本文は無関係です

問題のくだりを見ていこう。


【日経の記事】

いまや世界の半数以上がネットを使い、人々の行動や思考にテクノロジーが深く影響する。現代のテック企業がもつ力は、かつてパソコン用基本ソフトを牛耳った米マイクロソフトの比ではない。

だから斬新なものをつくる創造力だけでは足りない。テクノロジーが社会にもたらす副作用やリスクに気づく想像力がいる。さまざまな価値観を解するオープンな企業文化が大切になる

グーグルはどうだろうか。

まず多様性。世界の技術系従業員の76%を男性が占める。米国では白人とアジア系の技術者が圧倒的で、黒人は2.4%、ラテン系は4.8%にとどまる。グーグルの利用者は世界中にいる。「それに見合った人員構成にしたい」と同社は訴えるが、道半ばだ。


多様性」を求める根拠は?

テック企業」には「テクノロジーが社会にもたらす副作用やリスクに気づく想像力がいる」としよう。だが、そのために「多様性」が重要かどうかは何とも言えない。「多様性」によって「副作用やリスクに気づく想像力」が高まるという統計的な根拠が欲しい。

そもそもなぜ「技術系従業員」で見るのか。経営方針を決めるのは経営陣なので「多様性」の確保が重要だとしても経営陣限定で十分な気もする。

従業員」が問題を指摘してくる場合もあるとは思う。だとしたら、なぜ「技術系従業員」に限るのか。「副作用やリスクに気づく想像力」を有している非「技術系」の「従業員」もいるはずだ。

続きを見ていく。


【日経の記事】

次に開放性。グーグル親会社のアルファベットは創業者であるラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン両氏が特殊な株で議決権の51%を握る(2019年末時点)。「部外者がグーグルを乗っ取ったり、影響を与えたりするのが困難な構造」は04年の上場時に築かれた。

この体制が大胆な意思決定と驚異的な成長を可能にしたのは確かだ。しかしサービスが公共性を帯びるほど社会に浸透してもなお、ごく少数の意見で重要事項が決まる経営がずっと最適なのかはわからない。2人が公の場で考えを語る機会が減ったのも気になる。

グーグルの従業員だけが豊かになり、自分たちは取り残された。そう怒る地域住民が同社の通勤バスを「格差の象徴」と取り囲んだこともある。セクハラで同社の幹部らが大量解雇された一件では、明るい企業イメージとの落差に驚いた人がたくさんいただろう。


◎「わからない」なら…

この体制が大胆な意思決定と驚異的な成長を可能にしたのは確か」だと村山氏は言い切る。そして「ごく少数の意見で重要事項が決まる経営がずっと最適なのかはわからない」と見ている。ここから「開放性」を高めるべきとの結論は見出せない。何の根拠も示していないし、村山氏自身も「ごく少数の意見で重要事項が決まる経営がずっと最適なの」かもしれないと考えているのだから。

さらに見ていく。最も引っかかったのが以下のくだりだ。


【日経の記事】

社会とのズレを感じさせるのはグーグルだけではない。データやアルゴリズムを駆使して効率や規模を追う技術者気質の単一文化がしみつき、自社のテクノロジーが引き起こす問題をなかなか察知できないテック企業が多い――。業界内から聞こえてくる声だ。

例えば、SNS(交流サイト)でヘイトスピーチや誹謗(ひぼう)中傷が広がる問題。男性中心のサービス開発ではなく、女性の意見が重視される組織なら、事態が深刻になる前に手を打てたのではないか。そういう見方がある


◎誰の「見方」?

女性の意見が重視される組織なら、事態が深刻になる前に手を打てたのではないか。そういう見方がある」という説明が引っかかる。まず「テック企業」は「女性の意見が重視される組織」ではないのか。記事に付けたグラフによると、フェイスブックの技術職の24%は「女性」だ。彼女らの「意見」を軽視して「サービス開発」を進めてきたと言える根拠を村山氏は示していない。

女性の意見が重視される組織なら、事態が深刻になる前に手を打てたのではないか」という見立てにもまともな根拠はない。「そういう見方がある」とは書いているが、誰の「見方」かすら分からない。仮に著名な学者が「女性の意見が重視される組織なら、事態が深刻になる前に手を打てた」と言っているとしても、それだけでは苦しい。大切なのはエビデンスだ。

多様性」を高めることが組織にとって望ましいとは限らない。それは少し考えれば分かる。例えば男女混合のサッカーワールドカップを開催するとしよう。選手の男女比は各国が自由に決められる。

