2022年4月8日金曜日

日韓の少子化の原因を「性別役割分担意識」に求める日経 石塚由紀夫編集委員の思い込み

欧米(特に欧州)を見習い進歩的な方向に変化すれば少子化問題は解決できる。そう思い込んでいる人は多い。日本経済新聞の石塚由紀夫編集委員もその1人だ。7日の夕刊くらしナビ面に載った「日本と韓国 少子化の共通点は~結婚・出産ためらう性別役割」という記事で強引な主張を展開している。一部を見ていこう。

大バエ灯台

【日経の記事】

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で出生数は世界的に落ち込んでいる。ただ、日韓が共に少子化に沈む理由はほかにもあり、それが社会に根強い性別役割分担意識だ

日本経済新聞は16年に韓国の中央日報と少子化に関する共同意識調査を実施した(20~40代の男女、両国で各約1000人が回答)。「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考え方に両国とも約4割が賛成した。「女性は仕事より子育てを優先すべきだ」とする人も、日本で38%、韓国で40%に上った。

韓国では「男性が家計の主たる稼ぎ手であるべきだ」という価値観が男性も苦しめている。韓国では結婚前に男性側が住まいを用意するという慣習がある。ただ、ソウル市を中心に都市部で住宅価格が急騰し、若い男性の収入では満足な住まいを準備できない。それが男性に結婚をためらわせる一因になっている。

家事・育児などの無償労働に1日当たり、どれだけ時間を割いているか。OECD調査(20年)では日本は男性41分に対して女性224分、韓国は男性49分、女性215分だ。女性は男性と比較して日本は5.5倍、韓国は4.4倍も家事・育児等に時間を費やしている。OECD平均1.9倍を大きく上回り、男女の不均衡はOECD加盟国の中でも突出している。

経済発展に伴い共働きが広がるのは自然の流れだ。欧米など性別役割分担意識が強くない国は、職場でも家庭でも男女それぞれが応分の役割を果たすようになり、スムーズに共働き社会に移行した

日韓の事情に詳しい横浜国立大学の相馬直子教授は「性別役割分担が残る社会では共働きとの齟齬(そご)が生じて、女性は合理的な選択として子どもを産まなくなるといわれている。まさに日韓はその状況に陥っている」と説明する。


◎辻褄合う?

欧米など性別役割分担意識が強くない国は、職場でも家庭でも男女それぞれが応分の役割を果たすようになり、スムーズに共働き社会に移行した」と石塚編集委員は言う。結果として「欧米」の出生率が高いのならば「(日韓)両国に共通する構造的な問題は、性別役割分担意識の強さが女性に結婚・出産をためらわせる元凶になっていることだ」と断定するのも分かる。しかし、そうはなっていない。

記事には「OECD加盟国の出生率上位と下位」というタイトルのグラフが付いている。上位でも人口置換水準(2.1前後)を上回るのはイスラエルとメキシコだけで、欧州各国も米国も及ばない。そして、下位を見ると日本と韓国の間にギリシャ、イタリア、スペインが入っている。

つまり「性別役割分担意識が強くない国」の出生率も決して高くない。その好例がフィンランドだ。昨年8月13日の日経に載った「[FT]『日本化』する世界人口~若者の悲観生む懸念」という記事を石塚編集委員にはぜひ読んでほしい。そこには以下のような説明がある。


【日経の記事(FTの翻訳)】

いずれにせよ、我々が先進国の出生率を人口置換水準にまで回復させたいと考えても、それは無理かもしれない。 フィンランドは仕事と育児を両立できるよう様々な政策を実施しているが、出生率はいまだに置換水準の2.1をはるかに下回ったままだ。フィンランドの人口研究所のアンナ・ロトキルヒ研究教授はこう話す。

「16歳未満の子どもを持つ親たちがどのように仕事と家庭を両立させているかを調査したところ、最大の問題はどうしたら興味深い調査報告を書けるかだった。というのも、誰もが現状に非常に満足していたからだ」

そしてこう続けた。「これまで、真の男女平等を実現できれば出生率は上がるという期待があった。ところが、両親が共に働き、キャリアを追求しつつ家庭を築けるようになっても、平均出生率は1.5程度にしかならなそうなことが判明した。ただ、人々がそれで満足しているのであれば、この出生率の低さは果たして問題視すべきなのか、ということだ」


◇   ◇   ◇


フィンランドでは「両親が共に働き、キャリアを追求しつつ家庭を築けるようになっても、平均出生率は1.5程度にしかならなそうなことが判明した」そうだ。なのに日本や韓国がフィンランドを見習うと「出生率は上がる」のだろうか。

