2022年1月29日土曜日

インフレ対応として預貯金・国債へのシフトを日経 小栗太編集委員は勧めるが…

日本経済新聞の小栗太編集委員が29日朝刊マネーの学び面に書いた「インフレ不安、家計を守る~支出を抑え、運用は分散重視」という記事は問題が多かった。ここでは資産運用に関する解説を見ていく。

夕暮れ時の筑後川

【日経の記事】

インフレ不安は個人の資産運用にも悪影響を及ぼす。米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)は、早ければ3月にも政策金利の引き上げ開始を見込む。市場では金融引き締めで米国の景気回復にブレーキがかかることへの警戒感が台頭。ウクライナを巡る地政学リスクも加わり、世界的な株価の乱高下が起きている。

昨年までの株高を背景に、日本の個人投資家の間では米国株などへの投資が膨らみ、世界的な株価や為替相場の乱高下で大きな損失を被るリスクが高まっている。相場が不安定で先行きの不透明感が強い間は、株式や外貨を中心にした運用で損失を膨らませないように、預貯金や個人向け国債などの割合を高め、運用先を分散しておくことが重要となる。


◎特別なことはしない方が…

まず「インフレ不安は個人の資産運用にも悪影響を及ぼす」という説明がよく分からない。問題は「インフレ」ではなく「インフレ不安」なのか。とりあえず「インフレ」の方だとしよう。名目ベースで言えば「インフレ」は「個人の資産運用」にとってプラスだ。基本的には株価も上がりやすい。

物価の影響を除いた実質ベースで言えば、どちらとも言えない。過去のデータから経験則は導き出せるかもしれないが、小栗編集委員もそうしたデータは見せてくれない。「インフレ」傾向が強まっているからと言ってリスク資産の比率を下げる必要は感じない。

ところが「相場が不安定で先行きの不透明感が強い間は、株式や外貨を中心にした運用で損失を膨らませないように、預貯金や個人向け国債などの割合を高め」るべきだと小栗編集委員は言う。これは賛成できない。

通常であれば「インフレ」は金利上昇を伴うので「預貯金や個人向け国債」(ただし国債は変動金利型に限る)を持つのは悪くない選択だ。預貯金金利も連動して上がってくれる。

しかし現状では「預貯金や個人向け国債」は「インフレ」に弱すぎる。日銀は物価上昇率が2%を安定的に超えてこない限り利上げには踏み切らないだろう。つまり2%の「インフレ」になっても「預貯金や個人向け国債」の利回りはほぼゼロのままだ。実質価値は目減りが避けられない。なのに預貯金や個人向け国債などの割合を高め」るべきなのか。

「相場が不安定で先行きの不透明感が強い」のは多かれ少なかれいつものことだ。それでいちいちリスク資産の比率を下げていたら何のために投資しているのか分からなくなる。

「個人投資家」であれば、持っておくべき無リスク資産の金額を決めたら、残りの資金はリスク資産に投じてひたすら待つスタンスでいい。「インフレ」だからとか「地政学リスク」とかを考えても仕方がない。そうした材料は既にほとんどが市場価格に織り込まれている。

「インフレ」だからと言って資産運用で特別なことはしない。それが「インフレ不安」に対応する一番の方法だと思える。


※今回取り上げた記事「インフレ不安、家計を守る~支出を抑え、運用は分散重視」

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220129&ng=DGKKZO79637520Y2A120C2PPK000


※記事の評価はD(問題あり)。小栗太編集委員の評価はE(大いに問題あり)を据え置く。小栗編集委員については以下の投稿も参照してほしい。

「『金利消失』新興国でも」と読者を欺く日経 小栗太編集委員https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/07/blog-post_23.html

ビットコイン解説に見える日経ヴェリタス小栗太編集長の「限界」https://kagehidehiko.blogspot.com/2017/10/blog-post_4.html

処方箋を示してる? 日経1面「人口病に克つ」への疑問
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/11/blog-post_97.html

日経 小栗太氏 E評価の理由
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/11/blog-post_18.html

2022年1月28日金曜日

「日本はMMTの成功例なのか?」に答えを出さないフォーブス・ジャパン「伊藤隆敏の格言致知」

27日付のフォーブス・ジャパンに載った「伊藤隆敏の格言致知~日本はMMTの成功例なのか?」という記事は問題が多かった。そもそも、この記事では「日本はMMTの成功例なのか?」という問題提起しながら、結局は答えを出していない。そこは後で触れるとして、まずは「MMT」に関する伊藤氏の解説から見ていこう。

夕暮れ時の筑後川


【フォーブス・ジャパンの記事】

国債が自国通貨建てで発行できる先進国では、債務不履行はありえないので、いくらでも国債を発行することができると主張する、MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)信奉者だ。

自国通貨建て国債をいくら発行しても、債務不履行にはならない、というMMTの主張は正しい。しかし、債務不履行にはならなくても、経済には大きな打撃になるシナリオはある。


◎MMTをちゃんと理解してる?