この場合「多様性」を重視して男女半々の選手構成で大会に臨む国と、実力重視で選び選手全員が男性の国では、どちらが勝利の可能性を高めているだろうか。


※今回取り上げた記事「Deep Insight~グーグルは『民主的』なのか」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201027&ng=DGKKZO65471560W0A021C2TCR000


※記事の評価はD(問題あり)。村山恵一氏への評価もDを維持する。村山氏については以下の投稿も参照してほしい。


「日本の部長、データを学べ」に説得力欠く日経 村山恵一氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/blog-post_16.html

日経 村山恵一氏の限界見える「Deep Insight~注目 シェア人類の突破力」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/deep-insight_6.html

「ネットと民主主義 深まる相克」に説得力欠く日経 村山恵一氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/05/blog-post_30.html

2020年10月26日月曜日

「新型・胃袋争奪戦が勃発」に無理がある日経 中村直文編集委員「経営の視点」

26日の日本経済新聞朝刊企業面に載った「経営の視点~新型・胃袋争奪戦が勃発 業態・場所超え顧客に接近」という記事で中村直文編集委員が苦しい分析を披露している。問題のくだりを見ていこう。

新田大橋(大川市)※写真と本文は無関係

【日経の記事】

日本惣菜協会によると食市場のシーン別内訳は、自宅で調理して食べる内食が約36兆円、弁当や総菜などの中食が約10兆円、外食が約26兆円。近年はコンビニエンスストアがイートインをつくったり、スーパーがレストランを運営したり、垣根が低くなっていた。


◎「近年」の話?

近年はコンビニエンスストアがイートインをつくったり、スーパーがレストランを運営したり、垣根が低くなっていた」という説明がまず引っかかる。ミニストップの「イートイン」はいつからあるのか。イトーヨーカ堂がデニーズの出店を始めたはいつなのか。それが「近年」でないのは中村編集委員も知っているはずだが…。

続きを見ていく。


【日経の記事】

新型コロナでこれが加速。内食から中食、外食に向かっていた流れが逆流している。国内人口の伸び率が鈍化してきた1980年代後半から食品市場では「ストマックウオー」(胃袋争奪戦)という言葉が生まれていた。今や新型の胃袋争奪戦が勃発したのだ。

仮に外食市場が15%縮むとざっと4兆円が流出する計算になる。ロイヤルホールディングスの菊地唯夫会長は「消費者は好きなときに、好きな場所で好きなモノを食べることができる。食ビジネスはデジタル化で時間と場所から解放された」と指摘する。


◎「新型」と言える?

人口が増えない中で限られた「胃袋」需要を奪い合う状況を「『ストマックウオー』(胃袋争奪戦)」と呼ぶならば、ここに来ての質的変化はない。「新型コロナ」の影響で「内食から中食、外食に向かっていた流れが逆流している」としても戦況が変わっているだけだ。そこは中村編集委員も気付いているのか「デジタル化」を持ち出している。

消費者は好きなときに、好きな場所で好きなモノを食べることができる。食ビジネスはデジタル化で時間と場所から解放された」という「ロイヤルホールディングスの菊地唯夫会長」の見立てが的を射ているのならば「新型の胃袋争奪戦が勃発した」と見ていいかもしれない。しかし、「菊地唯夫会長」の認識は的外れと言うほかない。

食ビジネスはデジタル化で時間と場所から解放された」のならば、日本の外食店は「デジタル化」によって世界各地に24時間の出前が可能になっているはずだ。そもそも「ロイヤルホールディングス」の系列店舗で出している料理は客が「好きなときに、好きな場所で」食べられるようになっているのか。中村編集委員も少し考えれば分かるはずだ。

なのに「業界の垣根を壊し、時間と場所からも解放された新型の胃袋争奪戦はゼロベースでの戦略見直しを突きつけている」と記事を締めてしまう。ネタに困って無理に話を捻り出したのだとは思うが、説得力がなさすぎる。


※今回取り上げた記事「経営の視点~新型・胃袋争奪戦が勃発 業態・場所超え顧客に接近

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201026&ng=DGKKZO65376050T21C20A0TJC000


※記事の評価はD(問題あり)。中村直文編集委員への評価はDを維持する。中村編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。


無理を重ねすぎ? 日経 中村直文編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2015/11/blog-post_93.html

「七顧の礼」と言える? 日経 中村直文編集委員に感じる不安
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_30.html

スタートトゥデイの分析が雑な日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_26.html

「吉野家カフェ」の分析が甘い日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」が苦しすぎる
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_3.html