韓国はともかく日本の出生率はフィンランドと大差ない。イスラエルを例外として、先進国は少子化という点ではドングリの背比べだ。欧米を見習っても基本的に意味はない。

進歩的な方向に社会を向けたいと考えるのは悪くない。しかし、そのエサとして少子化問題を持ち出すのはやめた方がいい。石塚編集委員もそのことに早く気付いてほしい。


※今回取り上げた記事「日本と韓国 少子化の共通点は~結婚・出産ためらう性別役割」 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220407&ng=DGKKZO59775710X00C22A4KNTP00


※記事の評価はD(問題あり)。石塚由紀夫編集委員への評価もDを維持する。石塚編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。


「女性活躍後進国」と日経 石塚由紀夫編集委員は言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/12/blog-post_2.html

「フリーアドレス制でダイバーシティー効果」が怪しい日経の記事https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/03/blog-post_88.html

「地方から都市部に若い女性が流出」に無理がある日経 石塚由紀夫編集委員の記事https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/12/blog-post_9.html

2022年4月6日水曜日

台湾有事の肝に触れた点は評価できる日経「安保法体系の死角(上)」

6日の日本経済新聞朝刊 政治・外交面に載った「安保法体系の死角(上)『有事』どう迅速に認定~日本、明確な判断基準が不可欠 自衛隊を活動しやすく」という記事は悪くない。肝心な問題を論じることから逃げている秋田浩之氏(肩書は本社コメンテーター)らは見習ってほしい。

耳納連山に沈む夕陽

日本にとって台湾有事の際の肝に触れた部分を見ていこう。「自衛隊の元幹部らが集まり、21年夏にシミュレーション演習を実施した」時の状況について以下のように書いている。

【日経の記事】

演習では、さらに中国が台湾限定で攻撃を始め「米国に協力すれば日本を攻撃対象とする」と脅しをかけてくる想定も加えた。ここでも事態認定はできなかった。

中国が台湾と同時に日本の領土である尖閣諸島や南西諸島にも攻撃を加えれば、明確な「武力攻撃事態」と認定できる。そうでないケースは判断が難しい。明確な判断基準が不可欠となる。

政府が事態認定しなければ、南西防衛にあたる自衛隊は米軍と共同で防衛準備にあたることもできない。100キロほどしか離れていないところで戦闘行為があるにもかかわらず、自衛隊は平時の活動しかできない。

元内閣官房副長官補の兼原信克氏は南西諸島近辺で戦う米軍から軍事協力を要請されても日本が動かなければ「日米同盟の関係性は危機的状況に陥る」と解説する。

日本や米国は台湾を国として承認していない。米国が軍事介入せず、武器の供与などにとどまった場合も悩ましい。「存立危機事態」の認定条件にある「密接な関係にある国に対する武力攻撃」という基準を満たすか微妙になる

岩田氏(※注:元陸上幕僚長の岩田清文氏)は「新しい内閣ができるたびに台湾有事を想定したシミュレーションをする仕組みを設けるべきだ」と提言する。


◎逃げずに考えよう!

中国が台湾と同時に日本の領土である尖閣諸島や南西諸島にも攻撃を加えれば、明確な『武力攻撃事態』と認定できる。そうでないケースは判断が難しい」との指摘はその通りだ。

「台湾有事は日本有事だ」などと訴える人の多くは、この問題をすり抜けるために日本も同時に攻撃される前提を置いてしまう。しかし、考えなければいけないのは「判断が難しい」ケースの方だ。そこに言及した点は評価できる。

ただ「米国が軍事介入せず、武器の供与などにとどまった場合も悩ましい。『存立危機事態』の認定条件にある『密接な関係にある国に対する武力攻撃』という基準を満たすか微妙になる」との説明は苦しい。普通に考えれば「密接な関係にある国に対する武力攻撃」には当たらない。

米国」への攻撃に向けてA国がB国に「武器の供与」を進めているというなら話はまだ分かる。逆に「米国」が「武器の供与」を進めていて「武力攻撃」は受けていない。その段階でどう解釈すれば「密接な関係にある国(=米国)に対する武力攻撃」と見なせるのか。

台湾有事で最も考えてほしいのが「中国が台湾限定で攻撃を始め『米国に協力すれば日本を攻撃対象とする』と脅しをかけてくる想定」だ。日米同盟の強化を念仏のように唱えて属国路線を支持してきた日経には非常に難しい局面と言える。なので秋田氏らも判断から逃げているのだろう。