まず「MMT」では「国債が自国通貨建てで発行できる先進国では、債務不履行はありえないので、いくらでも国債を発行することができると主張」しているだろうか。通貨主権を持つ国が能力面で「いくらでも国債を発行することができる」と見ているのは確かだが「MMT」ではインフレを制約条件としている。なので「インフレを抑え込めていれば、いくらでも国債を発行することができると主張」しているなどと説明すべきだ。

それは「先進国」に限った話ではない。「MMT」の主唱者であるステファニー・ケルトン氏は著書の中で「(MMTは)高いレベルの通貨主権を持つあらゆる国において、政策の選択肢を理解し、改善するのに役立つ」と述べている。「MMT」の考えでは、通貨主権さえあれば途上国でも「債務不履行はありえない」と言える(政府が債務不履行を容認する場合は別)。

伊藤氏は「MMT」をきちんと理解しているのか。そこが引っかかった。

記事の続きを見ていこう。


【フォーブス・ジャパンの記事】

将来、国債の償還可能性に少しでも疑問が生じると国債の買い手がいなくなる。買い手を引き留めるには、国債金利を引き上げるか、財政収支を黒字化しなくてはならない。国債金利の急騰は、国債を保有する金融機関に巨額の評価損をもたらし銀行危機に発展する。財政緊縮は、将来世代に増税を課すことになる。

金利高騰も、増税も避けるには、中央銀行が無制限に国債を買い取るしかない。自国通貨建て国債の場合これが可能だが、それはハイパーインフレにつながり、経済活動に大きな混乱を招く。


◎色々とおかしな点が…

「将来、国債の償還可能性に少しでも疑問が生じると国債の買い手がいなくなる」という前提が成立するだろうか。「国債の償還可能性に少しでも疑問が生じる」状況は既にある。その象徴とも言えるのが、いわゆる矢野論文だ。

文藝春秋2021年11月号で「あえて今の日本の状況を喩えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものです。氷山(債務)はすでに巨大なのに、この山をさらに大きくしながら航海を続けているのです」と財務事務次官の矢野康治氏が認めている。

「少し」どころか「国債の償還可能性」に多大な「疑問が生じる」事態だ。矢野論文の発表後には「国債の買い手がいなくなる」事態に発展しただろうか。「国債金利の急騰」が起きただろうか。財務事務次官が「タイタニック号」を引き合いに出して財政の危機的状況を訴えているのに、国債の利回りが0%近辺に張り付いたままなのは、なぜか。

伊藤氏はそこを検討しなかったのか。

ついでに言うと「財政緊縮は、将来世代に増税を課すことになる」という説明が理解できなかった。「財政緊縮」策として増税に踏み切った場合、税金を納めるのは現役世代のはずだ。しかし、なぜか「将来世代に増税を課すことになる」と伊藤氏は解説する。だとすると積極財政策は「将来世代」への減税なのか。こちらの理解力に問題があるのかもしれないが、話が見えてこない。

さらに続きを見ていく。


【フォーブス・ジャパンの記事】

実質成長率が実質金利を上回っていれば、債務は維持可能だ、という考え方もある。これは、この条件が成り立っていれば、毎年の(基礎的)財政収支を均衡させることで、長期的に債務・GDP比率を低くしていくことができるからだ。しかし、現在、成長率が金利を上回っていたとしても、それが未来永劫続く保証はない。

公的債務が積み上がると、国債金利が上昇して、予算に占める金利負担が上昇してマイナスの効果をもたらす。だが、1990年以降、先進国では名目国債金利が長期的に低落傾向にあり、長期的に維持可能な(均衡)実質金利も低下してきたと考えると、より高い債務水準を維持できる。彼らは、日本がMMTの正当性を証明している、という。

しかし、現在の日本には、財政保守派の人たちも、MMT派の人たちも見逃している問題がある。それは日本の人口減少である。20〜64歳の働き手の人口は、1998年をピークに減少を続けている。


◎で「日本はMMTの成功例」?

「日本はMMTの成功例なのか?」という話に最も近づいたのが上記のくだりだ。しかし「彼らは、日本がMMTの正当性を証明している、という」と述べた後、本当に「証明している」のかを論じないまま「現在の日本には、財政保守派の人たちも、MMT派の人たちも見逃している問題がある。それは日本の人口減少である」と話を逸らしてしまう。

そもそも日本に「人口減少」という「問題がある」ことぐらい「財政保守派の人たちも、MMT派の人たちも」知っているのではないか。

記事からは「MMTを否定したいけど否定できる論理展開はできそうもない。だから話を逸らせて記事をまとめてみた」という印象を受けた。「日本はMMTの成功例なのか?」という見出しに釣られて記事を読んだ身としては、ガッカリと言うほかない。


※今回取り上げた記事「伊藤隆敏の格言致知~日本はMMTの成功例なのか?」https://forbesjapan.com/articles/detail/45529/2/1/1


