5日の日本経済新聞朝刊オピニオン2面に載った「
Deep Insight~業界なんていらない」という記事で「
団体を含めて業界の出る幕はいずれ消える」と中村直文編集委員が訴えている。基本的には賛成だ。となると「だったら新聞業界はどうなの?」との疑問は浮かぶ。書きづらいとは思うが、ここに触れていないのは辛い。
|
女川駅(宮城県女川町)※写真と本文は無関係です |
たまたま4日は日本新聞協会が新聞協会賞を発表している。業界の仲間内で互いを褒め合うような賞だ。そして5日の朝刊では「
本紙に新聞協会賞」と1面で大きく報じ、さらに1ページを新聞協会賞関連の特集に費やしている。「
もはや業界団体に守ってもらう意味は薄く、多くはサロンのよう」と見る中村編集委員にしてみれば「仲間内の賞なんてどうでもいい。賞を取ったからって1面に持ってくるなんて恥だ。だから日経はダメなんだ」と思えるはずだ。
「
団体を含めて業界の出る幕はいずれ消える」と訴えるならば、自分たちのダメさには触れてほしかった。「やろうとしたけど社内の圧力があり難しかった」と言うならば、これから社内で積極的に訴えてほしい。「新聞協会を脱退すべきだ。協会賞にも意味はない。もっと読者からの声に耳を傾けるべきだ」と。
今年6月まで新聞協会の副会長を務めていた岡田直敏社長にも進言すべきだ。「岡田さん、新聞協会に留まる必要はありません。『
今や成長企業ほど財界活動や業界活動に関心を持たない』と記事でも訴えました。新聞に消費税の軽減税率適用を求める新聞協会なんて、抜けた方が読者の支持も得られます」と中村編集委員が説得すれば、岡田社長も同意してくれるかもしれない。
そうした行動を取らずに、他の業界のことをあれこれ論じているのならば、中村編集委員の主張に耳を傾ける気にはなれない。「先ず隗より始めよ」だ。
記事内容にも少し注文を付けておきたい。記事の一部を見ていこう。
【日経の記事】
東日本の消費者にはなじみがないコスモス薬品。宮崎県延岡市の薬局だった同社がドラッグストアとして参入してきたのは1993年と遅い。宇野会長は薬剤師だが、ドラッグストアを目指さなかった。集客力に難があり、持続的な成長に不安を感じたからだ。そこでクスリも扱う「コンビニエンスストア×スーパー」の融合チェーンを独自で開発。売り場面積1000~2000平方メートルの小商圏型メガドラッグストアと称する。
売り上げに占める食品比率は60%近くで、1店舗当たりの平均集客数は1000人超。同業の倍以上だ。コスモス薬品の勢力は東海、北陸にまで及び、ドラッグストアどころか進出先のスーパーも脅かす。まさに再編の発火点だ。
◎「ドラッグストアを目指さなかった」?
「
ドラッグストアを目指さなかった」のに「
ドラッグストアとして参入してきた」という説明には矛盾を感じる。「
ドラッグストア」ではなく「
小商圏型メガドラッグストア」だと言いたいのかもしれないが、結局は「
ドラッグストア」ではないか。実際の店舗を見ても明らかに「
ドラッグストア」だ。
「
コスモス薬品」の独自性を強調したかったのだろうが、うまく説明できていいない。
また、「
東日本の消費者にはなじみがない」「
勢力は東海、北陸にまで及び」と書くと関東などに店がないような印象を受ける。しかし、東京にも店を出し始めており、既に3店舗あるようだ。記事の説明では誤解を招きかねない。
※今回取り上げた記事「
Deep Insight~業界なんていらない」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190905&ng=DGKKZO49408470U9A900C1TCT000
※記事の評価はC(平均的)。中村直文編集委員への評価はDを維持する。中村直文編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。
無理を重ねすぎ? 日経 中村直文編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2015/11/blog-post_93.html
「七顧の礼」と言える? 日経 中村直文編集委員に感じる不安
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_30.html
スタートトゥデイの分析が雑な日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_26.html
「吉野家カフェ」の分析が甘い日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html
日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」が苦しすぎる
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_3.html
「真央ちゃん企業」の括りが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_33.html
キリンの「破壊」が見えない日経 中村直文編集委員「経営の視点」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/blog-post_31.html
分析力の低さ感じる日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/blog-post_18.html
「逃げ」が残念な日経 中村直文編集委員「コンビニ、脱24時間の幸運」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/24.html
「ヒットのクスリ」単純ミスへの対応を日経 中村直文編集委員に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_27.html
日経 中村直文編集委員は「絶対破れない靴下」があると信じた?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_18.html
「絶対破れない靴下」と誤解した日経 中村直文編集委員を使うなら…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_21.html
「KPI」は説明不要?日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」の問題点
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/kpi.html
日経 中村直文編集委員「50代のアイコン」の説明が違うような…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/50.html
「セブンの鈴木名誉顧問」への肩入れが残念な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/07/blog-post_15.html
「江別の蔦屋書店」ヨイショが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_2.html
渋野選手は全英女子まで「無名」? 日経 中村直文編集委員に異議あり
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_23.html
早くも「東京大氾濫」を持ち出す日経「春秋」の東京目線
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_29.html