南西諸島近辺で戦う米軍から軍事協力を要請されても日本が動かなければ『日米同盟の関係性は危機的状況に陥る』」だろう。属国路線を突き進めば米国に協力する形で対中戦争に踏み切ることになる。日本防衛のためではない。「日米同盟」を守るためだ。

平和を守りたいなら「日米同盟」の強化が必要と日経は訴えてきた。しかし上記の想定では「日米同盟」の存在ゆえに望まない戦争に巻き込まれる。しかも中国の内戦に軍事介入する形となる。結果として多くの自衛隊員が命を落とすだろう。

それだけで済むとは限らない。在日米軍基地や自衛隊基地が攻撃対象になれば、周辺の民間人にも被害が及ぶ可能性が高い。戦争に負ければ、一部の領土を奪われたり全土を占領されたりといった事態もあり得る。

それでも「日米同盟」を守るために中国の内戦に軍事介入すべきなのか。そう問われると「日米同盟」の強化を念仏のように唱えていた日経の書き手もひるむはずだ。

結果として「起きては困ることは考えない」という思考停止状態に陥ってしまう。今回の記事を読む限り、日経にも思考停止をせずこの問題と向き合っている書き手がいるのは分かる。そこに期待したい。


※今回取り上げた記事「安保法体系の死角(上)『有事』どう迅速に認定~日本、明確な判断基準が不可欠 自衛隊を活動しやすく

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220406&ng=DGKKZO59738190V00C22A4PD0000


※記事の評価はC(平均的)

2022年4月5日火曜日

ワクチン推しゆえの強引さ感じる日経「子供の感染高止まり」

どうしても子供にワクチンを打たせたいということか。5日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「子供の感染高止まり コロナ10代以下36%~新学期、接種に遅れ」という記事は強引さが目立った。まず引っかかったのがグラフの作り方だ。

有明海

子どもの感染者は増加傾向にある」(見出しの「高止まり」と整合しないが、ここでは論じない)という説明文を付けて「全国の1週間ことの新規感染者数」と「10代以下の割合」を見せている。「子供の感染高止まり」と訴えたいのならば「10代以下」の「新規感染者数」の推移を見せれば済む。なぜそこから逃げたのか。

10代以下」の「新規感染者数」も2月のピークに比べれば減っているからだろう。だとすれば「子供の感染が減らないということを無理してでも訴えたい」との意図を感じずにはいられない。

記事の中身も見ていきたい。


【日経の記事】

新型コロナウイルスの新規感染者数の減り方が鈍る中、子どもの陽性者数が高止まりしている。足元では10代以下が感染者全体の3分の1超を占めており、新学期が始まれば学校や家庭で感染が拡大する恐れがある。5~11歳のワクチン接種が進んでいないこともあり、専門家は対策の強化が必要だと指摘する。

厚生労働省によると、3月23~29日に感染が判明した約28万3千人のうち、10歳未満は5万1740人で前週から5800人以上増えた。全体に占める割合は年代別で最多の18%で、10代と合わせると36%に上る。


◎なぜ子供全体の増減は見せない?

10歳未満は5万1740人で前週から5800人以上増えた」とは書いているが「10代」の増減には触れていない。合計するだけでいいのに、なぜ避けるのか。「子どもの陽性者数が高止まりしている」と訴えたいのではないのか。

さらに見ていく。


【日経の記事】

10代以下の割合は、2021年春の第4波では12~14%、同年夏から秋の第5波では17~24%だった。変異型「オミクロン型」が猛威を振るう第6波では子どもの感染者の急増ぶりが際立つ。

要因の一つはワクチン接種の伸び悩みだ。全国で741万人程度いる5~11歳の接種対象者のうち、3月末時点で1回目接種を終えたのは6%の46万人超にとどまる。


◎理屈が成り立つ?

第4波」や「第5波」に比べて「第6波では子どもの感染者の急増」が見られたのは確かだろう。しかし「要因の一つはワクチン接種の伸び悩み」と見るのはいくら何でも無理がある。

第4波」や「第5波」では「5~11歳」の接種率は0%だ。それが「3月末時点で1回目接種を終えたのは6%」となっている。低水準とはいえ増えている。「ワクチン」に感染予防効果があるのならば「感染者」は「第4波」や「第5波」より少なくなっていい。

それ以外の要因もあるので、因果関係を断定はできないが「ワクチン接種の伸び悩み」が「子どもの感染者の急増」を招いたと見るべき理由はない。「ワクチン」が「子どもの感染者の急増」を招いていると見るストーリーの方がまだ自然だ。