「真央ちゃん企業」の括りが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_33.html

キリンの「破壊」が見えない日経 中村直文編集委員「経営の視点」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/blog-post_31.html

分析力の低さ感じる日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/blog-post_18.html

「逃げ」が残念な日経 中村直文編集委員「コンビニ、脱24時間の幸運」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/24.html

「ヒットのクスリ」単純ミスへの対応を日経 中村直文編集委員に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員は「絶対破れない靴下」があると信じた?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_18.html

「絶対破れない靴下」と誤解した日経 中村直文編集委員を使うなら…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_21.html

「KPI」は説明不要?日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」の問題点
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/kpi.html

日経 中村直文編集委員「50代のアイコン」の説明が違うような…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/50.html

「セブンの鈴木名誉顧問」への肩入れが残念な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/07/blog-post_15.html

「江別の蔦屋書店」ヨイショが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_2.html

渋野選手は全英女子まで「無名」? 日経 中村直文編集委員に異議あり
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_23.html

早くも「東京大氾濫」を持ち出す日経「春秋」の東京目線
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_29.html

日経 中村直文編集委員「業界なんていらない」ならば新聞業界は?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/blog-post_5.html

「高島屋は地方店を閉める」と誤解した日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post_23.html

野球の例えが上手くない日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/blog-post_15.html

「コンビニ 飽和にあらず」に説得力欠く日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html

平成は「三十数年」続いた? 日経 中村直文編集委員「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/deep-insight.html

拙さ目立つ日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ~アネロ、原宿進出のなぜ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/blog-post_28.html

「コロナ不況」勝ち組は「外資系企業ばかり」と日経 中村直文編集委員は言うが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/06/blog-post.html

データでの裏付けを放棄した日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/07/blog-post_17.html

「バンクシー作品は描いた場所でしか鑑賞できない」と誤解した日経 中村直文編集委員https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/09/blog-post_11.html

2020年10月25日日曜日

データの扱いが恣意的では? 日経「チャートは語る~財政膨張 出口はどこに」

 日本経済新聞朝刊1面に載った「チャートは語る~財政膨張 出口はどこに~世界『増税より成長』に軸足」という記事ではデータの扱いが引っかかった。問題のくだりを見ていこう。

大雨で増水した筑後川(福岡県うきは市)
     ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

財政の健全化には成長力の底上げこそが重要というデータもある。経済協力開発機構(OECD)で加盟から間もないコロンビアを除き、36カ国の00~17年の名目GDP成長率と税収の関係を調べると成長率1ポイントに対する税収の振れ幅を示す「税収弾性値」は平均で1.2だった。GDPが拡大すれば、それ以上に税収が伸びることを示す。

直近5年間も名目成長率の高い国ほど税収は増えた。成長率が計20%超の英国は法人税率を引き下げながら税収が25%増えた。ドイツも成長率(19%)を上回る税収の伸び(24%)があった。成長率が10%だった日本の税収は23%伸びた。高成長なら税収はより増えていた可能性もある。


◎なぜ「実質成長率」で見ない?

直近5年間も名目成長率の高い国ほど税収は増えた」と筆者ら(小滝麻理子記者と真鍋和也記者)は言う。それはそうだろう。「名目成長率」にはインフレも絡んでくる。インフレ率が高い国ほど名目上の「税収」も膨らむのは当然だ。「財政の健全化には成長力の底上げこそが重要」と訴えるならば「実質成長率」と「税収」の関係を見た方がいい。ただ、相関関係はぐっと小さくなりそうだ。それが嫌で「名目成長率」を選んだとしたらご都合主義の誹りを免れない。

記事で言及した3カ国の比較も苦しい。「成長率が計20%超の英国は法人税率を引き下げながら税収が25%増えた。ドイツも成長率(19%)を上回る税収の伸び(24%)があった。成長率が10%だった日本の税収は23%伸びた」という。「名目成長率の高い国ほど税収は増えた」と言えなくはないが「税収」の増加率に大差はない。この3カ国に限れば「名目成長率」と「税収」増加率は無関係と言われた方がしっくり来る。

記事に付けたグラフの注記も引っかかった。「長い目で見れば税制よりも成長率が税収を左右」というタイトルを付けて「名目成長率」と「税収」の関係を示している。そして「OECD加盟国が対象。日本は12~17年、ほか13~18年」となっている。なぜ日本だけ1年ズレているのか。「18年」の「名目成長率」と「税収」増加率が分からないとは考えにくい。「13~18年」で揃えると不都合があるから「12~17年」にしたのではと疑いたくなる。

