10日の日本経済新聞朝刊マーケット総合面に載った「大機小機~痛み伴う改革の議論避けるな」という記事は衆院選に関する分析に無理がある。記事の終盤を見ていこう。
【日経の記事】
夕暮れ時の筑後川 |
総選挙では自民党が単独で絶対安定多数を得て、バラマキを訴えた野党は議席を減らした。予想外の勝利は、若年層の支持によるものらしい。確かに財源なき給付の大盤振る舞いは、彼らの未来を質入れすることを意味するのだ。
そんな中で議席を約4倍に増やしたのが日本維新の会である。彼らは言う。「分配の原資は成長と改革」。成長できないなら、その分は痛みを伴う改革で捻出すればよい。これぞ大人の意見ではあるまいか。「成長と分配」だけの議論は、どうにもうさん臭いのである。
◎どういう理屈?
国債を「財源」とは見なさないとの前提で言えば「財源なき給付の大盤振る舞い」を訴えたのは「自民党」も同じだ。実際に現金給付の話が具体化している。「彼ら(若年層)の未来を質入れすること」に「若年層」が拒否反応を示したのならば「自民党」は「若年層の支持」を得られないはずだ。辻褄が合っていない。
筆者の四つ葉氏は「日本維新の会」だけが「彼らの未来を質入れすること」から距離を置いていると見ているようだ。だとすれば「若年層の支持」は「日本維新の会」へと向かうのではないか。しかし、なぜか「若年層の支持」が「自民党」に「予想外の勝利」をもたらしたらしい。
ついでに言うと「日本維新の会」が「分配の原資は成長と改革」と訴えていると見なすのは苦しい。確かに「改革なければ分配なし」などと訴えていたようだが、一方で2年限定での消費税率引き下げを公約として掲げていた。
これに関して日本維新の会の副代表(大阪府知事)を務める吉村洋文氏は「ずっとは無理だと思ってます。財源の問題もあるので。ただ、コロナ禍で厳しい生活をされている方も多いですから、2年間とか期間を区切って消費税を5%に減税する」とテレビ番組で語ったらしい(コメントはスポニチの記事から引用)。
ここからは「成長と改革」の前に「分配」という姿勢がうかがえる。
「『成長と分配』だけの議論は、どうにもうさん臭いのである」と四つ葉氏は言うが、今回の記事で同氏が披露した無理のある分析もかなり「うさん臭い」のではないか。
※今回取り上げた記事「大機小機~痛み伴う改革の議論避けるな」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211110&ng=DGKKZO77415940Z01C21A1EN8000
※記事の評価はE(大いに問題あり)
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