そんなことはお構いなしに話は「子どもへの接種を進めよう」という流れになっていく。


【日経の記事】

厚労省は11歳までが接種できる米ファイザー製ワクチン約290万回分を3月までに配送し、4月中旬までに450万回分を追加供給する予定だが、首都圏の自治体担当者は「配分数の調整などに時間がかかり、計画通りに供給されていない市町村もある」と明かす。

日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会は5~11歳への接種について「12歳以上の子ども同様に意義がある」としているが、副作用への不安などから接種をためらう保護者も少なくない。

新学期に入ると学校生活を通じて感染が広がる恐れがあり、自治体は対策を急ぐ。東京都は3月下旬から子ども向け「ワクチンバス」の運行を始めた。接種対象者がいる地域に派遣して接種を行っている。

文部科学省は4日、全国の小中高校で新学期が本格的に始まる6日を前に、希望する児童生徒らが接種できる体制の整備などを自治体に求める通知を出した。

国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「新学期に向けて幼稚園や保育園、学校は感染拡大への警戒を一段引き上げる必要がある。4月は歓迎会など大人数での飲食を伴う行事も増えるが、親世代はコロナを家庭に持ち込まないよう注意してほしい」と指摘している


◎子ども本位で考えよう!

ここでは「国際医療福祉大の松本哲哉教授」のコメントに注目したい。記者は「子供へのワクチン接種を急ぐべき」といった発言を求めて取材した可能性が高い。しかしワクチン推しのイメージがある「松本哲哉教授」でさえ子供へのワクチン接種を推奨するコメントはしなかったのだろう。

当然ではある。元々、子供は重症化リスクがゼロに近い。そしてオミクロン株では全世代で重症化率が低下している。新型コロナウイルスワクチンは副反応がかなりあるので、重症化率の低い若い世代が打つメリットはほとんどない。それを一般の人々も認識してきている。

なのに日経はいまだにワクチン推しを続けている。大人はいい。健康を害しても自己責任で片付けられる。子供はそうはいかない。12歳未満はなおさらだ。

子供へのワクチン接種反対派に回れとは言わない。ワクチン推しだけでもやめてみてはどうか。それが子ども全体のためにもなるのは、ほぼ確実だ。日経も子ども本位で考えよう!


※今回取り上げた記事「子供の感染高止まり コロナ10代以下36%~新学期、接種に遅れ」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220405&ng=DGKKZO59705260V00C22A4EA1000


※記事の評価はE(大いに問題あり)

2022年4月4日月曜日

大林尚編集委員の「人口戦略」が見えない日経「核心~今年は島根県を失うのか」

人々の自由な選択の結果としての「人口減少」は放置でいい。個人的にはそう考えているが、日本経済新聞の大林尚編集委員は逆の立場のようだ。4日の朝刊オピニオン1面に載った「核心~今年は島根県を失うのか」という記事を見ながら、大林編集委員の主張にツッコミを入れていきたい。

クレーン車置き場

【日経の記事】

人口減少は成長を阻み、税収を衰えさせる。ぴかぴかの道路を維持しても走る車の数は先細りだ。過疎地では、すでにそれが現実になった。

2021年の人口動態統計速報によると、外国人を含む出生数は戦後最少の約84万2900人だった。死亡数は最多の145万2300人。1年間の減少数はおよそ61万人だ。これは、鳥取県の人口55万人をゆうに上回る。たとえれば今年は島根県(67万人)や高知県(69万人)が消失してしまうかもしれない。

日本中がコロナ禍という眼前の有事に目を奪われている間に、人口減少は勢いを増した。コロナが出生減に輪をかけた面もある。この静かなる有事への覚悟と備えを新たにするときだ。

国を挙げて出生数を反転増加に導く長期計画を定め、粘り強く対策を繰り出す必要がある。もとより出産適齢の女性が急減しており、道は平たんではない。だが出生動向基本調査(15年)は、夫婦の平均的な理想子供数と予定子供数がともに2人を上回っていることを示している。対策が的を射れば反転の可能性は残されているとみてよかろう。


◎成長が目的で人口増加が手段?

