2021年3月31日水曜日

東洋経済オンライン「厚労省官僚『銀座で0時頃まで23人宴会』のあぜん」に感じた後味の悪さ

3月29日付の東洋経済オンラインに田島靖久記者が書いた「厚労省官僚『銀座で0時頃まで23人宴会』のあぜん~時短要請の21時を過ぎても帰らず、店に残り」という記事には何とも言えない後味の悪さが残った。特ダネなのかもしれない。だが、経済メディアである東洋経済の記者が“自粛警察”として出動したことを素直には喜べない。

夕暮れ時の筑後川

記事には何枚もの「宴会」の写真が付いていて「撮影:藤原 宏成」と書いてある。記事の書き方から推測すると「宴会」が開かれることを聞き付けた田島記者がカメラマンを伴って店内に入ったのだろう。「宴会」の様子をずっと観察し、こっそり撮影させ、記事にする。その一連の行動を称賛する気持ちにはなれない。

宴会」は明確なルール違反でもないようだ。記事の当該部分を見ていこう。

【東洋経済オンラインの記事】

法制度で公に定められていないとしても、社会的責任を鑑みて内規の整備や通達がなされている組織は少なくない。こうした取り決めがコロナ対策の総本山である厚労省にはないということなのか。

厚労省は、「大臣官房人事課から各部局に対し、業務後の大人数での会食や飲み会を避けるよう指示している」とするとともに、政府が2020年3月28日に発表した「感染リスクが高まる5つの場面」に該当するような行動は避けるよう指示しているという。次の5場面だ。

①飲食を伴う懇親会等

②大人数や長時間におよぶ飲食

③マスクなしでの会話

④狭い空間での共同生活

⑤居場所の切り替わり

今回はこの「5つの場面」のうち、「①飲食を伴う懇親会等」「②大人数や長時間におよぶ飲食」「③マスクなしでの会話」という3つに該当。特に、②の中で感染リスクが高まる事例として上げられている「5人以上の飲食」についても完全にアウトだ。

こうした事態について厚労省は、「今回の会食は指示の趣旨に反するものであり、再発防止のため改めて指示をし、全職員の認識を徹底することとする」とコメントする。  


◎「好ましくない」との結論は導けるが…

上記の説明から、今回の「宴会」が好ましくないとの結論は導けるだろう。しかしあくまで「避けるよう指示」であり禁止ではない。新型コロナウイルス問題では小さなリスクを大きく捉え過ぎていると見る自分としては、今回の「宴会」に大きな問題を感じない。むしろ、報道の方に相互監視社会的な息苦しさを感じる。

自粛警察支持派から見れば田島記者は立派に役割を果たしているのだろう。報道を正面切って批判するのは難しい。それでも後味の悪さは消えない。

一読者として東洋経済に求めているのは、こんな記事ではないとは伝えておきたい。


※今回取り上げた記事「厚労省官僚『銀座で0時頃まで23人宴会』のあぜん~時短要請の21時を過ぎても帰らず、店に残り

https://toyokeizai.net/articles/-/419884


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