※記事の評価はD(問題あり)

2022年1月26日水曜日

「ウクライナ情勢に関与する余裕はない」米国が「派兵準備」? 日経の記事に矛盾あり

26日の日本経済新聞朝刊1面トップを飾った「米ロ、冷戦期以来の緊張 金融市場揺るがす~東欧に米軍8500人派兵準備」という記事はツッコミどころが多い。まず「政治体制が異なる核保有国同士が直接対峙するのは冷戦期以来の事態だ」との説明について考えたい。ポイントは2つある。

夕暮れ時の筑後川

そもそも米ロは「直接対峙」となるのか。13版の記事では「ロシア軍はウクライナ国境付近に集結しており、同国を挟んで米ロが対峙する」と説明している。だとすると「直接対峙」というより「間接対峙」だ。

もう1つ気になるのが「政治体制が異なる核保有国同士が直接対峙するのは冷戦期以来」との説明だ。記事には「1990年代の台湾海峡危機では、米国の圧倒的な軍事力の前に中国は引き下がった」との記述がある。つまり「1990年代の台湾海峡危機」では米中という「政治体制が異なる核保有国同士が直接対峙」している。そして、この「危機」が起きたのは冷戦終結後の1996年。となると「政治体制が異なる核保有国同士が直接対峙するのは冷戦期以来」ではなくなる。

追加でツッコミを入れておきたいのが「現在の米国は国力が低下し、ウクライナ情勢に関与する余裕はない」という解説。記事には「米国防総省は24日、ウクライナ周辺の東欧地域に最大8500人規模の米軍を派遣する準備に入ったと明らかにした」との記述もある。

「ウクライナ周辺の東欧地域に最大8500人規模の米軍を派遣する」意思と能力があるのに「ウクライナ情勢に関与する余裕はない」のか。「米軍を派遣する準備に入ったと明らかにした」のは単なる脅しなのか。脅しだとしても「関与」はしているのではないか。

日経は26日付の電子版に「ウクライナ、ロシア再侵攻説の否定に躍起~米に同意せず」という記事を載せている。これによると「ウクライナに対するロシア軍侵攻が間近に迫っているとの見方は主に米国が示しているが、ゼレンスキー大統領や国防相らが真っ向から否定」しているらしい。

つまりウクライナが助けを求めている訳でもないのに、米国主導で「ウクライナに対するロシア軍侵攻が間近に迫っているとの見方」を広めて「米軍を派遣する準備」に入っている。なのに「ウクライナ情勢に関与する余裕はない」と認識してしまうのは、ピントがズレすぎている。


※今回取り上げた記事「米ロ、冷戦期以来の緊張 金融市場揺るがす~東欧に米軍8500人派兵準備」

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220126&ng=DGKKZO79549080W2A120C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)

2022年1月25日火曜日

斎藤正勝氏に丸め込まれた? 日経 関口慶太記者「一目均衡~市場を壊す『3月期』の呪縛」

25日の日本経済新聞朝刊 投資情報面に関口慶太記者(肩書はフィンテックエディター)が書いた「一目均衡~市場を壊す『3月期』の呪縛」という記事には色々と疑問が湧いた。中身を見ながら具体的に指摘したい。

室見川

【日経の記事】  

「1カ月で30社超の新規株式公開(IPO)は多すぎる。これが続くとマーケットを壊しかねない」。auカブコム証券の前社長で、現在はミンカブ・ジ・インフォノイド副社長の斎藤正勝氏は17日、東京証券取引所を訪れ、山道裕己社長に訴えた。

2021年12月のIPOは34社(東京プロマーケット含む)。1991年以来、30年ぶりの高水準となった。年間の4分の1が1カ月に集中した。12月24日は1日だけで7社が上場した。

個人マネーが中心の新興市場は、IPOの集中を支えきれずに、初値が公開価格を下回る銘柄が続出した。資金回転の効かなくなった市場はもろい。東証マザーズ指数は21年12月に8%下落。22年1月はさらに18%下落している。


◎「資金回転が効かなくなった」?

まず「IPOの集中を支えきれずに、初値が公開価格を下回る銘柄が続出した。資金回転の効かなくなった市場はもろい」という説明が謎だ。

「初値が公開価格を下回る銘柄が続出」することが「資金回転の効かなくなった」根拠と言えるのか。「資金回転」の定義にもよるが、売買がきちんと成立しているのならば「資金回転」は効いているのではないか。

「東証マザーズ指数は21年12月に8%下落」したらしいが、これを「IPOの集中」と単純に結び付けているのも引っかかる。因果関係を証明できないのは分かる。それでも「IPOの集中」が指数の下落につながったと見る市場関係者のコメントぐらいは欲しい。

「22年1月はさらに18%下落している」とも書いている。これはさすがに苦しい。12月に「IPOの集中」が起きたので12月の株価が下がったという話はまだ分かる。翌月に2倍以上の下落率となったのならば別の要因と見るべきだ。翌月になった改めて「IPOの集中」を株価に織り込むとは考えにくい。