そう考えると「経済協力開発機構(OECD)で加盟から間もないコロンビアを除き」とした点にも疑いの目を向けたくなる。「加盟から間もない」からと言って除外しなければならない決まりはない。怪しい感じはする。

ついでに言うと「長い目で見れば税制よりも成長率が税収を左右」というタイトルもおかしい。グラフで示しているのは「名目成長率」と「税収」増加率だけだ。「税制」がどう影響しているかは全く示していない。増税に積極的だった国ほど「税収」が伸びており、その相関関係は「名目成長率」を上回るという可能性も残る。


※今回取り上げた記事「チャートは語る財政膨張 出口はどこに~世界『増税より成長』に軸足

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201025&ng=DGKKZO65428990U0A021C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。小滝麻理子記者への評価はDを維持する。真鍋和也記者への評価はDで確定とする。小滝記者については以下の投稿も参照してほしい。

日経 小滝麻理子記者 メイ英首相の紹介記事に問題ありhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2016/07/blog-post_16.html

2020年10月24日土曜日

具体策なしで「消費喚起こそ改革の本丸」と言われても…日経「大機小機」

 24日の日本経済新聞朝刊マーケット総合2面に載った「大機小機~消費喚起こそ改革の本丸に」という記事で「魔笛」氏が展開した主張は納得できなかった。記事の後半を見ていこう。

柳川市図書館※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

振り返れば、小泉純一郎内閣では生産効率化を推し進め、完全失業率は5%を超えた。他方、安倍晋三内閣では女性活躍や若者雇用拡大をうたい、雇用は改善したが、労働生産性の低い非正規雇用が大幅に拡大した。いずれにしても需要は増えず、消費も国内総生産も低迷したままだ。

すなわち選択肢は2つしかなく、いずれも経済拡大効果はない。一部の効率的な企業や人材が限られた需要を独占し残りは失業するか、非効率な生産を続けて需要を皆で分け合うかだ。前者は所得格差と社会の分断を、後者は低労働生産性と低賃金を生む。


◎「残り」が9割以上?

上記のくだりでは「小泉純一郎内閣」型か「安倍晋三内閣」型かの二者択一だと訴えている。しかし「小泉純一郎内閣」型の説明がおかしい。小泉政権下で「一部の効率的な企業や人材が限られた需要を独占し残りは失業する」事態になったと「魔笛」氏は認識しているのか。

例えばトヨタ自動車が「一部の効率的な企業」に入るとして、トヨタは当時、自動車市場を「独占」していたのか。そもそも「完全失業率は5%を超えた」というレベルならば「一部の効率的な企業」で働く人の割合が9割を超えていることになる。悪い話ではない。それが現実ならばだが…。

続きを見ていこう。


【日経の記事】

菅内閣は前者を選択するようだが、それでは地方を中心に失業率が上がり、格差が拡大して消費を抑えてしまう。経済拡大には生産面の改革ではなく、消費喚起を目指すしかない

金融緩和や大幅な赤字財政でお金を増やしても消費が増えないことは、アベノミクスで実証済みだ。今回の需要面の改革は携帯料金引き下げだが、すでに十分普及した携帯の需要増は期待できず、赤字財政でお金を渡すことと同じだ。地道に新需要を掘り起こすしかない


◎選択肢は3つある?

選択肢は2つしかなく」と言っていたが、なぜか「消費喚起を目指すしかない」と第3の道を打ち出してしまう。そこは良しとするとしても肝心なのは具体策だ。ところが「地道に新需要を掘り起こすしかない」と述べているだけ。「魔笛」氏に策はない。ならば「選択肢は2つ」でいいのではないか。

激しい副作用を受け入れて投薬による治療を続けるか、緩和ケア以外の措置を止めて完治を諦めるかという「選択」を迫られている患者に対し「副作用のない特効薬を飲めばいいのではないか」と提案しているようなものだ。そんな薬があれば苦労はない。

ついでに「今回の需要面の改革は携帯料金引き下げだが、すでに十分普及した携帯の需要増は期待できず、赤字財政でお金を渡すことと同じだ」との指摘にもツッコミを入れておきたい。「携帯料金引き下げ」は政府の「財政」負担なしに消費者の懐を潤せる。「赤字財政でお金を渡すことと同じ」ではない。また「携帯の需要増は期待でき」ないとしても、他の分野での「需要増は期待でき」る。消費全体を押し上げる力はないだろうが…。


※今回取り上げた記事「大機小機~消費喚起こそ改革の本丸に」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201024&ng=DGKKZO65414850T21C20A0EN2000