人口減少は成長を阻み、税収を衰えさせる」「国を挙げて出生数を反転増加に導く長期計画を定め、粘り強く対策を繰り出す必要がある」と大林編集委員は訴える。「人口減少」を危機と捉える人にありがちな考え方だ。

経済は「成長」しなければならないし「税収」が減るのも困る。なので「人口減少」を食い止めようという発想だ。ここに同意できない。「人口減少」が当たり前の社会で「成長」はそれほど重要ではない。「税収」が減っても問題ない。

単純化するためにコメだけを生産している社会を考えよう。今は人口に合わせて1億人分のコメを作っている。人口が5000万人に減った時もコメの生産量は維持すべきなのか。1人当たりの消費量を2倍にする意味があるのか。コメの生産量も基本的に半分でいい。結果としてGDPも半分になる。だが大きな問題はない。

上記のくだりの前の部分で「ない袖を振り続ければ、いずれ財政破綻の憂き目に遭う」と大林編集委員は心配していた。円という不換通貨を採用しているのだから、自治体は別として政府が「財政破綻の憂き目に遭う」心配は要らない。労働力などの制約はあるので、いくらでも「ぴかぴかの道路を維持」できる訳ではない。ただ、人口が減るのだから「維持」する「道路」は減らしていい。

今回の記事では「今年は島根県を失うのか」という見出しを付けている。「そう考えると人口減少は大変な問題でしょ」と大林編集委員は言いたいのだろう。そこも同意しない。

日本の適正人口を1000万人程度と見ている。実現した時には関東と関西を除くとほとんど人が住んでいないといった状況になるだろう。それでいい。そうなれば「ぴかぴかの道路を維持」するのは主要幹線道路だけで良くなる。環境への負荷が減るなどのプラス面も多い。

では、「人口減少」を食い止めるべきと訴える大林編集委員に具体策はあるのだろうか。そこも見ていこう。


【日経の記事】

20年国勢調査では、50歳までに一度も結婚しない人の割合は男性26%、女性16%。上昇基調はともに不変だ。こうしてみると、結婚しやすい環境の再構築とともに、法律婚に至らない男女も気兼ねせず子供を産める新たな規範の醸成が大切になってこよう。

婚外子比率が高いスウェーデン、フランス、英国の3カ国は子育て環境がそれぞれに整っており、出生率が日本より高い。子供は法律婚の夫婦がもつものだという意識を薄め、新たな規範を醸成するには、将来をじっくり構想する長期思考が不可欠だ。

すぐに成果を出すよう求められることが多い現代にあって私たちは短期思考に陥りがちだ。だが人口戦略は50年、100年の計である。

英国の総人口は日本の半分程度だが、出生督励と移民政策の奏功で今世紀後半に8千万人を超え、日本を逆転する可能性が濃厚だ。そのとき日本の道路はぼろぼろかもしれない。英国に限らず多くの国が長期思考の人口戦略を有する。静かなる有事にどう立ち向かうのか。与野党の指導者には、ぜひ考えてほしい。


◎具体策はなし?

結婚しやすい環境の再構築とともに、法律婚に至らない男女も気兼ねせず子供を産める新たな規範の醸成が大切になってこよう」と書いているだけで具体策はない。だったら「人口減少」を避けられないものと認めて対策を考えた方が良いのではないか。

婚外子比率が高いスウェーデン、フランス、英国の3カ国は子育て環境がそれぞれに整っており、出生率が日本より高い」という説明にも注文を付けておきたい。

記事を読むと「婚外子比率」を上げれば「出生率」を高められると感じてしまう。しかし、そうはならないだろう。まず相関関係があるのか疑問だ。

なぜ「スウェーデン、フランス、英国」を取り出したのか。世界全体で見て「婚外子比率」と「出生率」に正の相関関係があるのならば、そのデータを示せば済む。しかし3カ国だけを取り上げている。どうも怪しい。

ノルウェーも「婚外子比率」は高いようだが、大林編集委員は言及していない。「出生率」が低いからだろう。「子育て環境」で「スウェーデン」と大差があるとも思えない。OECD加盟国に限っても、「婚外子比率」が低いのに「出生率」は高いイスラエルやトルコのような国がある。

婚外子比率」の向上によって「出生率」を本当に回復させられるだろうか。そこも大林編集委員には「ぜひ考えてほしい」。「与野党の指導者」に「人口戦略」を求める前に大林編集委員自身がやるべきことがあるはずだ。


※今回取り上げた記事「核心~今年は島根県を失うのか」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220404&ng=DGKKZO59627880R00C22A4TCS000


※記事の評価はD(問題あり)。大林尚編集委員への評価はF(根本的な欠陥あり)を維持する。大林氏については以下の投稿も参照してほしい。

年金70歳支給開始を「コペルニクス的転換」と日経 大林尚上級論説委員は言うが…https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/08/70.html

「オンライン診療、恒久化の議論迷走」を描けていない日経 大林尚編集委員「真相深層」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/11/blog-post_21.html

「財政破綻はある日突然」? 日経 大林尚上級論説委員「核心」に見える根拠なき信仰https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/06/blog-post_28.html


日経 大林尚編集委員への疑問(1) 「核心」について
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_72.html

