藩校模型学習館(大分県杵築市)※写真と本文は無関係 |
記事の全文を見た上で具体的に指摘したい。
【日経の記事】
関西電力の役員らが高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役(今年3月に90歳で死去)から金品を受け取っていた問題で、同社の八木誠会長は28日、日本経済新聞の取材に対し、元助役から商品券や就任祝いの物品を受け取ったことを明らかにした。同会長は2018年3月ごろまでに全て返却したとした上で「原子力事業への信頼を失い非常に申し訳ない」と話した。
関電は27日の記者会見で岩根茂樹社長ら役員や同社OBなど20人が11~18年、元助役の森山栄治氏から約3億2千万円相当の金品を受領または保管していたと発表した。
八木会長は原子力担当役員として06年に福井県美浜町の原子力事業本部に赴任した際、元助役と初めて会ったという。「就任祝いとして商品券を渡された。その場で中身は見ていない。受け取れないと伝えたが了解してもらえず、一旦預かった」と話した。商品券の受領は1回だけとしている。
八木会長によると、09年まで年2~3回ほど、あいさつなどで会社に訪問を受け、そのたびに元助役から物品を渡され、保管してきた。商品券の金額や物品の内容は明らかにしなかった。
金品は18年3月ごろまでに社員を通じて元助役に全て返した。商品券については私費で同等物を「お返しとして送った」とし、現金の授受は一切なかったと強調した。
関電が原発関連工事を発注する建設会社に税務調査が入ったことは同月ごろに知ったと説明。「常に返却の機会をうかがい交渉しており、税務調査がきっかけということではない」とした。元助役は年に1回ほど役員向け社内研修の講師を務めており、「先生」と呼んでいたという。
今回の問題では原発関連企業の高浜町の建設会社が元助役に資金提供していたことが税務調査で判明。「原発マネー」が還流した構図が疑われている。
八木会長は「(建設会社から元助役に)資金が流れていたことも知らなかったし、国民の電気料金が還流したという事実はない」と強調。「個人個人が苦しんできたことを会社として拾い上げてリスク対応することができなかった」と話した。
◎「返却」完了は「税務調査」認識の前か後か?
「八木誠会長」が「商品券と物品」を「全て返却した」のは「2018年3月ごろ」で、「関電が原発関連工事を発注する建設会社に税務調査が入ったことは同月ごろに知った」らしい。だとしたら、気になるのは「全て返却した」のが「建設会社に税務調査が入ったこと」を認識する前か後かだ。
前であれば「返却の機会」をうかがっていたとの説明がある程度の説得力を持つ。後であれば「税務調査」を知って慌てて「返却」したと捉えるのが自然だ。
記事には「税務調査がきっかけということではない」という「八木誠会長」のコメントはあるが、「返却」完了が「税務調査」を認識する前なのか後なのか明確ではない。記事のコメントだと「(返却完了は税務調査を認識した後になったが)税務調査がきっかけということではない」との趣旨にも取れる。
その点を詰めなかったのか。詰めたのに記事に反映させなかったのか。いずれにしても問題ありだ。
「金品は18年3月ごろまでに社員を通じて元助役に全て返した」と日経が断定しているのも引っかかる。「商品券については私費で同等物を『お返しとして送った』」のであれば「返した」とは言い難い。
例えば100万円相当の時計をもらった人が100万円相当の宝石を「お返しとして送った」場合、受け取った「金品」を「返した」と考えるべきだろうか。個人的には違うと思える。
さらに言えば「商品券」をそのまま返さず「同等物」で代替したのも引っかかる。
多くの「商品券」は有効期限がないので、そのまま返せば済むはずだ。なのに「同等物を『お返しとして送った』」のは「商品券」で買い物をしてしまったからではないか。「商品券の有効期限が切れていたから『同等物』で代替した」との可能性もあるが、だとしたらそこを詰めてほしかった。
全体として「八木誠会長」にとって都合のいい記事になっている。記事を書いた記者に言わせれば「それがこっちの狙いなんだよ」という話かもしれないが…。
※今回取り上げた記事「関電会長『商品券と物品』受領 元助役から、昨春までに全て返却」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190929&ng=DGKKZO50360910Y9A920C1CC1000
※記事の評価はD(問題あり)
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