2023年4月11日火曜日

先祖返りしてミス放置に転じた日経ビジネス 磯貝高行編集長の罪

日経ビジネスが先祖返りしてミス放置の姿勢に転じた可能性が高い。東昌樹編集長時代には間違い指摘を受けたらきちんと対応するようになったが、今の磯貝高行編集長にその気はないようだ。3月25日に送った問い合わせと31日に届いた回答から、日経ビジネスの変化が透けて見える。その内容は以下の通り。

岩国城


【日経ビジネスへの問い合わせ】

日経ビジネス 編集部 担当者様

3月27日号について2点お尋ねします。まず八巻高之記者が書いた「米ネットフリックスに独自番組を提供~債務超過のAbemaTV、探る打開策」という記事の以下の記述を見てください。

CAは損失の続くAbemaTVを資金的に支えてきた。決算資料を総合すると、AbemaTVには22年9月末に固定負債が1168億円あり、CAが同額を貸し付けている。テレビ朝日もAbemaTVに約37%を出資するが、資金面でのサポートはCAが中心のようだ。引き受けた巨額の債務は回収可能なのか。CAは21年9月期単体決算でAbemaTVへ900億円の貸倒引当金を計上している。連結決算上は相殺されるものの、CA単体としての特別損失となった

この中で引っかかったのが「引き受けた巨額の債務は回収可能なのか」というくだりです。素直に読めば「CAサイバーエージェント」が「AbemaTV」から「巨額の債務」を「引き受けた」と取れます。しかし、その前には「1168億円」を「CAが貸し付けている」との説明しかありません。「CAからAbemaTVへの債務引き受け(債務譲渡)があった」とは書いていないのに「引き受けた巨額の債務は回収可能なのか」と唐突に出てきます。

記事中で説明がなかっただけで、実際に債務引き受けはあったとしましょう。この場合、その後の「回収可能なのか」と整合しません。債権は「回収」できますが債務の「回収」は意味不明です。「引き受けた巨額の債務は回収可能なのか」という記述は誤りではありませんか。「巨額の貸付金(債権)は回収可能なのか」などとすべきだった気がします。

次に在独ジャーナリストの熊谷徹氏が書いた「世界展望~ロシアのウクライナ侵攻でポーランドが欧州安全保障の中心に」という記事を取り上げます。ここで問題としたいのは「ポーランドは、ウクライナがロシアに占領されれば、ロシアの勢力圏と国境を接することになる」との記述です。

この説明だと「現状ではポーランドはロシアの勢力圏と国境を接していない」と取れます。しかし「ロシアの勢力圏」どころかロシアそのものと国境を接しているはずです。カリーニングラード州というロシアの飛び地があります。その国境線を確認してみてください。「ポーランドは、ウクライナがロシアに占領されれば、ロシアの勢力圏と国境を接することになる」という説明は不正確ではありませんか。筆者の熊谷氏が飛び地の存在を失念していたのだと推測していますが、いかがでしょうか。

質問は以上です。お忙しいところ恐縮ですが回答をお願いします。


【日経BPからの回答】

この度は貴重なご意見、ご指摘をいただき、ありがとうございました。いただきましたご意見は、日経ビジネス編集部へ確かに申し伝えました。編集部で対応を検討させていただきます。今後とも弊社刊行物を何卒よろしくお願い申し上げます。


◇   ◇   ◇


読者対応をしている部署から編集部に問い合わせを伝えてはいるのだろう。回答が返ってこないので編集部に確認したら、まともに回答する意思がないことが分かったので、読者対応の担当者としては上記のような返信をこちらにしたのだと思える。

編集部で対応を検討させていただきます」と書いてあるので念のために10日ほど待ってみたが、その後の進展はない。日経ビジネス編集部はミス黙殺の方針に転じたと見るほかない。

最近の日経ビジネスには活気がない。読みたいと思える記事が少ない。さらに、読者から間違い指摘があっても実質的なゼロ回答で済ます。それでも磯貝高行編集長は自信を持って日経ビジネスを世に送り出せるのか。改めて考えてほしい。


※今回取り上げた記事「米ネットフリックスに独自番組を提供~債務超過のAbemaTV、探る打開策

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/01731/


※記事の評価はD(問題あり)。八巻高之記者への評価もDとする。磯貝高行編集長への評価はEとする。磯貝編集長に関しては以下の投稿も参照してほしい。


インタビュー記事に粗さ目立つ日経ビジネスの磯貝高行編集長https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/05/blog-post_6.html

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