久しぶりに週刊東洋経済の記事中の誤りを指摘してみた。問い合わせの内容は以下の通り。
床島用水路 |
【東洋経済への問い合わせ】
週刊東洋経済 編集長 西村豪太様
3月12日号の「Inside USA/FROM The New York Times~ロシアのウクライナ侵攻で問われるNATOの存在意義」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。
「ロシアがウクライナの占領、およびベラルーシの基地を維持することに成功した場合、ロシア軍はバルト海とポーランドの国境からスロバキア、ハンガリー、ルーマニア北部まで広がり、NATOにとって東側の国境防御が著しく困難になる」
記事の説明を信じれば「ウクライナの占領、およびベラルーシの基地を維持することに成功した場合」には「スロバキア、ハンガリー、ルーマニア北部」にも「ロシア軍」が駐留するはずです。しかし3カ国はNATO加盟国です。「ウクライナ」と「ベラルーシ」が「ロシア軍」の勢力下に入ったとしても、同時に隣国の3カ国まで「ロシア軍」が「広が」るとは思えません。
「The New York Times」の説明が間違っている可能性もありますが、誤訳ではないかと見ています。「バルト海とポーランドの国境」という表現も「バルト海とポーランド」の間に「国境」がある訳ではないので、やや意味不明です。その辺りも含めて、筆者が何を言いたいか推測してみました。
「ロシア軍はバルト3国から、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアまで、これらの国の目前に広がり、NATOにとって東側の国境防御が著しく困難になる」
この説明ならば腑に落ちます。「スロバキア、ハンガリー、ルーマニア」にも「ロシア軍」が広がると取れる記述は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も教えてください。
同じ号の「編集部から」で「フェイク情報が横行する時代に『合理的な思惟』を支えるための報道の重要さを肝に銘じています」と西村様は記しています。
しかし御誌では、読者からの間違い指摘を無視して記事中のミスを放置する対応が常態化しています。それは「フェイク情報が横行する時代」に「フェイク情報」を放置する行為です。「合理的な思惟」に頼れば、編集長として何をなすべきか見えてくるはずです。
まず基礎を固めましょう。今回の問い合わせに回答することから始めてみませんか。「報道の重要さを肝に銘じ」るのは、それからで十分です。
◇ ◇ ◇
※今回取り上げた記事「Inside USA/FROM The New York Times~ロシアのウクライナ侵攻で問われるNATOの存在意義」
https://toyokeizai.net/articles/-/515033
※記事の評価はD(問題あり)
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