続きを見ていこう。


【日経の記事】

一極集中の悪影響は明らかなのに12月に集中するのはなぜか。IPOの主幹事を務める大手証券会社の幹部は「上場後の下方修正を避けるためだ」と明かす。「3月期決算だと、4~9月の上半期の結果が出た秋に上場申請すれば、年間計画がぶれる可能性が低くなる」というわけだ。

上場する企業や主幹事証券がIPO直後の下方修正を過度に恐れるきっかけになったのが、2015年のgumiショックだ。

14年に東証1部に上場したgumiは、上場からわずか2カ月半後に大幅な下方修正を発表した。株価はストップ安となり、日本取引所グループの斉藤惇最高経営責任者(当時)は「3カ月で営業黒字から赤字にするのは、経営者としてありえない」と批判。主幹事証券にも怒りの矛先を向けた。

15年3月に東証と日本取引所自主規制法人は日本公認会計士協会に対し「新規公開の品質向上に向けた対応のお願い」と題する要請をした。上場直後に業績予想を大幅修正する場合には前提条件やその根拠の適切な開示をするよう求めた。東証の永田秀俊上場推進部長は「主幹事証券や監査法人は、東証は上場直後の下方修正は認めないと受け止めたのではないか」とみる。

12月と違い、1月はほとんどIPOがない。1月でも年間計画は見通せるはずだが、1月の上場には準備の問題がある。12月のクリスマスの時期は国内外の機関投資家が休暇に入る。IPOに向けて機関投資家を回って事業や財務の説明をするロードショーができないのが、1月に上場する企業が少ない理由だ。


◎2月はなぜ少ない?

IPOが「12月に集中する」のは「上場後の下方修正を避けるため」らしい。「1月でも年間計画は見通せるはず」だが、「12月のクリスマスの時期は国内外の機関投資家が休暇に入る」から「1月に上場する企業が少ない」らしい。「クリスマスの時期」に休むと言っても数日の話ではないかと思える。「ロードショーができない」という説明を受け入るとしても、だったら2月はなぜダメなのかとの疑問は残る。

記事の終盤も見ておく。


【日経の記事】

解決策はある。決算期をずらすことだ。例えば12月期決算ならば、9~10月に年間計画が見通せる。3月期決算企業は東証1部の約7割。日本公認会計士協会などは20年3月、公認会計士を見つけられない監査難民を解消するためにも「決算期を異なる時期とすることが期待される」とする報告書をまとめている。

IPOの増加はリスクマネーの供給を増やそうと官民挙げて取り組んだ成果だ。ただ結果として生じたマーケット需給の悪化は放置できない。企業も証券会社もまずは3月期決算の呪縛から解き放たれてみてはどうだろうか。


◎どうやって「ずらす」?

「解決策はある。決算期をずらすことだ」と関口記者は言うが具体策には触れていない。「企業も証券会社もまずは3月期決算の呪縛から解き放たれてみてはどうだろうか」と呼び掛けているだけだ。「3月期決算」以外の企業の上場申請を優先して審査する仕組みに改めるとか、何か策を提言してほしい。

個人的には12月に「IPOの集中」が起きても「市場を壊す」ようなことはないと思える。百歩譲って12月に「マーケット需給の悪化」が起きるとしよう。これは「放置」でいい。

そもそも「マーケット需給」が緩むことを単純に「悪化」とは見るべきなのか。結果として株価が下がっても、押し目を拾いたい人にとっては好機だ。

そもそも企業の株価は、中長期で見れば企業価値に見合ったものになるのではないか。「IPOの集中」の影響で本来の価値よりも大幅に低い水準で初値が付いた企業があるとしよう。割安な株価でこの企業に投資したいと考える投資家にとっては絶好の買い場だ。そうやって株価は修正されていく。一時的な「需給の悪化」による株価の変動を気にする必要はない。

12月に「IPOの集中」が起きているということは、裏返せば他の月の「IPO」は少ない訳だ。これは「マーケット需給」の“改善”要因となる。結局、集中させても分散させても年間ベースでの「IPO」による株式の新規供給は同じなのだから12月の「マーケット需給の悪化」は他の月の“改善”で相殺されるはずだ。

関口記者は「ミンカブ・ジ・インフォノイド副社長の斎藤正勝氏」に上手く丸め込まれたのだろうか。ここで書いたような話は「フィンテックエディター」というもっともらしい肩書を付けて日経に株式関連の記事を書く記者ならば、当然に理解しているべきなのだが…。


※今回取り上げた記事「一目均衡~市場を壊す『3月期』の呪縛」

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220125&ng=DGKKZO79505890U2A120C2DTA000


※記事の評価はD(問題あり)。関口慶太記者への評価はDを維持する。関口記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

疑問だらけの日経「本田圭佑選手、VBファンド設立」https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_19.html