※記事の評価はD(問題あり)

2020年10月22日木曜日

問題多いFACTA「『誤魔化しの産物』大阪都構想」に関する問い合わせ

FACTA11月号の「『誤魔化しの産物』大阪都構想」という記事は色々と問題を感じた。変換ミスはいいとしても、説明には矛盾があるし、不自然な日本語の使い方も気になる。記事も全体として説得力に欠けた。

沖端川(柳川市)※写真と本文は無関係
FACTAには以下の内容で問い合わせを送っている。


【FACTAへの問い合わせ】

FACTA編集人兼発行人 宮嶋巌様

11月号の「『誤魔化しの産物』大阪都構想」という記事についてお尋ねします。質問は3つです。

まず「市民が『料金が安い』と誇る水道事業も、かつて府との事業統合が検討された際、『市民に利点がない』として破断になった経緯がある」との記述についてです。文脈から考えて「破断」は「破談」の誤りではありませんか。

次は以下のくだりです。

『大阪維新の会』が市民に配った冊子によると、『四つの特別区になっても今までの市役所はなくなりません』『新しくなることも変わらないこともある』と改革を主張しながら今までと何も変わらないことをメリットとして伝えているが、これでは虻蜂取らずだ

冊子」で「新しくなることも変わらないこともある」と記しているのならば「今までと何も変わらないことをメリットとして伝えている」とは言えません。「新しくなること」が「ある」のに「今までと何も変わらない」のですか。矛盾しています。「今までと何も変わらないことをメリットとして伝えている」との説明は誤りではありませんか(「冊子」に関する説明を間違えている可能性もあります)。

最後は結びの部分についてです。そこでは以下のように記しています。

松井は『賛成しなければ任期終了次第、引退する』といったが、こんな空虚な構想に進退をかける政治家には一刻も早く辞表を出すことを勧めたい

賛成しなければ」とすると、日本語として不自然です。時事通信の記事によれば「政治家なので任期はしっかり務める。勝つために今やっているが、負けたらそこで僕自身の政治家としては終了だ」と松井氏は述べたそうです。これに倣うならば「賛成しなければ」は「負けたら」とすべきです。「賛成しなければ」との表現は不適切ではありませんか。仮に本人が「賛成しなければ」と実際に言ったとしても、そのまま記事に使うのは感心しません。

せっかくの機会なので、記事内容に関する意見も付記しておきます。

私は「大阪都構想」についてもよく知りません。なので中立の立場で記事を読みました。今回の記事では筆者が「大阪都構想」を否定したい気持ちはしっかり伝わってきますが、具体的な材料に乏しく説得力に欠けていました。例えば以下のくだりです。

本誌が入手した市発行の協定書の説明書も『大阪市が直面している現状』にはいかにも問題が多いかのように描き、都構想を『意思決定がスピーディー』『身近なサービスに専念』とバラ色にしていた。だが、『全く逆。大阪市民にとってメリットはない』というのが、この構想を研究し尽くしたある識者の見方だ

都構想」を完全否定していますが、その根拠は「この構想を研究し尽くしたある識者」が「大阪市民にとってメリットはない」と見ているからというだけです。名前も出せない「ある識者」の「見方」だけでは何とも言えません。「全く逆」とする根拠を具体的に説明すべきでしょう。

記事では「橋下、松井、吉村の『都構想夢物語』が本当に実現するかどうかはまもなく決まる」などと書いているだけで、住民投票の結果予測はしていません。「大阪市民にとってメリットはない」のならば否決されそうなものですが、なぜか筆者はそう言い切りません。「メリットはない」のに過半数が賛成票を投じるほど「大阪市民」は愚かだと見ているのでしょうか。

都構想」実現の可能性は十分ありと見た反対派の筆者が焦って強引に「都構想」を否定している--。今回の記事にはそんな印象を受けました。

問い合わせは以上です。3つの質問に関しては回答をお願いします。誤りであれば次号で訂正を掲載してください。御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。読者から購読料を得ているメディアとして責任ある行動を心掛けてください。

御誌は今号で「菅首相『一切説明なき暴走』」という記事を掲載しています。記事中の誤りに関して「説明」責任を果たさず「暴走」しているのは御誌の方です。まず自らの「暴走」を止めてみませんか。「菅首相」の「暴走」を諫めるのは、その後です。


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※今回取り上げた記事「『誤魔化しの産物』大阪都構想

https://facta.co.jp/article/202011017.html


※記事の評価はD(問題あり)