2019年4月12日金曜日

「ミス放置」方針を転換した週刊ダイヤモンドの「革命」

まだ断定はできないが、週刊ダイヤモンドに革命が起きたのかもしれない。記事中に「革命」の文字を見つけたら要注意と訴えてきた身として、この言葉を安易には使えない。だが変化が本物ならば「革命」と呼んでもいいだろう。
ビューホテル平成(福岡県朝倉市)
      ※写真と本文は無関係です

記事への問い合わせにダイヤモンドの編集部から約4年ぶりに回答があった(この間にダイヤモンドオンライン編集部からは1度だけ回答を得ている)。記事中の説明の誤りを認め、訂正の掲載を知らせるものだ。

最初の問い合わせは無視されていた。編集長が4月から山口圭介氏に代わったのを受けて改めて回答を求めた結果だ。編集長交代が無関係とは考えにくい。

回答の内容は以下の通り。

【ダイヤモンドの回答】

平素より弊誌をご購読をいただき、誠にありがとうございます。

3月30日号にてご指摘いただきました件ですが、ご指摘どおり3点とも誤った記述でございました。原因は編集作業における単純な確認ミスでした。

訂正につきましては、4月20日号にて掲載いたします。

以後、こういった誤りがないように注意徹底して参ります。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◇   ◇   ◇

編集長へのメッセージと問い合わせの内容も改めて掲載しておく。

【編集長へのメッセージ】

週刊ダイヤモンド編集部 編集長 山口圭介様

御誌を定期購読している鹿毛と申します。編集長就任おめでとうございます。4月13日号では「公正中立な視点で不確実な激変期の経済を報じつつ、自らの改革の正解も探していきたいと思いますと力強く抱負を述べていましたね。山口様ならば「改革を実行できると信じて、メッセージを送らせていただきます。

ご存じだと思いますが、御誌では田中博氏、深澤献氏と2代に亘り、読者からの間違い指摘を無視して記事中の誤りを握り潰すという対応を続けてきました。メディアとして「正解でないのは言うまでもありません。

例えば3月30日号の特集「株・為替の新格言」では「金利が低下すれば債券価格は下がる」「株をロング(売り持ち)」「債券をショート(買い持ち)」といった初歩的なミスを連発しています。しかし、問い合わせに回答はなく訂正も出ていません。

私の指摘が正しいとの前提に立てば、御誌は商品の欠陥を放置しています。4月13日号の特集「数式なしで学べる!統計学『超』入門には統計不正に関する以下の記述があります。

統計の専門家は『あり得ないミス』だと口をそろえている。ミスだと分かっていながら長年放置したことも問題だね。気付いた時点ですぐに正すべきだった

明らかな誤りでも当たり前のように「放置」してきた御誌が「ミスだと分かっていながら長年放置したことも問題だね。気付いた時点ですぐに正すべきだったと訴えているのは悪い冗談です。「だったら自分たちはどうなの?」との問いに、御誌は答えられないはずです。

ならばどうすべきでしょうか。「改革の正解」は明らかです。きちんと問い合わせに答え、誤りであれば訂正を出すように変えるのです。まず特集「株・為替の新格言」への間違い指摘に回答してみませんか。

「きちんと回答すれば、自分を編集長に引き上げてくれた前任者の手法を否定してしまう。恩義ある人にそんなことはできない」といった事情があるかもしれません。しかし山口様は「自らの改革の正解も探していきたい」と宣言したのです。やるしかありません。

記事中の誤りを握り潰す御誌の悪しき伝統は、少なくとも4年は続いています。しっかり編集部内に根付いているのです。雑誌編集者を志した段階では「記事中の誤りを放置するのが正しい」とは誰も思わないでしょう。しかし、編集長まで務めた田中氏や深澤氏も結局はダークサイドに堕ちました。誰かが変えなければなりません。「改革の意思を明確にした山口様の使命でしょう。

先ず隗より始めよ

新たな体制の下で「改革を引っ張る山口様にこの言葉を贈ります。絶対にやるべき正しい「改革」が目の前にあります。そこを避けて通る者が「正解に辿り着けるでしょうか。今こそ悪しき伝統を断ち切る時です。


【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部 編集長 深澤献様 藤田章夫様 竹田幸平様 竹田孝洋様 中村正毅様

3月30日号の特集「株・為替の新格言」の「Part 1~電脳相場か官製相場か 今、相場を動かすのはいったい誰なのか」に出てくる「短期の大幅な振れは無視せよ~アルゴリズム取引の正体」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。
浦山公園の桜(福岡県久留米市)
      ※写真と本文は無関係です

株と債券は、『逆相関』の関係にあるというのが定説だ。金利が低下すれば株価が上がり、片や債券価格は下がるといった具合だ。こうした局面にあるとみれば、株をロング(売り持ち)し、債券をショート(買い持ち)して運用する

この短い説明の中に3つの間違いがあると思えます。

(1)「金利が低下すれば債券価格は下がる」?

日本証券業協会のホームページでは「債券には、金利が上昇すると価格は下がり、金利が低下すると価格は上がる特徴があります」と説明しています。改めて言うまでもない常識です。しかし今回の記事では「金利が低下すれば債券価格は下がる」と断言しています。

(2)「ロング=売り持ち」?

三菱UFJ信託銀行の用語集によると「ロングポジション」とは「金融資産を『買った状態で保有する(買い持ち)』です」。しかし記事では「株をロング(売り持ち)」と書いています。

(3)「ショート=買い持ち」?

三菱UFJ信託銀行の用語集によると「金融資産を『売った状態で保有する(売り持ち)』のがショートポジション」です。しかし記事では「債券をショート(買い持ち)して」と書いています。

以上の3点は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。問題のくだりを読むと「筆者は市場に関する理解を決定的に欠いたまま記事を書いているのではないか」との疑念が拭えません。読者から購読料を得ているメディアとして、逃げずに説明責任を果たしてください。間違いであれば、当然に次号での訂正も必要となります。

御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。そうやって逃げ回ってきたことが、今回のような記事を生んだのではありませんか。改めて猛省を求めます。

◇   ◇   ◇

今回の対応を受けて、山口圭介編集長への評価をF(根本的な欠陥あり)からC(平均的)に引き上げる。それにしても、田中博氏、深澤献氏という過去2代の編集長の罪は重い。両氏への評価はFで固定するしかない。


※今回の件に関しては以下の投稿も参照してほしい。

ミス放置「改革」できる? 週刊ダイヤモンド山口圭介編集長に贈る言葉
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_95.html

ミス3連発が怖い週刊ダイヤモンドの特集「株・為替の新格言」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/blog-post_28.html

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