「お金のデザイン」が好きすぎる日経「市場の力学」https://kagehidehiko.blogspot.com/2017/02/blog-post_53.html

逆張り消えた?日経 関口慶太記者「スクランブル」に疑問(1)https://kagehidehiko.blogspot.com/2015/09/blog-post_26.html

逆張り消えた?日経 関口慶太記者「スクランブル」に疑問(2)https://kagehidehiko.blogspot.com/2015/09/blog-post_27.html

2022年1月24日月曜日

子供へのワクチン接種でも賛否を明確にしない日経社説の罪

24日の日本経済新聞朝刊 総合・政治面に載った「子どもの接種は『個別』対応で」という社説は残念な内容だ。「新型コロナウイルスワクチンの5~11歳を対象とする接種」に対して賛否を明確にせず「かかりつけ医や小児科医による個別接種で対応するのが望ましい」といった「接種」の進め方に焦点を当てて逃げている。

耳納連山と夕陽

「子どもの接種」が子供のためにならないことは筆者も分かっているようだ。しかし社論としてワクチン接種を推してきた経緯もあり、歯切れが悪くなったのだろう。中身を見ながら問題点を見ていきたい。


【日経の社説】

新型コロナウイルスワクチンの5~11歳を対象とする接種が3月にも始まる。厚生労働省が21日、米ファイザー製を特例承認した。かかりつけ医や小児科医による個別接種で対応するのが望ましい。

子ども向けワクチンは投与成分量を12歳以上の3分の1にしたもので、3週間の間隔をあけて2回打つ。2月に輸入が始まる予定。政府は早急に供給計画を自治体に示す必要がある。

ワクチンは病気予防のため健康な体に打つ。接種するかどうかはメリットとデメリットとをよく考えて判断しなければならない。

新型コロナは子どもの場合、感染・発症しにくく、かかったとしても重症化リスクは極めて低いとされてきた。高齢者にうつすと重症者増につながるとしても、接種の負担を子どもに強いることに慎重な専門家の意見もあった。

ただ、オミクロン型の大流行で状況は変わった。国内でも子どもの感染・発症が増え、全国で学級閉鎖が相次ぐ。

海外での臨床試験や先行例から深刻な副作用はほとんど報告されていない。行動制限を最小限にし学校での集団感染を防ぐためにも接種の意義はある。


◎「メリットとデメリットとをよく考え」たら…

「オミクロン型の大流行で状況は変わった」と言うが「子どもの場合」「重症化リスクは極めて低い」という「状況」は変わっていない。子供の健康に関して言えば「重症化リスク」や死亡リスクはほぼゼロだ。一方「ワクチン」にはある程度の「副作用」がある。「深刻な副作用はほとんど報告されていない」とも書いているが、わずかでも「深刻な副作用」の可能性があるワクチンを「重症化リスク」ほぼゼロの子供に打つ意味はない。

「メリットとデメリット」を考慮すれば「接種はさせない」との結論に至る。

「行動制限を最小限にし学校での集団感染を防ぐためにも接種の意義はある」とも日経は書いているが、子供に限定して考えればコロナ対応の「行動制限」はゼロでいい。「集団感染」が起きても子供たちは無症状か軽症なのだから「学級閉鎖」をする必要ない。体調が悪い子供が学校を休めばいいだけだ。

「高齢者にうつす」といった話は大人の問題だ。「高齢者」を守るために、子供にとっては「デメリット」が上回ることが明らかなワクチン接種を求めるのか。子供を犠牲にして「高齢者」を含む大人を守るべきなのか。そこを考えてほしい。

そもそも「ワクチン」で感染を防げるのかという問題もある。国民の約8割が2回のワクチン接種を終えた日本でも「オミクロン型の大流行」は起きた。「接種から時間が経ったからだ」と言うのならば、子供への接種効果もすぐに消えて追加接種となる。そのころには新たな変異株も生まれているだろう。その変異株に対応したワクチンが開発されたら、また接種して…という繰り返しが予想される。

自分の判断で接種する大人がワクチン漬けになるのは自己責任とも言える。しかし子供は違う。大人を守るために、接種のメリットがない子供をワクチン漬けにしていくべきなのか。答えは明らかだ。

社説の後半も見ておこう。


【日経の社説】

発熱や注射部位の痛みといった副作用が想定される。高熱を出すと子ども特有のけいれんを引き起こす懸念もある。接種後の体調管理が重要で、医師と意思疎通しやすい個別接種で進めるのがいい。

市区町村の中には集団接種を選択するところも出てくるだろう。その場合も医師会の協力を得て、会場に小児科医らが常駐する体制をとるべきだ。

打つかどうか本人が納得して判断することも大事になる。保護者らはわかりやすい言葉で丁寧に説明することだ。

2年間、不便なマスク生活を強いられた子どもたちには相当なストレスがかかっている。接種の有無で新たな差別やいじめを生まぬよう、学校や地域社会は目配りしてほしい。コロナ禍から子どもを守る大人の責務といえる。