日経 大林尚編集委員への疑問(2) 「核心」について
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_53.html

日経 大林尚編集委員への疑問(3) 「景気指標」について
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post.html

なぜ大林尚編集委員? 日経「試練のユーロ、もがく欧州」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post_8.html

単なる出張報告? 日経 大林尚編集委員「核心」への失望
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_13.html

日経 大林尚編集委員へ助言 「カルテル捨てたOPEC」(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_16.html

日経 大林尚編集委員へ助言 「カルテル捨てたOPEC」(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_17.html

日経 大林尚編集委員へ助言 「カルテル捨てたOPEC」(3)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_33.html

まさに紙面の無駄遣い 日経 大林尚欧州総局長の「核心」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_18.html

「英EU離脱」で日経 大林尚欧州総局長が見せた事実誤認
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_25.html

「英米」に関する日経 大林尚欧州総局長の不可解な説明
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/03/blog-post_60.html

過去は変更可能? 日経 大林尚上級論説委員の奇妙な解説
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/08/blog-post_14.html

年金に関する誤解が見える日経 大林尚上級論説委員「核心」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/11/blog-post_6.html

今回も問題あり 日経 大林尚論説委員「核心~高リターンは高リスク」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_28.html

日経 大林尚論説委員の説明下手が目立つ「核心~大戦100年、欧州の復元力は」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/100.html

株安でも「根拠なき楽観」? 日経 大林尚上級論説委員「核心」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_20.html

日経 大林尚上級論説委員の「核心~桜を見る会と規制改革」に見える問題
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/blog-post_25.html

2020年も苦しい日経 大林尚上級論説委員「核心~選挙巧者のボリスノミクス」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/2020.html

2022年4月3日日曜日

金融引き締めに転じていないのは「世界で日銀だけ」と断言する小幡績慶大准教授の誤解

世界の中央銀行」は日銀を除いて「金融引き締め」に「舵を切っ」ていると慶応大学の小幡績准教授は信じているようだ。学生にも、そう教えているのだろうか。違うと思えたので以下の内容で問い合わせを送っている。

長洲港

【東洋経済への問い合わせ】

慶應義塾大学大学院准教授 小幡績様  東洋経済オンライン 担当者様

3月31日付で東洋経済オンラインに小幡様が書いた「日銀は庶民が苦しむ円安政策をすぐ変更すべきだ~今や円安は日本経済にとって明らかにマイナス」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは「とにもかくにもインフレを抑えることが先決で、世界の中央銀行は金融引き締めに一気に舵を切ったのである。この流れに完全に乗り遅れているのは、世界で日本銀行だけだ」との記述です。

小幡様の説明を信じれば「世界の中央銀行」は日銀を除いて「金融引き締め」に「舵を切っ」ているはずです。本当にそうでしょうか。ここでは中国とトルコを取り上げます。

中国は今年1月に利下げした後、2月と3月は据え置きです。高インフレが続くトルコは昨年12月に利下げした後も「金融引き締め」に転じていません。「金融引き締め」の「流れ」に中国やトルコの「中央銀行」も「完全に乗り遅れている」のではありませんか。

世界の中央銀行は金融引き締めに一気に舵を切ったのである。この流れに完全に乗り遅れているのは、世界で日本銀行だけだ」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

東洋経済新報社では読者からの間違い指摘を無視してミスを放置する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


問い合わせの内容は以上。


今回の記事では以下の説明も引っかかった。

【東洋経済オンラインの記事】

通常、金融政策における引き締め、利上げ政策は、景気を冷やすために行う。景気が過熱しているかどうかのバロメーターがインフレ率である。これが上昇してくれば、景気を冷やすため、需要を抑制するために、利上げを行う。

しかし、インフレはバロメーターであるだけでなく、物価が上昇すること、そのものが経済にマイナスであるため、インフレ自体が経済にとって悪なのだ。

消費者、とりわけ、低所得者層は、インフレに耐えられない。生きていけないのである。だから、政治的にも、インフレを抑えることが重要であり、アメリカと欧州でインフレを抑えることは最優先課題なのである。

インフレになる、ということは、モノの値段が上がる、ということである。ということは、一定の所得があっても、インフレが進めば可処分所得は落ちることになる。そして、これは消費者だけでなく、企業にとっても同じことであり、原材料コストの上昇により、収益が悪化することになる。


◎「インフレ自体が経済にとって悪」?

