2018年7月1日日曜日

ETF除外は「合理的」? 東洋経済「定年後おカネ大全」

「つみたてNISA」の対象商品にはETFも3本入っている。なのに、これらを最初から除外して「『つみたてNISA』に入れるべき商品」を論じるのは頂けない。しかし、週刊東洋経済7月7日号の第1特集「定年後おカネ大全」では、何の説明もなくETF抜き
宇佐神宮(大分県宇佐市)※写真と本文は無関係です
でお薦めの投信を選んでいる。しかも「つみたてNISA」の対象商品の本数にも誤りがあると思える。東洋経済へは以下の内容で問い合わせを送ってみた。

【東洋経済への問い合わせ】

週刊東洋経済 編集長 西村豪太様   水落隆博様

7月7日号の第1特集「定年後おカネ大全」の中の「PART2 定年後貧乏を回避せよ! NISA、iDeCo活用の鉄則 銘柄、金融機関はこれを選べ」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下の記述です。

つみたてNISAは金融庁肝いりの優遇制度であり、対象商品は条件を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)に限られる。販売手数料が無料で、運用会社や販売会社に毎年支払う信託報酬も一定水準以下、というその条件をクリアした対象商品は、5000本を超える公募投信の中で145本、ETFでは3本しかない

金融庁の6月22日付の資料を見ると、対象商品は「指定インデックス投資信託:131本」「指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等):17本」「上場株式投資信託(ETF):3本」となっています。こちらを信じれば「公募投信の中で148本」となります。「145本」は古い情報ではありませんか。

東証株価指数(TOPIX)など指数に値動きが連動する投信『インデックスファンド』では、金融庁の定めた145本のうち特に信託報酬の安い7本を選んだ」というくだりも「金融庁の定めた148本」とすべきでしょう。

また「金融庁が認めるアクティブ型が16本と極めて少ないのは、資金流入などに関する基準が極めて厳しいからであり、運用成績で厳選した結果ではないためだ」という記述も「アクティブ型が17本」が正しいと思えます。

上記の3カ所は数字に誤りがあると判断してよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして、責任ある行動を心掛けてください。

この記事には他にも気になる点がありました。最も引っかかったのが、ETFを選択肢から外して「『つみたてNISA』に入れるべき商品」を論じていることです。記事では以下のように記しています。

東証株価指数(TOPIX)など指数に値動きが連動する投信『インデックスファンド』では、金融庁の定めた145本のうち特に信託報酬の安い7本を選んだ。投信評価会社モーニングスター社長の朝倉智也氏は『運用利回りは事前に保証されているものではないが、コストに関しては自分でコントロールできる』と説く。運用利回りがどれも指数に近いインデックスファンドでは、資産対象ごとに最もコストの低いファンドを選ぶのが合理的だ。(中略)国内株式では、東京証券取引所1部上場銘柄に幅広く投資するTOPIX連動の『eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)』が王道の選択というが、日経平均株価もそれほど値動きは変わらない。日経平均のほうに親しみがある人は『eMAXIS Slim国内株式(日経平均)』を選ぶのもよいだろう

つみたてNISAの対象となっている3本のETFは日経平均、TOPIX、JPX日経インデックス400に連動するものです。「資産対象ごとに最もコストの低いファンドを選ぶのが合理的」ならば、日経平均やTOPIXに関してはETFも含めて「最もコストの低いファンドを選ぶのが合理的」ではありませんか。「ETFは選ぶべきではない」との考えであれば、その理由を記事中で明示すべきです。

次に問題を感じたのが以下のくだりです。

だがアセット・アドバンテージ代表取締役の山中伸枝氏は『つみたてNISAではアクティブも十分選択に値する』と説く。『アクティブが嫌われる理由であるコストの高さのうち、入り口の販売手数料がゼロになるからだ』。その中でも山中氏が『私が選ぶならこれ一択』と高く評価するのが、『セゾン 資産形成の達人ファンド』である。過去の運用成績、リスク見合いでのリターンを示すシャープレシオといった総合的な実績で判断して一番だという

問題点は2つあります。「入り口の販売手数料がゼロになる」としても信託報酬では「アクティブが嫌われる理由であるコストの高さ」が残ります。信託報酬の差だけならば「アクティブも十分選択に値する」と「山中伸枝氏」は考えているのでしょうが、その根拠を示していません。これは感心しません。

セゾン 資産形成の達人ファンド」に関する「過去の運用成績、リスク見合いでのリターンを示すシャープレシオといった総合的な実績で判断して一番だという」との説明も引っかかります。「過去の実績が優れたファンドを選んで投資しても、市場平均を上回るリターンを得られる確率が高まるわけではない」というのが定説です。そして、投資初心者が誤解しやすい点でもあります。

しかし、記事の書き方では「総合的な実績で判断して一番」という理由で「セゾン 資産形成の達人ファンド」を薦めています。今回の特集では、おカネに関する誤解を解く狙いもあったはずです。しかし、逆に誤解を与える結果になっていませんか。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「PART2 定年後貧乏を回避せよ! NISA、iDeCo活用の鉄則 銘柄、金融機関はこれを選べ
https://dcl.toyokeizai.net/ap/textView/init/toyo/2018070700/DCL0101000201807070020180707TKW012/20180707TKW012/backContentsTop

※記事の評価はD(問題あり)。筆者の水落隆博記者への評価は暫定でDとする。

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