◎「大人の責務」を強調するなら…

子供への接種が問題含みなのは日経も理解しているのだろう。「打つかどうか本人が納得して判断することも大事になる」などと書いている。ワクチンにより重大な健康被害が出ても「本人が納得」して接種したのだからと責任逃れはしやすくなる。だが、これは酷い話だ。

「5~11歳」が「メリットとデメリットとをよく考えて判断」できると本気で思っているのか。「注射は嫌だ。痛いのは嫌い」といった主張はできるだろうが、子供全員に冷静で合理的な判断を求めるのは無理な話だ。大人でも「メリットとデメリットとをよく考えて判断」している人は少数派だろう。

「コロナ禍から子どもを守る」のが「大人の責務」だと日経の論説委員が本気で思っているのならば、子供への接種には強く反対すべきだ。「子どもの接種は『個別』対応で」などと逃げを打っている場合ではない。


※今回取り上げた社説「子どもの接種は『個別』対応で」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220124&ng=DGKKZO79478800U2A120C2PE8000


※社説への評価はD(問題あり)

2022年1月22日土曜日

大塚耕平 参院議員のMMTに対する誤解が目立つFACTA「三耕探究⑦」

参議院議員の大塚耕平氏はMMT(現代貨幣理論)を誤解しているようだ。FACTA2月号に載った「三耕探究⑦ 日本の危機!『六重苦』で『貧しい国』の断崖」という記事からは、そう判断できる。中身を見ながら具体的に指摘したい。

中之島公園

【FACTAの記事】

故小渕首相の時代に「二兎論争」があった。財政再建と経済成長を二匹の兎に喩え、どちらの兎を追うか、両方追うか、あるいは「二兎を追う者は一兎をも獲ず」の諺(ことわざ)どおりなのか。

現在は新「二兎論争」の様相を呈している。以下、対比のために、財政健全化を追求する考え方をTMT(Traditional Monetary Theory)、伝統的金融理論と記す。

MMT派の主張のポイントは主に3点だ。

第1は、国は負債だけではなく資産も有しており、純資産(資産マイナス負債)で考えることが必要と主張する。日本の純資産はゼロ近傍(負債と資産がほぼ同額)なので問題ないと結論づけている。


◎そんな主張してる?

「国は負債だけではなく資産も有しており、純資産(資産マイナス負債)で考えることが必要」とMMT派は主張しているのか。MMT派の主張の全てに目を通している訳ではないので「ない」とは断言できない。だが、個人的にはそういう主張を目にしたことがない。

MMTの主唱者として知られるステファニー・ケルトン氏は著書「財政赤字の神話~MMTと国民のための経済の誕生」の中で以下のように記している。

「MMTのレンズで見れば、政府は一般家庭や民間企業とはまったく違う。両者の間には、シンプルで否定できない違いがある。政府が通貨(米ドル)を『発行』するのに対し、他のすべての経済主体は通貨を『利用』するだけだ」

政府の財政に関して「一般家庭や民間企業」と同じように考えることをMMTは戒めている。この考えに従えば「国」の財政状況を「純資産」で見て「問題ない」とかあるとか論じること自体が無意味だ。

記事の続きを見ていこう。


【FACTAの記事】

第2は、日銀が国債を買い続けることができる(事実上の引き受けができる)ため、政府は日銀に紙幣を発行させれば財政は回り続けると主張する。いわゆる「統合政府論(アマルガメーション・アプローチ)」である。

第3は、財政赤字は拡大しているものの、現に何も起きていない、インフレも発生していない、だから大丈夫と主張する。

一方、TMT派は上記3点に関してそれぞれ次のように主張する。

第1に、国の資産と言っても、実際にそれを購入する人がいなければ資産としての価値も意味もない。純資産がゼロ近傍だから「大丈夫」なのではなく、ゼロ近傍だから「大丈夫ではない」という真逆の判断だ。


◎「純資産がゼロ近傍だから『大丈夫』」?

MMTの一般的な考え方に基づけば「純資産がゼロ近傍だから『大丈夫』」とはならない。通貨主権を持つ日本の場合、政府の「純資産」はプラスでもマイナスでもゼロでも支払い能力に影響はない。政府・日銀は無から日本円を創出できる。「資産」を「購入する人」がいるかどうかは関係ない。そこは大塚氏にも理解してほしい。

さらに続きを見ていこう。


【FACTAの記事】

第2に、日銀が国債を買い続けることはできないと主張する。日銀がYCC(イールド・カーブ・コントロール)と称して長期金利を政策的に低位固定化せざるを得なくなっていることが、市場の国債消化能力が限界に達しつつあることの証左と指摘する。