物価が上昇すること、そのものが経済にマイナスであるため、インフレ自体が経済にとって悪なのだ」と小幡氏は言う。消費者物価指数が前年比でプラスならば「インフレ」、マイナスならばデフレとの前提で考えてみよう(簡略化のため0%にはならないとする)。

この場合「経済にとって悪」とならないのはデフレの時だけとなる。あり得ないとは言わないが、ちょっと考えにくい。そもそも物価上昇率がプラス1%とマイナス1%はそんなに違うものなのか。

個人的には、物価は安定していれば多少のプラスでもマイナスでも問題ないと見ている。小幡氏は問題を単純に考えすぎているのではないか。

低所得者層は、インフレに耐えられない。生きていけない」「一定の所得があっても、インフレが進めば可処分所得は落ちる」と小幡氏は言う。「インフレ」が進んでも「所得」は変わらない前提のようだが、そうなるとは限らない。ある程度は連動して上がっていくと見るのが自然だ。

企業にとっても同じこと」だ。「原材料コストの上昇により、収益が悪化する」とは限らない。それ以上に販売価格に転嫁できる可能性もある。物事は総合的に判断すべきだ。小幡氏にそれができているとは思えない。


※今回取り上げた記事「日銀は庶民が苦しむ円安政策をすぐ変更すべきだ~今や円安は日本経済にとって明らかにマイナス

https://toyokeizai.net/articles/-/577543


※記事の評価はE(大いに問題あり)。小幡績氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

東洋経済オンラインで「MMTは大間違い」と断言した小幡績 慶大准教授の大間違いhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2021/11/mmt.html

小幡績 慶大准教授の市場理解度に不安を感じる東洋経済オンラインの記事https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/blog-post_18.html

「確実に財政破綻は起きる」との主張に無理がある小幡績 慶大准教授の「アフターバブル」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/10/blog-post.html

やはり市場理解度に問題あり 小幡績 慶大准教授「アフターバブル」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/10/blog-post_4.html

週刊ダイヤモンド「激突座談会」での小幡績 慶大准教授のおかしな発言https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/03/blog-post_25.html

東洋経済オンラインでのインフレに関する説明に矛盾がある小幡績 慶大准教授https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/06/blog-post_14.html

MMTは「財政支出の中身を気にしない」? 小幡績 慶大准教授が東洋経済オンラインで見せた誤解

https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/12/mmt.html

「インフレ抑制が重要」なのに「物価なんてどうでもいい」と言い切る小幡績 慶大准教授の矛盾

https://kagehidehiko.blogspot.com/2022/02/blog-post_20.html

2022年4月2日土曜日

やはり具体論から逃げた日経社説「資源高と円安の影響に十分な目配りを」

やはり逃げの社説で済ませてしまった。

2日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「資源高と円安の影響に十分な目配りを」という社説は残念な内容だった。急速な円安を受けて「日銀は円安誘導策をやめよ」と日経には訴えてほしかった。「自分たちはそう考えない」というのなら、それはそれでいい。「円安は悪くない」「日銀はひるまず円安誘導を」と訴えるのもありだ。しかし、今回の社説はどちらでもない。全文を見た上で、さらに考えたい。

【日経の社説】

三池港灯台
日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は7四半期ぶりに悪化した。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う悪影響が広がるなか、ロシアのウクライナ侵攻で資源価格の上昇に拍車がかかり企業心理を冷え込ませた。

足元では円安も資源高を加速させている。景気の着実な回復に向けて、政府・日銀には十分な目配りを求めたい

大企業製造業のDIはプラス14と2021年12月の前回調査から3ポイント悪化した。原材料高が響いた紙・パルプや窯業・土石製品、食料品で景況感の悪化が目立つ。

新型コロナの変異型「オミクロン型」の感染や半導体の不足で生産が滞った自動車、電気機械の景況感も悪化した。

大企業非製造業の業況判断DIもプラス9と1ポイント低下した。年初からの感染第6波に伴う行動制限で対個人サービスや宿泊・飲食サービスで業況が悪化した。

心配なのは3カ月後の見通しを示す先行き判断DIで、大企業製造業・非製造業とも景況感の一段の悪化が見込まれる点だ。東京や大阪など18都道府県に発動された「まん延防止等重点措置」は3月22日に解除されたが、感染は再び上向きつつある。ウクライナ情勢の行方も不透明で、資源価格の一段高を懸念する企業も多い。

販売価格と仕入れ価格の判断DIからは、原材料費の上昇を価格転嫁しきれず採算悪化に見舞われている企業の姿が浮かび上がる。これに追い打ちをかけるのが足元で急速に進んだ円安だ。

企業が想定する22年度の想定為替レートは、1ドル=111円93銭だ。だが米連邦準備理事会(FRB)などがインフレに対応して利上げを急ぐなか日銀は低金利を保つ姿勢で、金利差が広がるとの見方から円相場は6年半ぶりに一時125円台まで下落した。

黒田東彦総裁は、円安は総じて日本経済にプラスと言うが、内需型産業への逆風は強まる。金融政策面での対応は難しいが、企業の資金繰りなどを注視し、必要と判断すれば手を打つべきだ

岸田文雄首相は中小企業や困窮者への支援を含む物価高対策のとりまとめを指示した。的を絞った効果的な支援を求めたい。国の長期債務残高は約1000兆円だ。ばらまきによる財政悪化の懸念で円安が加速しては元も子もない。


◎結局、お任せ?

