2017年7月24日月曜日

「ロボにも法的責任」が感じられない日経「AIと世界」

24日の日本経済新聞朝刊1面に載った「AIと世界~見えてきた現実(1)ロボにも法的責任 倫理観 育めるか」という記事は理解に苦しむ内容だった。「ロボにも法的責任」に関する記述が分かりにくい。「見えてきた現実」というタイトルに反して、なかなか「現実」が見えてこなかった。記事を読む限りは、法的責任を負うのは「ロボではなくやはり人間」のように見える。
豪雨被害を受けたJR日田彦山線の筑前岩屋駅
(福岡県東峰村)※写真と本文は無関係です

問題のくだりでは以下のように説明している。

【日経の記事】

人類の生命観をも揺さぶり始めたAIをどう社会に受け入れるべきか。制度や法律の面でも議論が始まっている。

「AIにも人類と同じような責任を負わせるべきだ」。2月16日、欧州議会でそうした決議案が成立した。ロボットや自動運転車に法的な「電子人間(electronic person)」の地位を与え、損害を起こした場合などの責任を明確にするという考え方だ。

欧州ではロボットの所有者に「ロボット税」を課したり、緊急時にはロボットの機能を停止させるスイッチを備えさせたりするなどの具体案も議論されている

提唱者の一人がルクセンブルク出身のマディ・デルボー議員だ。採決前の討論会で、デルボー議員は「自律性を高めるAIとどう向き合うのか。科学者やエンジニアだけに任せられるテーマではない」と訴えた。


◎結局、これまでと何が違う?

まず「電子人間」の話が理解できなかった。「AIにも人類と同じような責任を負わせるべきだ」と言うのだから、例えば自動運転車で事故を起こした場合、責任はAIにあり所有者、自動車メーカー、運転ソフト開発者などは免責になるという話なのかと感じた。
豪雨被害を受けた国道386号線(福岡県朝倉市)
         ※写真と本文は無関係です

ただ、それで納得する人はまれだろう。自分の子供が自動運転車の暴走によって死亡した場合、自動運転車に対して「解体」という“死刑判決”が出たとしても、遺族の処罰感情が満たされるとは思えない。

そんなことを考えながら読み進めると、話は意外な方向へ逸れていく。「欧州ではロボットの所有者に『ロボット税』を課したり、緊急時にはロボットの機能を停止させるスイッチを備えさせたりするなどの具体案も議論されている

これだと「電子人間」の地位を与えるかどうかとは、ほとんど関係がない。現状でも日本では自動車の所有者に自動車重量税を課しているが、だからと言って自動車に「人間」と同じような地位を与えているわけではない。

緊急時にはロボットの機能を停止させるスイッチを備えさせたりする」という話も同様だ。多くの電車には既に非常停止ボタンが付いている。こうした機能を付けるかどうかは、「AIにも人類と同じような責任を負わせる」かどうかとは別で、ただの安全対策だ。

AIにも人類と同じような責任を負わせるべき」かどうかを論じるのかと思わせて、なぜか課税や安全対策の話になってしまう。これでは辛い。欧州議会で採択された「決議案」が本当に「AIにも人類と同じような責任を負わせるべきだ」という考えに基づくものなのかも怪しい気がする。


※今回取り上げた記事「AIと世界~見えてきた現実(1)ロボにも法的責任 倫理観 育めるか
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170724&ng=DGKKASDZ11HFW_R10C17A7MM8000

※記事の評価はD(問題あり)。

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