日銀がYCCを止めると、国が民間金融機関に市場経由で国債を発行し、それを日銀が市場から取得するという「日銀トレード」ができなくなる。そうなれば日銀はまさしく国債を直接引き受けするしかない。その場合、投資家は国債売却、円売り、つれて日本株売りという悪循環に陥る。つまり、債券安、円安、株安のトリプル安だ。

第3に、上記第2の状況に至って急激な円安が生じると、輸入物価高を含め、制御できないインフレが発生すると主張する。

そのうえで、上記第2、第3の状況が現実化した場合、政府はその流れを止めるために財政再建策を発表しないと市場も投資家も「日本売り」を止められない。その結果、結局は伝統的な理論通りに財政再建策を発表することとなり、それはTMTが妥当であることの証左とする。これだけ真逆の主張だから、いくら議論してもMMT派とTMT派の主張の優劣について結論が出るはずがない。


◎「真逆の主張」?

大塚氏が描く「TMT派の主張」には問題が多い。全てに言及すると長くなるので、ここでは1つだけ指摘しておこう。「日銀がYCCを止める」と「債券安、円安、株安のトリプル安」に陥り、さらには「制御できないインフレが発生する」と「TMT派」は主張しているらしい。だとすれば「YCCを止め」なければ済むのではないか。

「YCC」を続けられなくなる理由を大塚氏は記していない。「日銀が国債を買い続けることはできない」とも「TMT派」は主張しているらしいが、なぜ「国債を買い続けることはできない」と見ているのかも謎だ。「日銀」は無から無限に日本円を創出できるのだから「国債を買い続けること」は簡単にできる。

大塚氏はそこが理解できないだろうのか。「これだけ真逆の主張だから、いくら議論してもMMT派とTMT派の主張の優劣について結論が出るはずがない」と投げ出してしまう。

そもそも「真逆の主張」だから「結論が出るはずがない」という理屈が謎だ。そっくりの「主張」ならば「優劣について結論」を出すのが難しいのは分かる。「真逆」ならば話は分かりやすい。例えば「宇宙人はいる」と「宇宙人はいない」というのは「真逆の主張」だ。だからと言って「結論が出るはずがない」と見るべきだろうか。宇宙人の存在を確認できた時には「主張の優劣について結論が出る」のではないか。

さらに言えば「真逆の主張」との見方が妥当ではない。「制御できないインフレが発生」した場合に「財政再建策を発表する」のが「TMT派の主張」らしいが、これはMMTと矛盾しない。

「インフレにならない限り、財政赤字は気にしなくてよい、国債はいくら発行してもよいと主張する」のがMMTだと大塚氏も記事で解説している。裏返せば「インフレ」になると話が変わってくる。「制御できないインフレが発生」している場合、MMTに基づく政策運営でも「財政赤字」は縮小に向かう可能性が高い。「制御できないインフレ」は好ましくないという点でMMTと「TMT」は一致している。

さらに見ていこう。


【FACTAの記事】

「結論のない議論」に終始することなく「現実的な具体策」を考えてみる。

第1に、財政状況が「悪い」よりは「良い」方が望ましいことには誰もが賛同するだろう。


◎「誰もが賛同」?

「財政状況が『悪い』よりは『良い』方が望ましいことには誰もが賛同するだろう」と書いてしまうのは大塚氏がMMTを理解していないからだ。

「MMTのレンズに基づく財政運営では、特定の財政上の結果を目指すことは一切ない。財政赤字の増加は赤字の縮小、あるいは財政黒字と同じように許容されるべきものだ」とケルトン氏も著書の中で述べている。MMTでは「財政赤字」より「財政黒字」の方が好ましいとは考えない。

さらに見ていく。


【FACTAの記事】

第2に、だからと言って、財務次官寄稿のような内容を今すぐ実行できるはずがない。経済状況を悪くしても財政状況を改善するという対応は本末転倒だ。この論理にも多くの人が合意できると思う。

第3に、とは言え、日本は純資産がゼロ近傍だから「大丈夫」か「大丈夫ではない」かは、後者に分がある。

IMFの最新統計(財政モニター<2018年10月>掲載の2016年時点データ)では、日本の資産に占める金融資産の割合は47.1%。残り52.9%は非金融資産だ。橋や道路、山林等の非金融資産は、誰かが購入しないと資産価値はない。国民が購入するとも思えず、だからと言って諸外国(中国等)に売却する訳にもいかない。

第4に、以上を踏まえると、この局面では財政出動、積極財政を維持できる工夫をしつつ、異常な金融緩和による財政ファイナンスを是正する意思表示、市場に対するメッセージを発することが必要だ。


◎明らかに「大丈夫」に分がある

政府保有資産のうち「非金融資産」は売りたくても売れないから国の「財政状況」は「大丈夫ではない」と大塚氏は言う。繰り返しになるが政府・日銀は無から日本円を創出できる。保有資産を売却して日本円を調達する必要はない。なので日本円の支払い能力に関しては「純資産がゼロ近傍」だろうが大幅なマイナスだろうが「大丈夫」だ。