足元では円安も資源高を加速させている。景気の着実な回復に向けて、政府・日銀には十分な目配りを求めたい」と言うものの「円安」と「資源高」にどう対応すべきなのか具体論は見当たらない。

日銀は低金利を保つ姿勢で、金利差が広がるとの見方から円相場は6年半ぶりに一時125円台まで下落した」とも書いているが、強引に長期金利を押さえ付ける今のやり方が適切なのかの判断も日経は示さない。「金融政策面での対応は難しいが、企業の資金繰りなどを注視し、必要と判断すれば手を打つべきだ」で済ませている。

金融政策面での対応は難しい」から日経として判断を示すことから逃げたのか。「必要と判断すれば手を打つべき」なのは当たり前だ。どういう状況になったら、どういう手を打つべきなのか。それを示せないで何のための経済紙なのか。何のための社説なのか。何のための論説委員なのか。その存在意義を問い直してほしい。

政府・日銀」は「十分な目配り」をして「必要と判断すれば手を打つべき」といったレベルのお願いならば誰でもできる。この程度のお願いが自分たちのできる限界と言うのならば社説は廃止でいい。


※今回取り上げた社説「資源高と円安の影響に十分な目配りを」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220402&ng=DGKKZO59653580S2A400C2EA1000


※社説の評価はE(大いに問題あり)

2022年4月1日金曜日

日銀と「市場との闘い」を正しく理解してる? 日経 学頭貴子記者「ポジション」

 1日の日本経済新聞朝刊マーケット総合面に載った「ポジション 市場との闘い 日銀に試練の4月~新発10年債入札・消費者物価…金利上昇要因が続々」という記事を書いた学頭貴子記者は「市場との闘い」を正しく理解していない気がする。

島原半島

そう感じたくだりを見ていこう。

【日経の記事】

日銀幹部は「長期金利が0.25%を超えても、日銀が全て買うのでコントロールできる」と胸を張るが、市場の見方は異なる。オーストラリアの中央銀行は21年11月、3年債の利回り目標を撤廃。インフレ率の上昇と景気回復を背景に3年債利回りは大きく上昇しており、中銀が抑えられなかったとの見方が広がった。

現実の金利上昇や円安圧力の強まりから「YCCの対象を10年債から短期化するなどの政策調整は十分想定できる」(バークレイズ証券の山川哲史調査部長)との思惑は市場で根強い。日銀が市場に事実上の「白旗」をあげる日はそう遠くないかもしれない。


◎日銀は常に勝てるが…

長期金利が0.25%を超えても、日銀が全て買うのでコントロールできる」という「日銀幹部」は正しい。「市場の見方は異なる」としたら「市場の見方」が間違っている。少し考えれば分かるはずだ。日銀は無から限界なく日本円を創出できる。金(ゴールド)などでの裏付けも必要ない。市場に出回る全ての国債を購入する能力を日銀は有している。「長期金利」を「コントロール」できなくなると考える道理はない。

そこと「YCCの対象を10年債から短期化するなどの政策調整」を学頭記者は混同して考えているのではないか。「市場」環境の変化に応じて日銀が「政策調整」に動く可能性は十分にある。円安や物価高の進行で政府からの「政策調整」が高まる場面も想定できる。「政策調整」が実現した場合に「日銀が市場に事実上の『白旗』をあげ」たと見ても良い。

しかし日銀による「長期金利」の「コントロール」が能力的な限界を迎えた訳ではない。「コントロール」は常に容易にできる。ただ「市場」環境の変化などが「長期金利」の「コントロール」を好ましくないものにしただけだ。そこを分けて考えてほしい。今回の記事では、それができていない。


※今回取り上げた記事「ポジション 市場との闘い 日銀に試練の4月~新発10年債入札・消費者物価…金利上昇要因が続々

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220401&ng=DGKKZO59595390R30C22A3EN8000


※記事の評価はD(問題あり)。学頭貴子記者への評価はDで確定とする。