「MMT派になってくれ」と大塚氏にお願いするつもりはない。大塚氏はどちらかと言えば「TMT派」に近いのだろう。それはそれでいい。ただMMTへの誤解は目に余る。

本当にMMTの主唱者たちは「国は負債だけではなく資産も有しており、純資産(資産マイナス負債)で考えることが必要」などと訴えているのか。そこだけでも調べてみてほしい。


※今回取り上げた記事「三耕探究⑦ 日本の危機!『六重苦』で『貧しい国』の断崖」

https://facta.co.jp/article/202202018.html


※記事の評価はD(問題あり)

2022年1月20日木曜日

懲りずに投資家をアクティブファンドへ誘い込もうとする楽天証券 篠田尚子氏

楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏は仕事上、アクティブファンドを投資家に薦めなければならない立場なのかもしれない。そこを責めるつもりはないが、投資初心者にとっては厄介な存在だ。週刊エコノミスト1月25日号の「Q7 インデックスに勝つアクティブファンドって?~日本株対象は多く、米国株は少ない」という記事でも言葉巧みに投資家をアクティブファンドへ誘い込もうとしている。

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一部を見ていこう。

【エコノミストの記事】

かたや日本はというと、企業の成長性はさほど関係なく、株式時価総額の上位銘柄もダイナミックな変化は見られない。米国ほど株式市場に十分な自浄作用が働いていないということになる。

おさらいすると、米国は、勝者がどんどん上を目指せる一方、敗者が退場するサイクルでインデックス型投信でも十分なパフォーマンスを得られる。インデックス運用はパッシブ(=受動的)な運用方法の1つだが、米国の場合はインデックスそのものがアクティブ(=能動的)な動きをしている。例えば「米国株はインデックス型」「日本株はアクティブ型」にするなどとファンドを選びやすくなる。


◎「日本株はアクティブ型」?

仮に日本では「米国ほど株式市場に十分な自浄作用が働いていない」としよう。そのために「インデックス型投信」では「十分なパフォーマンスを得られ」ないとしても「日本株はアクティブ型」と考える必要はない。「アクティブ型」は「信託報酬が相対的に高くなる」と篠田氏も記事で説明している。

「日本株はアクティブ型」と言うならば、コストを差し引いた後でも「アクティブ型」の「パフォーマンス」が「インデックス型」を上回る確率が高いと言える根拠が欲しい。しかし、記事にそうしたデータは見当たらない。そのことは篠田氏も分かっているのだろう。「例えば『米国株はインデックス型』『日本株はアクティブ型』にするなどとファンドを選びやすくなる」と遠回しな言い方をしている(日本語としてやや不自然な文だが、ここでは問題としない)。

その代わりに篠田氏はあまり意味のないデータを出してくる。そこも見ておこう。


【エコノミストの記事】

投信の運用力を測る指標は数々あるが、ここではシンプルにリターン(分配金再投資後基準価額)で、日本株と米国株のアクティブファンドの運用力を確認してみよう。

米国株と日本株それぞれを投資対象とするアクティブファンドについて、過去1年、3年、5年、10年のリターンをインデックスファンドと比較し、全期間でインデックスファンドを上回ったアクティブファンドの本数は、日本株「33」、米国株「4」だった。


◎33本が有力?

「全期間でインデックスファンドを上回ったアクティブファンド」が日本株では「33」あるらしい。「これらを選べばインデックスファンドに勝つ可能性が高い」とは篠田氏も言っていない。だったら何のためにこの数字を見せたのか。何とか「アクティブファンド」に誘い込もうとする意図は感じる。

「アクティブファンド」の好成績は基本的にまぐれと見るべきだ。例外なしとは言わないが、実力で超過リターンを得ているファンドを見抜く方法はほぼない。「自分にはそれが分かる」という投資家ならば「アクティブファンド」を選ぶことに合理性があるが、それ以外の投資家は「信託報酬が相対的に高くなる」アクティブファンドを選択肢から外していい。

もう1つ気になるのが「33」と「4」の対比だ。これだけ見ると「日本株」ならば「インデックスファンド」に勝ちやすいような印象を受ける。しかし「米国株はそもそも母数となるファンドの数が日本株と比べて少ない」らしい。ならば、なぜ「全期間でインデックスファンドを上回ったアクティブファンド」をファンド全体に対する比率で見せないのか。その辺りにも「日本株はアクティブ型」へと誘導しようとする篠田氏の意図を感じる。


※今回取り上げた記事「Q7 インデックスに勝つアクティブファンドって?~日本株対象は多く、米国株は少ない」

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220125/se1/00m/020/023000c


※記事の評価はD(問題あり)。篠田尚子氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「アクティブ投信」を薦める楽天証券経済研究所の篠田尚子氏を信じるな!https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/05/blog-post_15.html

「毎年決まった日」にリバランスすべき?篠田尚子氏の週刊エコノミストでの解説に異議https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/02/blog-post_2.html